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GMの独善と対決するために:(・_・)

 たまには。

0.背景
 この辺を読んで。

・朝のTRPG語り [2011/10/31] : 大激論!自由とルールと今と昔 - Togetter:
 http://togetter.com/li/207619

 数年周期くらいで毎度毎度繰り返される話題ですが、さすがにTRPG一〇年も二〇年もやっておきながら

「GM次第」

は情けないだろうと。今まで何をやってきたのかと。というところで、最近のシステムではGMの独善とか、GM能力にあまり依存しないシステムが増えて対処方法が多少あるので、そこんところを整理する。

 方針としては

・性悪説的にGMへの対処を分析する。

 あと

「たまにしか遭遇しないので対処は要らないでしょう」
「対処法を考えるということはGMのことを信用しないのですかっっッ(ぺぺぺっ!)」

 というような意見は、そんなことだから原子力発(ry、とか洪水(ry、とか地震(ry という事態で身にしみていると思われるので却下とする。



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1.サポート対象
 本記事の対象から除外する存在としては

・悪意を持ち
・ルールを守る気がない

GMは、対象外とする。さすがにそれはどうしようもない(ルール守らないっつったら、後はもうその場の人間力に頼るしかないので)ので、そこは割愛する。そういう時はヤクザ関係交渉力本でも読みたまえ。あるからそういう本が。

 この辺はゴールデンルールで助長されておりますが(ネットで「それはゴールデンルールで書き換えるから」的つぶやきを見ると毎回ドキドキする)、大昔に散々文句を言ったおかげか

「ルールを可能な限り守る」
「公平なマスタリングをこころがける」

という条項が明記されるようになったので、そこをしっかり読んで意味を理解してることを祈念します。南無南無。いあいあはすたー。Ave Maria.

 余談にそれましたが、本記事の主な対象としては

・悪意はあるかもしれないがルールは基本的に守る
・初心者GMでアップアップで周りが見えず、独善的になってしまっている
・自分のマスタリングに酔って周りが見えなくなっている

……というような一時的独善に毒されたGMを対象とする。セッション運営時に、ポイントポイントで「GMを我に帰して正常な運営に立ち返らせる」効果を上げる取っかかりを示す。

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2.独善ポイント
 GMが独善的になってセッションが滞るポイントには下記の三つがある。

1)セッションの進行が滞る
2)PLの話を聞かない
3)横暴なリソースつぎ込み

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2ー1.「セッションの進行が滞る」
 PLの提示した解決法や課程が気に入らず、GMが情報制限とか始めて話が進まなくなる現象。問題が発生しやすいルール、シナリオタイプは下記。

・「クライマックス」ルール
 特に、PCがクライマックスに到達できるかどうかがGMの裁量に任されていて他の基準がないもの。主にシーン制(シナリオクラフト登場前)

・調査系シナリオ
 GMが情報を出し渋るとよく滞る。

……というわけで、シーン制で調査系シナリオをよくプレイされるスタイルだとこの種の事故に遭遇しやすくなります。

 対策としては下記があります。

1)ダンジョンシナリオ
 GMが気に入ろうが入るまいが、要するにどんな手を使ってでもPCがラスボスの部屋に到達することが出来れば、クライマックスになるのだ。「場所制約」でセッション管理する系統のシステム・シナリオも同様。
 シーン制以前のシステムでは標準的に採用されていたスタイルの一つです。

2)ターン(サイクル)管理
 GMが気に入ろうが入るまいが、規定ターンが経過したらクライマックスに突入するのだ。
 募集時に何ターン(サイクル)で終了するか明言してる場合もあります。

3)シナリオフラグ系
 GMが気に入ろうが入るまいが、セッションの進行を示すリソースが一定以上たまったら自動的にクライマックスに突入するのだ。大本は水戸黄門TRPGとかAマホでしょうか? その後、シナリオクラフトでメカニズムがパクられました(パクリ好き好き)。シーン制ではシナリオクラフトが標準となってないところが実に残念ですが、長年の欠陥がここで解消されたという。
 他に、シナリオフラグ系でもう少し複雑化したものとしてサタスペの情報収集ルールなんかもあります。

 要するに

「GMが気に入ろうが入るまいが、ルールによってセッションの進行が決まっている」

というシステム・スタイルの場合には、セッションの進行を滞らせるGMの独善を打破するきっかけがあります。

「***を満たしたんだから、もう最終決戦に入っていいよね?」

などと言える。ここでGMが我に返ってルール通りの運用をしてくれる可能性が高まります。

 上記の三つのいずれの対処法のないシステム、スタイルの場合は

「ここがクライマックスと思えばいいよね?」
「もう時間がないのでクライマックスに入っていいでしょうか?」

などとGMに媚びを売るしかありません。コンベンションなんかに行くと、上記の可哀想な媚びを売るPLによく遭遇します。いやいや。

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2ー2.「PLの話を聞かない」
 PLの話を聞かずに勝手に話や設定を決めて勝手に進めるGMの問題です。

1)システムなどで「PLの意見要望を聞くべきタイミング」が明確にされている
2)しかも、何をどうやって聞くかの詳細(インタフェース)まできっちり決まっている(ここ、特に重要!)

