キャラクターを理解するということ:(・_・)

 前は、起承転結の「転」について書きましたが、今回は、起承転結の「起より前」の辺りの、TRPGセッションでキャラクター表現をいかにするかという外枠について解説をします。本当は「起より前~起」の、3幕8場の構成の第1幕、導入部のハンドリングについて説明するつもりだったのですが、長くなりすぎたので、

・とりあえず「物語的面白さ」を得るにはキャラクターを理解することが必要だ

というところで止まっています。

1.本論の目的
 TRPGで「物語的面白さ」を実現するための一手法を説明します。「物語的面白さ」が要らないセッションでは必要のないものです。



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2.TRPGではどんな物語が求められているのか?
 物語と言っても多種多様な物語があります。

 TRPGではどんな物語が求められているかというと、そもそもTRPGというのはPL1人が1キャラクターを扱うようになり、そのキャラクターに感情移入するようになったところから始まったものですので、

・キャラクター主体の物語

が、TRPGで求められる物語と言って良いかと思います。キャラクター主体じゃない物語ってあるのかっていう話がありますが、映画「ユナイテッド23」みたいに、ドキュメンタリータッチな作品で、事実を強調するのを優先して特定のキャラクターに感情移入するのを敢えて抑止しようとする作品の場合には、没個性的な登場人物による物語が語られることがあります。あるいは、物語って結局、時間経過と共の事象が時々刻々と変化する様を描きだせばそれだけで物語だ、という考え方もありますので、その考え方だとキャラクターが無くても物語はできる。

 また、歴史ものとか昔ながらの物語では、主人公が生まれる前の話から始まって、その話が延々第一章が終わるまで続き(あるいは、酷いと第一巻が終わるまで続き)、そのあとやっと主人公が生まれて、それが死ぬまで描き、さらに死んだあと世の中がどうなったかまで延々と描く……というような話もありますが(指輪物語とか三国志なんかがそうですが)、TRPGではキャラクターが生まれる前とか死んだ後とか、そこまではあんまり語らないかなあと。(PCが死んだ場合はその後について語ることはありますが)多くの場合は、キャラクターはすでに生まれていて、これから何かをやる直前の状態から始まって、そのメインの事件が収まるまでを切り取って描くくらいのスケールの話がTRPGでは主流かと思われます。

・事件を主体に、キャラクターの人生の一部を切り取って描く

 これはどちらかというと短編的手法と言って良いですが、昨今は長編でも、これくらいのスケールで描かれることが多いですので、まあ長編でも短編でもどちらでも。長編的スケールの話は「キャンペーン」になるかなあとは思いますが。

 あと、注意点として

・キャラクター小説的物語とは違うのか?

というポイントがあります。

 キャラクター小説的物語では「キャラクターのステレオタイプ化」が重要ですけれども、ステレオタイプ化がしやすいシステムとそうでないシステムがありますし、ステレオタイプになるのを好む人と嫌う人の両方が存在します。で、どちらでもキャラクター主体の物語は表現可能なわけで、キャラクター小説的物語をやることもできるし、まったくそうじゃない話もできます。というわけで、TRPGで求められるキャラクター主体の物語の1表現手法としてキャラクター小説的物語を選択することは可能ですが、それは必須でも密接でも何でもありません。ぶっちゃけTRPGで物語志向してるからと言って、それは「キャラクター小説的物語をやれ」と言ってるわけではないので、誤解なきよう。

 でまあ、このTRPGで求められる「キャラクター主体の物語」をいかに面白くするか、を実現する手法を模索するのが本論の主旨となります。

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3.いったいどのキャラクターの物語なのか?
 次に、

・「キャラクター主体の物語」って、具体的にどのキャラクターの物語なのか?

という問題があります。これまでTRPG界ではこの問題がうやむやにごまかされ続けてきました(笑)。

 ちょっと整理してみると、こんな感じになります。

・PL主観で見た主要キャラクターの優先順位
 1)自分のPC
 2)他のPLのPC
 3)NPC

 PLから見れば、自分のPCが一番身近で、そのPCが知り得る情報を元にセッション中の仮想世界を認識してプレイするので、小説で言うと、

・一人称小説の語り手=自分のPC

なわけで、まずここに感情移入します。

 2、3の辺りの上下関係が微妙なんですけど、個人的には2は常に3よりも優先順位が上であるべきだ、と思っています。が、見ず知らずの他人と唐突に遊ぶ、コンベンションとか、野良のオンセなんかだと、上下関係が揺らぎますな。ここは、現状の「キャラクター主体の物語」を実現するにあたっての問題点と考えています。

 次にGM主観の方ですけれども、システムとか環境や、GMのマスタリングスタイルによって大いに変わるので、何とも言えません。

・GM=PLと同列
 1)自分のNPC
 2)他のPLのPC
 3)他のNPC

・PC1=主役というスタイル
 1)PC1
 2)他のPLのPC
 3)NPC

・PC1=主役で、ヒロインがNPCなスタイルというスタイル
 1)PC1
 2)NPCヒロイン
 3)他のPLのPC
 4)他のNPC

etc...

