キャラクター主体の物語の面白さと2つの軸:(・_・)

最近書いてる、TRPGで(今風の、エンタメ系)物語的面白さを演出するにはどうすれば良いか話のその3です。

1)起承転結の転
 http://simizuna.exblog.jp/13714826/

2)キャラクターを理解するということ
 http://simizuna.exblog.jp/13809743/

まあ、毎回言ってますが、別にTRPGで物語的面白さを求めてないなら必要のないものだし、ここで紹介している手法は物語的面白さを出すための1手法を提示しているだけですので、誤解なきよう。



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1.キャラクター主体の物語の面白さって何?
 もうちょっと掘り下げてみます。

1)キャラクターに感情移入して喜怒哀楽を疑似体験する
2)キャラクターが「こんな奴だったんだ!」と発見するのが楽しい
3)今回のセッションを経て、キャラクターがこんなふうに変わった、という変化が楽しい
4)キャラクターが何かかっこいいことをやったり言ったりしてくれると気分が良い

 こんな感じでしょうか。優先順位は人それぞれでしょうが、個人的順位はこの番号通りですかね。
 基本的にエンタメ系ストーリーというのは「いかにして登場人物に感情移入させるか」に血道を上げており、自分のPCや、他のPCや、NPCに感情移入できるかどうかというのはキャラクター主体の物語を面白くするポイントの一つです。

・逆に言うと、感情移入できないキャラクターの話は面白くない

ということですね。(まあ、さらに逆に、感情移入できない極悪非道なキャラばかりを描いて、そのモラルの破壊具合を楽しむという悪徳小説系の物語もありますが、それは例外ということで除外しておきます。TRPGだと、ヴァイオレンスとかParanoia辺りがそんな感じですか)

 ということで、感情移入をするには、

・キャラクターをより深く理解する
・行動の一貫性
・ステレオタイプから逸脱するキャラクターのユニーク性
etc...

というようなものが必要となって来ます。ステレオタイプだけだったら感情移入しないですよね。「どこでパターンから逸脱するか」という部分にこそキャラクターのオリジナリティがあるし、

・そこで逸脱する理由に共感できるかどうか

が、感情移入のために極めて重要となります。

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2.二つのストーリー軸
 ハリウッド映画的なエンタメ系ストーリーなどのエンタメ系ストーリーでは基本的に平行で二つのストーリーが進行します。

1)外面的ストーリー
 キャラクターが、最初どんな境遇にあって、どんな障害を乗り越え、何と対決し、最終的にどんな結果になったか、というストーリー

2)内面的ストーリー
 キャラクターが、最初どんな思想(トラウマ)を持っていて、さまざまな事態を通してその考えがどう変化し、最終的に何を決断するか、というストーリー

 基本的に、上記の両方のストーリーが必要です。片方だけでは薄っぺらい話と感じられます。二つのストーリーが並行で進行し、なおかつぴったり同期すると、それは感動的ストーリーとなります。例えば、映画サマーウォーズのコイコイバトルのツイスト(ひねり)なんかは

・それまで傍観者だったネット上の人々が、勝利のためにみんなこぞって協力を申し出るようになる心境の変化(内面的ストーリー)
・膨大な掛け金が集まることによって、華々しい勝利を遂げる(外面的ストーリー)

の二つが合わさって感動的な展開になるという好例です。

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3.二つのストーリー軸のTRPGでの位置付け
 TRPGでは上記の2つのストーリー軸は基本的に下記のように役割分担されます。

・外面的ストーリー
 GMがシナリオなどで用意し、表現する

・内面的ストーリー
 PLがキャラクター表現によって著す

 TRPGセッションでは、このようにストーリーの2つの軸をGMとPLが役割分担して描いており、それを感動的ですごい話にするにはGMとPLの協力が必須です。

 で、最近のシナリオとかセッションのフレームワークではストーリーのパターンが、広く明確化されてきたので、上記の「外面的ストーリー」は、わりと安定して整ったものを提供しやすくなってきました。

 ところで、GMサイドって、プレイするまでに十二分な時間があるので、必ずしもフレームワークに沿わなくてもイレギュラーな形でセッションを行うことが可能です。

 http://tangawa.blog43.fc2.com/blog-entry-655.html

 こちらで、イレギュラーなシナリオの調整例が出ております。こんな感じに、イレギュラーなパターンでも調整すれば遊べます。ので、別にフレームワークというのは「参考例」以上のものではなくて、十分習得したあとなら、それを破ってもかまわないものです。

 ちなみに、個人的には、上のって下記の車輪の最発明ってやつでしょうって感じですが。

・拠点防衛型シナリオ
 →リンク切れ?

