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話の膨らませ方(1)

 前々回の記事では後ろ向きで偉大な、偉そうな記事を書いたのでw、今回は、前向きで建設的な卑小な記事を書こうと思う。(前々回の記事を復習するように)

 前々回は、話が膨らむことを考慮せずにそんな大量の情報&場面をやろうとするから時間が膨大にかかるのだという話を書いた。では、情報&場面を削った場合(僕の感覚だと2分の1くらいに削っても十分回る)、前々回書いたようなせせこましいスタイルでマスタリングしているとセッションがあっさりさっくり終わってしまっていまいち盛り上がらないのでは?と心配するGMの方も多いだろう。ということで、今回はその少ない情報&場面でどうやって話を膨らませ、セッションを盛り上げるか?というテクニックについて解説する。

1)かつては盛り上げるまでもなく勝手に盛り上がったのである
 とりあえず、昔の僕のプレイ環境について説明しよう。
 僕がTRPGをプレイし始めたころの環境では、そもそもTRPGってどうやって遊ぶの?とかそんなのはほとんど全く決まっていなかったしテクニックに関する情報もなかった。参考になったのはせいぜいゲームブックくらいである。ゲームブックに登場する主人公は基本的に最初からある程度強いキャラクターが前提であったのに対し、当時広くプレイされていたD&DとかSWとかいったシステムは「経験点を集めて成長させるまでは弱っちくて出来ることが大変限られている」という、当時にしても実に時代錯誤的な徒弟生活から徐々に経験を積んで上に行くという封建社会主義的なプレイスタイルが主流であったため、そういうシステムに合わせてプレイしようとすると、ゲームブックでつちかったイメージはほとんど役に立たなかった。ただ、

「TRPGとはインタラクティブに物語の登場人物となってその中(キャラクターの可能な範囲で)で好きに遊べる」

というイメージだけが先行していた。そして、その当時プレイされていたのはD&DとかSWとかのストーリー支援が極めて貧相なシステムしかなく、当時のGMもその貧相な環境で貧相な物語のシナリオしか準備できなかったので、話を盛り上げようとするのであればPLの方から勝手に想像力を膨らませて盛り上げていくしかなかったのである。そして「TRPGは“自由に”何でも出来るゲームである」という妄想がはびこっていたため、GMから提示される“物語”はそっちのけで、とりあえずシミュレーションゲーム的にとにかくルール的に出来そうなことは一通り何でもやってみる、やってみて面白かったら耽溺するようにそういうプレイを繰り返す、という感じでプレイしていた。

 そういうプレイが正しいかどうかはさておき(得るものは十二分にあったと確言しよう)、PLはそもそもそうやって論理的に想像力を広げていろいろ出来ることを発想するというプレイに慣れていたため、特にGMが「話を膨らませよう」なんてことを考えなくても勝手に膨らんだのである。むしろそこで重要だったのは、そうやって混沌的に肥大化する話をいかにシナリオに即した形に制御してセッションをうまく回そうかというテクニックであった。そして、そういう想像力の化物のようなセッションを繰り返した末、病的にPL/PCの行動を制限したがるGMが大量に輩出されたのもこの頃である。このときのGMは、「アドリブで制御しきれないので、とにかくガチガチに緻密に制限を決めてそこから外れるのはルール的に許さない」というスタイルに流れるか、「どうせ展開が定まらないなら最初からシナリオなど作らずに放置して、PLの導く展開にリアクションするだけにしよう。楽だし。どんな状況にもリアクションできるように、舞台の背景設定はきっちり決めておいてアドリブの指針としよう」のどちらかであった。

 実際のところ上記のようなプレイが当時主流であったかというと微妙なところで、せいぜい半々くらいだったといっていいと思う。もう半分というのは、「TRPGというのは物語を作るゲームで、GMの提示するシナリオ上の物語を楽しみたいのでとりあえずそれに合わせよう」という統制の取れたプレイをしているところも半分くらいはあったと思う。そういう環境でプレイした人間相手にマスタリングをすると、PL側からの想像的なリアクションが少なすぎて実につまらなかったのは覚えているw。あるいは、いつもそういう環境でプレイしていたため窮屈な思いをしていたPLがうちの卓に来ると「こんなに好き勝手動くと困らないですか?」とか「今日は自由にのびのびプレイできて面白かった」とか、よく言われたものである。

 TRPGにおける「自由」に関するは話を始めるとまた話が長くなって何なのだがw、とりあえず僕のスタイルとしては常にPLにより自由にプレイをしてもらうことを目指している。そして、やたらに制限ばかりしたがるGMに対しては常に「それは1つの狭いやり方でしかない。管理は大変だがもっと面白く自由なやり方もある」と主張し、戦い続けてきたように思う。

 今もそうして戦っているw。
by namizusi | 2004-12-04 15:01 | TRPG


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