などなど、いろいろあり得ます。僕の場合は、

・NPCって出来たらいない方が良い
・掃いて捨てるゴミと同等

という価値観なので、限りなくPC寄りに感情移入してセッションを見てるので、上の分類もかなりPC寄りになってると思いますが……「PC1=主役で、ヒロインがNPCなスタイル」の場合、僕なら2番が他のPCで3番がNPCヒロインに位置付けされますかねえ……。

 まあこんな感じで、

・自分はどのキャラクター主眼で、TRPGセッション上の物語を味わっているか
・他の参加者はどのキャラクター主眼で、TRPGセッション上の物語を味わっているか

というのを把握し、そのキャラクターの

・出番を増やす
・描写の密度を上げる
・伏線をきっちり回収する

というような対処をすることで、物語的面白さを強化することが出来ます。キャンペーンなんかだと、チョイ役で出したはずのNPCがやけにPLに受けてしまって、その後も何度も出現したり仲間になったりする、という展開が即興的に創出されることがしばしばあります。デモンパの「剣神」というリプレイの「アフロ!!!」も、そんな感じで出番が増えておりましたな。

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4.PLはキャラクターのことを、これっぽちも、まったく、全然、さっぱり、何一つわかっていない
 2~3で、TRPGでは「キャラクター主体の物語」が求められており、これを面白くすることが「物語的面白さ」をより向上させるのに必要という話を書きましたが、これと大いに矛盾する点として、

・PLはキャラクターのことを、
 これっぽちも、
 まったく、
 全然、
 さっぱり、
 何一つわかっていない


という問題があります。

 まあ、ぬるいセッションをやってるうちはキャラクターのことを対して理解してなくても“なあなあ”で済むんですけど「葛藤」とかで精神的に追い込んだり、ものすごいシビアな戦闘で物理的にキャラクターを追い込んでみると、PCとPLのギャップが露わになって立ち往生することが良くあります。それはPLがPCのことをよく理解してないために発生します。わかってれば、どんな状況に追い込まれようが、そのキャラクターらしく振舞うだけだし、あるいは「そういう状況に追い込まれたら悩むキャラクター」というセッティングがしてあれば、悩むプレイをするだけの話ですが、PLの感情とPCの感情を上手く分離できないPLというのがよくいます。あるいは、まったくPCの心情を理解せずに、PLの指向だけでPCを動かし始めてキャラクターの一貫性を破壊し、「キャラクター主体の物語」の面白さを崩壊させるPLもしばしばいます。

 別にそれが悪いと言ってるわけじゃありません。

 TRPGでは「PLがいかにしてキャラクターを理解するか」という手段が、非常に未発達で、理解し辛いものになってしまっているため「わからなくてもしょうがない」という側面があります。

1)外見がわからない
 TRPGのキャラクターにはビジュアルイメージが無いので、それがどんな外見と雰囲気をした奴なのか理解するのが困難である。ただ、TRPGが電子化されて、最近のネトゲみたいにキャラクターの外見イメージをカスタマイズして作れるようになれば、この状況はかなり改善されると思います。オンセだと、ありものデータをネットで拾ってきたりして補いやすいんですけど、チャットする時にキャラ絵が出てくるのと出て来ないでは格段の認識の差があります。

 ちなみに外見表現に秀でた他の物語メディアとしては

・映画、TV、映像メディア
・マンガ、コミックス、絵本
・ゲーム

なんかがあります。これらのメディアの手法を利用することで、ビジュアルイメージ把握をよりスムーズにすることが可能です。

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2)動きがわからない
 1)と近いですが「止まった絵」「動く動画」でも、格段の認識の差が出ます。例えば、

・片足を怪我してびっこを引くキャラクター

というのがいたとして、止まった絵では、どんな風にびっこを引くのかがわかりません。それは、人やケガの状況によって千差万別でそういう細かいところにもキャラクター性というものは滲み出てきます。動画であれば、一目瞭然でわかります。小説などのテキストメディアでもある程度説明可能ですが、動画で一発で見せられるのに比べたら天と地ほどの認識の差があります。

