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リプレイにまつわる「齟齬」について:(・_・)

http://blog.talerpg.net/rpg/archives/1864
http://blog.talerpg.net/rpg/archives/1865

 なんか、突然反応があったり引用されるとドキドキしますが。
 最近はTRPGについて、根本的に歩み辛い齟齬というものがいくつか存在していて、その辺の周辺状況が見えてきて面白いなあと思ってるのですが、この問題はその「齟齬」の一つと言って良いと思います。



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1.端的に言うと

デザイナー:どういう風に遊ばせようとしてシステム設計したのか、ちゃんと見ろよ!
ユーザ:実際、どんな風に遊ばれてるのか、ちゃんと見ろよ!

……という、すれ違いですね。GF別冊の鈴吹太郎の挑戦か何かにも「実際、そのシステムがどう遊ばれてるかを見ましょうよ」という観点に言及されてて面白いんですが、あれは専門学校でテストプレイする時にどう遊ばれてるか、とかテストプレイで誰かに託したときにどう遊ばれてるかとかその辺を指してるのかなあと思いますが、実際のところで重要なのは

・販売後に実際どう遊ばれているか

だと思います。で、ローカルで開拓された遊び方をその後、取り込むか、無視するかとか、その辺の取り組み方について。

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2.公式見解とローカル見解のどちらが有効であるかという場合分け
 より効果がある順に並べてます。

・まっさらの状態から初めて遊ぶ場合
 1)公式
 2)ネット上のレポート/ログ

・プレイグループで、ある程度ノウハウが蓄積した状態
 1)ローカルのセッションログ等
 2)公式
 3)ネット上のレポート/ログ

 結局のところ公式見解がどうであろうと、ユーザが所属するプレイグループ上で遊ぶしかなく、そこである程度ノウハウが蓄積してくると自然にローカルな運用が発生してくるものです。あるいは、

・ルール運用をどうする
・実際どんなシナリオを遊ぶ

という部分は公式でサポート可能ですが

・実際どんなメンツが集まるか
・実際どんな雰囲気で遊ばれるか

といった情報は、プレイする上で重要ですけど公式では提示の使用がないわけで、実際にプレイしながらつかむなり、プレイグループが保持するプレイレポートとかセッションログなどから雰囲気を把握することになります。

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3.デザイン意図と実プレイの齟齬
 デザイナーがどう遊ばせようとしているかと、実際どう遊べるかは別物ですので、本来は分けた方が良いと思います。「モノトーンミュージアム」が

・「メルヘンなプレイをしたい」

とデザイナーが思考してデザインしたけど

・「全然メルヘンじゃねーじゃん」

という感想を得られたという話がGF誌に載ってましたし、ネット上のプレイしてみた感想としても「どこがメルヘンなのか」というものを良く見たように思いますが、だからデザイナーの思惑というのは良くも悪くもあまりあてにならないところがあります。他に「エンブリオマシン」でも、JGCの公式コンベンションで

「『初めてアドベンチャーパートをプレイしました!』と言われて驚いた」

という話をデザイナーの方が言及されてて面白かったんですが、そんな感じにもともとどういう意図でデザインされたかに関係なく、違う遊び方が流布されることはしばしばありますし、それが一概に悪いとも言い切れない。

 ユーザの要求は

・とにかくそのシステムで楽しく遊べればいい

のであって、

・デザイン意図に沿った正しい遊び方で遊ぶこと

ではない(正しい遊び方で遊んで、なおかつ楽しければ良いですが)。

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4.展開力について
 現状公式の方が強いですが、微妙なラインです。

 「新作システムを新た遊ぶ」場合以外の優位性というのはほとんどなくなって来ている。有名システムであれば、編集のきっちりされたリプレイが充実してるとか、最近だとシステム紹介用の同人の動画リプレイ?が、どしどし有志の手で出てくるようになりました(ありがとうございます)。動画のチュートリアル・リプレイの効果というのは絶大で紙媒体の比じゃないところがありまして、公式でもそういうのをやってくれるか、もしくはそういうのがやりやすいように著作権フリーの画像素材を配布してくれるとかすると大いに助かると思うのですが(いい加減iM@sの画像パクリも微妙だろうと……iM@sの画像を著作権フリーで解放してもらえばいいのかにゃ?)。