……というところが決まっているシステムだと、少なくとも該当個所についてはGMがPLに対して耳を傾けてくれるようになります。具体的なルールとしては

・「街づくりシート」(りゅうたま)
・「予約シーン」(熱血専用)
・「戦闘」(大半のTRPG)

 戦闘は、詳細に作られてるシステムが多いので、PLに開かれたインタフェースが多く言い分を聞いてもらえやすいです。パワーゲームで押し切られることもありますが……力が正義だ! 戦闘以外でPLの言い分を半強制的にGMに聞かせるインタフェースのあるシステムは少ないか? AマホだとGM対PLの対話をシステムモデル化してるせいか「質疑応答」「前提変換」などのインタフェースが豊富ですなあ。

 あと、シーンでセッションを管理するスタイルの場合、

・PLがシーンを自分で提示する

ことが出来ればPLの言い分を出しやすいのですが、昔は

・PLはシーンを作ってもいいよと言いつつ
・実際PLがどのように提示したらいいかという手段、インタフェースは何も提示しない

というあこぎな対処によって、PLがシーンを提示するのは抑止されておりました。

・「***していいよ」と言いつつ
・その具体的なやり方は何一つ説明しない

という対処方法は、法律で許されてるが実際にはやって欲しくないことを、手続きをメンドクサくすることで実質適用困難にして阻害するという、公共団体とかがよくやる悪質な対処方法です(ほんとか?w)。

 用心用心。

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2ー3.「横暴なリソースつぎ込み」
 大人げないGMが自分の愛するボスをあっさり殺されて、GMが切れてPCに到底勝てそうもない強敵を無理矢理出すとかそんなのです。

1)GMの出来るご都合主義がルールで制限されている
 →りゅうたまの「竜人」ルールなど

2)GMの出せる敵(強さ、数)がルールで制限されている、もしくは目安が明示されている
 →レベル制のシステム系多数

3)GMの出せる課題がルールで制限されている、もしくは目安が明示されている
 →ハンタム
 →Aマホの「ターン」=課題

 というような制限があれば、過酷になりはしても不可能にまではならずに済みます。ポジティブにとらえるなら

「セッションがスリリングになる(PCが解決可能な範囲で)」

とも言えます。性癖がS系GM環境だとよくある状況ですね(シクシク)。

 まあ、ルールでリソースの制限があったとしても破るGMは絶えることがないとは思いますが、少なくとも

「ルールの制限を破った以上、そこから先は単なるGMのわがままなのか、PLをおもんばかってのことなのか、考える機会を与えてくれる」

という効果はあります。そこが重要。

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3.制限があることによるメリット
 2でGMのやれることを制限する方法をいくつか明示しましたが、GMに制限があるというのは、独善から我に帰させるだけではなく各種のメリットもあります。

1)初心者GMに優しい
 初心者GMは何をどこまでやっていいのかわからなくて苦労します。「何でも出来るは何も出来ない」という話がありますが、それはPLよりもGMの方こそ、何でも出来すぎて何をやったらいいのかを見失いやすい。また、初心者GMは特に

・詰め込みすぎ症候群

で、路頭に迷うことが多いですので「ここまでやっていい」という境界を、狭めに提示されることで、セッションが上手く回る感覚を掴みやすくなるという効果があります。

2)リレーマスターがやりやすい
 専業GMをかって出るマゾTRPGerがいない環境では(シクシク)、GMを持ち回りでやるのが負担軽減によろしいですが(システム&キャラを引き継ぎ出来るとなおよし)、そのときにGMが管理していた設定も引き継ぐことになります。
 この引継ぐ設定が

・範囲が狭くて量が適度に少ない
・引継項目のインタフェースが明確で整理されている

となってると跡を継ぎやすくてやりやすくなります。良くわからないミミズののたくった設定走り書きなど渡されても困るのだ。

3)GM乗っ取りがやりやすい
「こんなGMでやってられるかー!!!」
 というときには、コンベンションでも思わずGMを乗っ取ってしまいたくなるのですが(プルプル)、そんなときに、GMが管理するリソースがフォーマットが決まってて、量が少なく引き継ぎしやすければ、マスタリングが気に入らなければ心おきなく乗っ取りやすくなります。

 個人的にはGM乗っ取りルールが正式ルールとして採用されることを望む。
 ハンタムはかなりやりやすいと思います。

 途中でPC死亡
  ↓
 GM引継(ラスボスデータ引継のみで行ける)。前GMは速攻PC作成(あるいは事前に作っておく)
  ↓
 GM交代

 というようなプレイもサクサク出来るかと。(弱点位置変異とか要るかな?)
 あと、RローズのリプレイでもGMの乗っ取りプレイの例が出ておりました。

・ローズトゥロード リプレイ ソングシーカー (Role&Roll Books) [単行本]
 ローズトゥロード リプレイ ソングシーカー (Role&Roll Books) [単行本]

 Rローズはシステムが軽量で、世界観もやり込んでる人が多くてつかみやすく、ローカル設定もOKな風潮がありますゆえ、わりと乗っ取りやすかったかなあと思います。ワシが昔キャンペーンしてた時も、合間のサブエピソードのマスターをやりたい! と、かって出る人がいたりしましたしな。



そんな感じで。


参考)
・ローズトゥロード リプレイ ソングシーカー (Role&Roll Books) [単行本]
 ローズトゥロード リプレイ ソングシーカー (Role&Roll Books) [単行本]

・あとはGMが扱う資源を管理するシステムさえあれば
 http://blog.talerpg.net/gento/archives/1678
by namizusi | 2011-11-05 13:38 | TRPG


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