 シナリオ/セッションで安定して回せる構成って世の中にいっぱいありますので、探してみると面白いと思います。「この一個のやり方だけが正しくて、それ以外は正しくない」なんてのはありません。正解は無数にあります。うちも何かそれっぽいのを書いた気がしますが、めんどいので略。オブジェクト指向~とかがそうか。

 ……というわけで、ストーリー構成に慣れてない人にとってはそもそもシナリオとかセッションの構成をどうすればいいか、皆目見当がつかなかったりすると思われるので、上手く回るパターンを見つけてそれに沿ってシナリオなりセッションをやるのは良いですが、ある程度以上慣れたら、必ずしもそれに従う必要はありません。

 一方、問題はPL側の方で、上で書いたようにPLは、物語的面白さを出す大きなストーリー軸の一つ「内面的ストーリー」を担っており、これが上手くいくかどうかがセッションを感動的で素晴らしいものにするのに極めて重要なのですが、現状、これを定式的にやるPL指向(ユーザ指向)なフレームワークというのは全く提示されておりません。なので

・外面的ストーリーもちゃんとこなしつつ、キャラクター表現も上手くこなせる人はとても感動的で楽しめるセッションが出来るが、そうでない人は、いろいろ上手くいかず、しっくりしない話となる

という、PLの技量による楽しさの格差が発生してしまっているという問題があります。この技量格差による、楽しさの差を解消するためにフレームワークが極めて有効です。

・フレームワークはPLにこそ必要だ!

と、主張しておくことにします。

 PLが「内面的物語」を上手く進行させられないときに、それに対処する必要がありますが

・そもそも何をどうすればうまく「内面的物語」を回せるかがわからない。何が足りないかがわからない
・何が足りないかが分かったとしても、それをセッション中のいつ、どこでどうプレイすればわからない

という部分が、現状良くあるフレームワークでは、何も明示されてないので、わかる人は上手くプレイ出来るけれども、わからない人はさっぱり上手くやれずに消化不良で終わるという状況にあります。

 いちおう、フレームワークを理解して「行間を読めば」ここら辺にこういうシーンを差し挟めば良いんかねえ、とか読み取れますけど、誰もが読み取れるわけじゃありません。そのPLの技術格差を解消するために

・(GM向けではなく)PL向けのフレームワークがぜひ必要

と思います。

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4.ハリウッド映画的構成
 ハリウッド映画的構成が、絶対正しいとかそんなことは思いませんが(ていうか、昔はどちらかというと嫌いだったくらいで)、ハリウッド映画的構成の便利なところは、上記に書いた、「外面的物語」「内面的物語」について

・何をすべきか
・それを、全ストーリー上のどのタイミングで行うべきか

というのが、明確になっており、それに従ってストーリー上の要素を配置するだけで

・体裁が整って
・わかりやすい
・感動的な(御約束ではあるが)

という話が出来るという点が優秀と思います。まあ、もともとダメな話はどんなに体裁を整えてもロクなことになりませんが、もともと良い話を、視聴者に受け入れやすく、盛り上がるように、メリハリを付けてブラッシュアップする基準の一つとして、ハリウッド映画的構成方法は有効です。つーことで、盗めるものは盗んで利用しましょう。

 http://d.hatena.ne.jp/DowaT/20100813#1281696463

 いちおうここでシナリオをブラッシュアップすると良いですよ~って話が書いてありますが、ブラッシュアップするにも

「何を基準にブラッシュアップするのか?」

という、指標が必要です。その指標の一つとして、既存の定番のストーリー構成を参考にするというのが有効です。ハリウッド映画風以外にも、インディーズ系映画風にするとか、ヨーロッパ映画風にして見るとか、インド映画風にするとか、中国映画風にするとか、韓国映画風にするとかパターンはいろいろあります。好きなのを利用するがよろしいかと。

 で、「外面的物語」は、別にハリウッド風に整えようがそうしまいがどっちでもいいじゃん(時間がないなら利用する手もありますが)と思いますが、PLがTRPGセッションをプレイする場合には

・毎セッション毎セッション、即興で対応しなくてはならない
・GMが、気を回してうまく対応してくれるのは、GMに嫌われておらず、かつセッション時間が十分あるときだけである。GMは信用できない。

というわけで、GMを当てにせず、きちんとPCの「内面的物語」を表現し切るためにも、フレームワークによって必要なプレイが十分プレイ出来る保証を獲得したいと考えます。まあ、一応サイコロフィクションとか月夜埜綺譚とかAマホ見たいにPL主体でターン制になってるシステムは、システムでPLのプレイ機会が保障されるのでまだましなんですけど。GMが絶対権限を持っててGMの思惑で適当に出番配布するシステムだと、えこひいきで出番格差が発生しますしね。まあ、えこひいきがあるならえこひいきがあるで、きちんとそれもルール化されてればまだましなんですが(Paranoiaとかヴァイオレンスはえこひいきもちゃんとルール化されております。ヴァイオレンスは困ったら1ドル払えば何とでもなるゲームですし)



 グダグダ書きましたが、また長くなってしまったので、今回はこれまでとします。
 次回こそ、起承転結の起について書きたいのですが。
 とりあえず、ハリウッド映画系の3章8幕、2・4・2の構成で、ストーリー的面白さを出すためにどこでどういうことをやるかっていう解説をしてこうと思います。

 んじゃまた。
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by namizusi | 2010-08-23 21:28 | TRPG


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