 昔のネットがなかった頃であれば、全国書店で販売されるリプレイ書籍を何とか手に入れて「こんな感じに遊ぶのかあ」と、事前イメージを固める役に立ちました。特に大きかったのは中古書店で流布したSWのリプレイ。

 ネットが広まってからは

「読みやすく編集された有料リプレイ書籍を見る」
「読み辛いかもしれないし間違ってるかもしれないけどネット上のテキストコンテンツ(リプレイ)でプレイを把握する」

の二択になりました。

 今では

「システム紹介動画を見る」
「読みやすく編集された有料リプレイ書籍を見る」
「読み辛いかもしれないし間違ってるかもしれないけどネット上のテキストコンテンツ(リプレイ)でプレイを把握する」

の三択で、動画がわかりやすさという点で圧倒的に優位に立っているけれども、公式はほぼノータッチな状況となっております(余力のなさというか)。

 公式は取っ掛かりの間口の広さにおいては強いですが、一度「このシステムを遊びたい」と、ターゲットが決まれば、それに関する情報(プレイサンプル。チュートリアル)を入手するのは極めて容易になってますし、コンテンツによっては公式よりもよっぽどわかりやすい優良コンテンツもあったりする。

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5.リプレイ等の表現形式の進歩
 上でも書きましたが、かつては書籍しかありませんでしたが

・電子媒体(インデックス、検索が利用できる)
・動画
・音声メディア(CD)

といったメディアも出てきています。で、書籍以外のメディアについては同人の方が圧倒的に進んでいるという現状がある。……いちおうトミーウォーカーとかがその辺頑張ろうとしてるんですかね。あと、どどんとふとかでプレイを録画編集して公開するのが楽になれば……あれが動画ファイルに変換できれば完璧な感じですが。

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6.同人活動と公式のゆるやかな協調/共存
 というわけで、個人的希望としてはTRPGの遊び方を伝えるコンテンツ(主にリプレイ)については協調してやっていけると良いんじゃないかと思います。具体的に言うと、JGCで同人リプレイの発売が許可される、ゲーム取扱店で同人リプレイが扱われるなど。

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7.公式リプレイの問題
 また、公式リプレイでOKと言いきれない要因として公式リプレイにも種種の問題があるという点が挙げられます。

・読み物としての面白さを強調し過ぎて、プレイの参考にならない
 「こんなプレイうちじゃ出来ない」「見てる分には面白いけど、こんなGM、PLがいたら実際迷惑で、内輪のメンツには読んで欲しくない」……という根強い反発は昔からずっとあります。これらについて一度まじめに考えてみる、とか。

・マイナーなシステムではそもそもリプレイすら出ないことがある
 マイナーで特殊な遊び方のシステムほど出ないんですよねえ^^;。

・サポートが切れたらもうおしまい
 結局金儲けなので、儲からなくなったらそこで打ち切りと。しかしユーザはそれでも遊び続けてるんです(キャンペーンを始めちゃったりしてる場合は特に)。

・公式の良いリプレイがあっても、あっという間に流されて忘れられていく
 ラノベの流通に乗っている弊害ですが。ネットで検索すれば何とか見つかるのでまあなんとか。

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8.コミュニティの遊び方紹介的リプレイのリテラシー
 ・Webサイトを設置して入門者が参照可能にする
 ・内容が短いこと(1時間程度の内容)
 ・行間を開ける
 ・キャラ名を強調/色分けする
 ・コメント/感想を入れる
 ・あんまり長いキャンペーンとかの場合はあらすじ等を付ける
 etc...

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9.まとめ?
・公式と同人が協調して行けると良いなあ
・いちいち書籍リプレイを読むのもめんどくさくなってきたので、もう全部動画にして欲しい(笑)
・すでに、ある程度の規模のTRPGコミュニティを形成しているところは「自分たちの遊び方」を入門者に伝えるために自作のリプレイなりセッションログを公開しておくと良いよ
・サポートが切れた後でも遊び続ける人は存在し続けるので、そういう人向けに同人的コンテンツが役に立つ(たまにコミーの陰謀でサイト閉鎖されるが)
・「プレイの参考になる」という観点は忘れないで欲しい



こんなもんですか。
んでわ。
by namizusi | 2010-11-23 11:00 | TRPG


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