 ちなみに動作表現に秀でた他の物語メディアとしては

・映画、TV、映像メディア
・ゲーム

があります。

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3)心の動きが分からない
 基本的にTRPGでは、

・PLが何を思っているのか
・PCが何を思っているのか

は別物です。別物ですよ(笑)。まあ「なりきり」と言ってキャラの内面に入り込んで心情を内からシミュレートする方法もありますが、入り込んだまま帰ってこれない人がしばしばいるのであんまりお勧めしません。が、いざという決断をするときはキャラクターに入り込んで感情を乗せてやってもらえると熱い良いセッションになりますが、そうじゃないときは、ある程度突き放してプレイ出来ると良いかなあと。

 それはさておき、原則としてはPCはPLとは別の存在ですので、あるシチュエーションにPCが叩き込まれたときに、どう感じるかは、

・PCのデータ(感情系データ、身体系データetc...)
・実際に動かしてみる
・それまでのそのキャラの動きや経験から推測する
etc..

といったものを組み合わせて読み取るしかありません。

 ところが、小説のような文字メディアでは読み手が感情移入出来ようが何であろうが、とにかく

「***と思った」
「***というように考える」

というように、直接心情を書いてしまうことで心の動きを目の当たりにすることが出来ます。あるいは、マンガなどの絵画系メディアなら、吹き出しに心情を描くことが出来るし、映像メディアでもナレーションを入れることで描くことが可能です。

 ところがTRPGではその時キャラクターがどう思ったかを解説してくれる作者も、ナレーターも何もいませんから、とにかく外見的振る舞いと、発言と、キャラクターのパラメータや背景設定から心情を推測するしかないのです。

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4)PCの共有化
 最近はハンドアウトなどでPCに最初から偏光データを与えて管理しやすいPCを作りだす手法が使われることが多いですが、これって「PCの共有化」を発生させることになります。要するに、

・そのPCは、担当PL一人だけのものではない。

っていう状況になっています。具体的に言うと

・ハンドアウトの指向性
 =GMによる所有意識の発生

・ハンドアウト相互の関連性
 =「今回のセッションでの立ち位置を守りましょう」という方向性で他のPLの所有意識が発生する

という感じに担当PLの思惑や願望に関係なく、他のPLやGMからもPCの形成条件が課せられます。そのため

・PLがある状況でPCを行動させた
・他のPLやGMに、ハンドアウト的にそれは違うんじゃない?という物言いが付く

という状況が発生し、他のPLやGMの空気を読まないとキャラクターを理解したことにならないという困難な状況が発生します。

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 ……というわけで、TRPGは1,2のように

・外面描写が劣悪である

のに加え

・内面描写も劣悪である

という両面の障害があり、なおかつ

・PCはPL一人のものではなく、セッション参加者の共有物になっており、勝手に動かせない

という問題が発生し、PLがキャラクターを理解するのが困難となっています。

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5.PLがキャラクターを理解するにはどうすれば良いか?
 4の問題に対して、どうすれば良いか。下記の手法があります。

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1)キャラクターの設定について、掘り下げて考えてみる。テキストなどに書き出してみるとなお良い
 下記でやってます。時間があればやってみると良い感じ。
 http://blog.livedoor.jp/sawatari23/archives/51746374.html#more

 オンセだと事前に深いところまで詰めてやることがあります(僕は)。数回やりとりしてイメージを深めると良い感じ。

 →PCの内面理解が深まる

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2)自分のキャラクターが何者であるかを他人に説明する。相手が理解できるように噛み砕いて了解を得られるとなお良い
 他人に説明できないってことは、わかってないという話がありまして。

 →PCの(セッション参加者間での)共通理解が深まる

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3)とにかくキャラクターを状況に合わせて行動させてみて、反応を見る
 動かしてみると「このキャラクターはこういうとき、こういう動きをするのかぁ」ということが良くあります。

 →PCの外面共通理解が深まる

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6.ところが
 5に対策を書きましたが、実際のセッションでは、

・そもそも、どういう対策をすべきか、把握してない人が多い(ここまで読んだ人はもう大丈夫と思いますが)
・対策方法が分かっていても、対策をする機会・時間が十分に得られない

という問題があります。



というところで、今回はここまで。
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by namizusi | 2010-08-20 22:25 | TRPG


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