最近は仕事で研修用にマネジメント関連の勉強をしてたりするのですが。
その関連で考えたことなどをぐだぐだと。
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1.5つのディシプリンとTRPG
http://www.humanvalue.co.jp/glossary/5discipline.html
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・自己マスタリー
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>自分自身が心底から望んでいるビジョンや目的に忠実に従って生きようとするプロセス(過程)のこと。そこでは、自分にとって何が大事であるかの意味、目的、ありたい姿を常に明らかにしつづけることが必要である。これは、自分たちの選んだ目標に向かって自己啓発を進める組織環境をつくり出すことへもつながる。
→TRPG的にはPCが何を望んでるか?とかPLが何を望んでるか?を把握して向上しようという動機付けを作りだそうって感じ?
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・メンタル・モデル
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>1人ひとりがもっている「思いこみ」や「固定観念」のこと。個人の思考や行動に強い影響を与える。自分のメンタル・モデルを常に内省し、明らかにすることによって、改善を続けることが重要。
→TRPG的には……同じですな(笑)。思い込みとか認識の齟齬って実際結構あるよね。
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・共有ビジョン
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>組織の中のすべての人々が共通して抱いている心のイメージ。共有ビジョンをもつことで、メンバー全員が選んだ未来像や目標に向かって自己啓発を進める組織環境をつくり出すことができる。
→TRPG的には、共通認識とかそういうのをちゃんと作りましょう、って感じか。
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・チーム学習
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>チームのメンバーが本当に望んでいる成果を生み出すために、対話を通して学習を引き出し、個人の力の総和を超えたチームの能力をつくり出していく過程。
→TRPG的には……「上達」って忌避されてたりするので微妙。
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・システム思考
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>さまざまな要素が複雑に関連し合っている問題の全体状況と相互関係を明らかにすることによって、解決策を見いだす技法。また、そうした問題について話し合い、理解するための言語。
→システム思考の良いところは、個人の責任にせずに、システム(全体)の問題である、と捉えて全体を波及的に改善するにはどうすれば良いかを考えようとするところである。
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これは、1個のグループが比較的長期的にグループとして向上していくためのメソッドで、TRPGの場合には、長期にキャンペーンを継続してやる場合とか、内輪なメンバーで長期的に一緒にTRPGを遊び続けていく際のモデルとして見ると得るものがあるかなあと。
ただ、このモデルをTRPGに適用する際の問題は「チーム学習」って何?ってところかと。TRPGの学習とか上達って曖昧にされることが多いので基準が良くわからんのですが
・ルールの習熟、運用
・世界観の習熟、運用
・キャラクター運用
・チーム運用(パーティー等)
・設定運用(自キャラの設定のみに非ず)
・ヒューマンスキル(コミュニケーション)
etc...
という部分の学習によるプレイの向上を目指そうって感じですかのう。TRPGの場合、学習するテキストって何?って感じなので、何を学習するのかよくわからんですが
・今までのプレイを振り返って復習・改善案などを考える
・ルールブックを読みこむ
・プレイのお手本としてリプレイを見る
・プレイ世界に関係ありそうな資料本などを見る
・コミュニケーションスキル本などを見る
・とにかく何か物語メディアを見る
・(最近は見ないけど)マスタリングとかプレイングのガイド本を見る
etc...
という辺りですかねえ。
そういや田中としひさ氏の「おこんないでね」をテキストにしてます、という人が以前いました。
あれは失敗談もしっかり書いてあるので結構良いかも。失敗談をしっかり書いてあるというと「ソングシーカー」なんかもそうですな。「ぴよぷー本舗」はどうだろう?プレイ自体よりはプレイ環境周りの話が多かったかのう?
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2.システム思考とTRPG
システム思考というのは、上でも出てきましたが、1個1個個別の事象だけにとらわれるのではなく、システム全体として影響などを見る手法です。「風が吹くと桶屋が儲かる」なんかがまさにそれで、「風が吹くと桶屋が儲かる」はわりと冗談話として扱われることが多いように思いますが、アメリカでシステム思考を利用して、
「地下鉄をしっかり綺麗にするようにしたら、犯罪発生率が激減?した」
という事例が、有名な例として出されることがあります。身近なちょっとしたことをしっかりきちんとやると、それが波及してシステム全体がしっかりきちんとしてくる、という考え方です。(逆の波及もあるけど)
この分析に「ループ図」というのを使うのですが、実例を見た方が早いかも
>状況説明
>机の上が乱雑だと、仕事に必要な資料を探すのに時間がかかってしまいます。仕事にかけられる時間は限られていますから、資料探しに時間がかかると、その分、仕事が押してしまい、資料を片づける時間がなくなってしまいます。そうすると......ご想像の通り、ますます机の上が散らかってしまうのです!
http://change-agent.jp/systemsthinking/assets_c/2009/07/CLD_Unorganized_desk-2.html
TRPGの場合には、TRPGで扱おうとするゲーム範囲はあまりに膨大で広すぎるので、最初から全部を網羅的に完全に扱うことは不可能なのですが、だから戦闘ルールとか、一部の表現だけをしっかり作ったりしているところがあると思います。
全体:
仮想現実世界という「システム」
プレイ環境という「システム」
(いわゆる「TRPGシステム」とは違う大枠でとらえた「システム」?)
部分:
戦闘ルールをしっかりする
TRPGシステム固有のスポットルールをしっかりする
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ただ、いまどきのシステムみたいに戦闘ルールが俺強えの表現に偏光してゲーム的にしっかりしなくなってくると、マイナスの波及効果が出てセッション全体がしっかりしなくなってくるので、ロールプレイ支援とか、セッション運営ルールとかをしっかりすることで補ってるところはあるかなあと思います。
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一方また、別にしっかりする部分は戦闘ルール部分だけじゃなくて、別のどこか核となるルール体系がしっかりしてれば、それ以外の部分がどんぶり勘定でも、しっかりしたセッションになると思います。Bローズなんかの場合には戦闘ルール面はどんぶりもいいところなんですが、魔法ルールがすごく秀逸でしっかりしてるので、とりあえずそこだけしっかりやれば幻想的?なファンタジーとしてしっかり回るとか、そんな感じですな。
クトゥルフ神話TRPGの場合には「正気度ルール」が核になりますかのう。そこさえしっかりやれば、あとはアバウトでも回るかなあという。
エンブリオマシンの場合は、戦闘ルールが核なのでそこさえしっかりやれば回りますが、サプリメント「練兵都市」を使って対人感情ルールを導入すれば、そこを核にして回すこともできるかなあ、と思っています。
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とりあえず、システム思考的観点でTRPGセッションを締まったものにするには
・そのTRPGシステムの核となり得るルール要素を把握し、最低限そこだけはきっちり処理するようにする
・システムが緩かったり、シナリオの主題がTRPGシステムの核とずれてる場合には、シナリオ内ゲームを作って核部分を意識的に創出する必要が発生する
というようなことを考慮すると良さげかなあと思います。
逆に言うと、ノリ重視で戦闘はアバウトに処理します、というマスターさんが時々いますが、それをやると、セッション全体がアバウトで軽いものになる(もともと軽いノリのセッションをやるつもりなら、それはそれで良いですが)、というのは把握しておいた方が良いと思います。一部分だけ手を抜いただけでは他には影響はない、というのはシステム思考的には違います。
以上、そんなところで。