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『ぐだぐだ』弾圧の系譜:(・_・)

-1.概要
 TRPGでよく言われる『ぐだぐだ』というものが、いかに一時期弾圧され、その後じわじわ復活してきているかという系譜を、個人主点でまとめてみようかねというヘイトあふれる記事です(笑)。……なので、こういうブラックなネタをさらっと笑い飛ばせない方は、見ないがよろしいかと思いますw。



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0.背景
 某所で『某リプレイでPLたちが話し合ってる場面が書かれているのを見て衝撃を受けた』という感想に、衝撃を受けたのだが。
 つまり、TRPGセッション中にぐだぐだ話し合って、ブレスト的に、設定なり、決断なりを決めていくという遊び方の概念自体を知らなかったと思われる。
 最近の(特に某F社の)リプレイでは、『ぐだぐだ』話し合ってる場面がごっそり抜けてるので、そのリプレイでしかTRPGというものを知る機会がない初心者が続々と増えつつあって、実に迷惑千万、無知は怖いね~、やれやれっつーことで、その辺の系譜をまとめておこうかなあと、思い立ったが吉日の由(錯)。

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1.それは『世界最速のTRPG』から始まった
 きっかけは、こいつの辺でしょう。
 天羅万象・零
 濃密な設定のあれこれを詰め込んだセッションが、コンベンション1回のプレイで出来てしまうということで、『世界最速のTRPG』を謳ったこのシステムが出た辺りから、TRPGセッション高速化が声高に叫ばれるようになりました。

 いろいろかなぐり捨ててきたものも多かったのですが、とにかく

・コンベンションの制限時間内に終わる!
・キャンペーン並みの濃密なあれこれを詰め込んだおなかいっぱいなセッションが1回で出来る

というわけで、コンベンション運営とも利害が一致して、この『速い』システムの考え方が広まるとともに、セッション高速化の妨げになる『ぐだぐだ』が、悪いこととして弾圧されることになりました。補足として『ゴールデンルール』で意思決定の高速化も図られたりしました。

 最近では、本末転倒になって『ゴールデンルール』の存在意義→「TRPGセッションでは時間が限られているから」という、

・セッション高速化のためにゴールデンルールも導入した

という経緯があるのに、

・ゴールデンルールの存在意義はセッションの時間が足りないから

という具合に関係性が逆転されてて、笑っちゃうんですが。どっちが原因なのかよというw。

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2.『ぐだぐだ』とは何か?
 話を進めるにあたって、本論での定義を明確にしておきます。

1)シナリオの進行を妨げてまで、キャラ設定や、話の進行や、背景世界やルール解釈について長時間話し合うこと
2)シナリオの進行とは関係ない脱線話をプレイすること

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 個人的には「程度の問題」と思っていて、

 シナリオを進めるのも楽しいけれども、
 キャラ設定や、話の進行や、背景世界やルール解釈について話し合うことも楽しいし、
 シナリオの進行とは関係ない脱線話をプレイすることも乗ってれば楽しい。

 それらが程よくバランスよくプレイ出来てればいいと思うんですよ。

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3.『世界最速のTRPG』の大嘘(主観)
 個人的には『世界最速』というのはあれは酷い大嘘だったという認識なのですが、『天羅万象・零』で提示された『速い』セッションというのは

・キャンペーン並みの大量の設定やら何やらを1セッションに圧縮するための技術

だったんですよね。個人的にはそんなものは全く求めてなくて『キャンペーン並みの大量の設定やら何やら』をプレイしたかったら

・キャンペーンをやれば良かった

んですよ。当時学生で時間は大量にありましたし、個人的に『キャンペーンを開始したら必ずきっちり最後まで完結させることが出来てた』ので、特に何も困ってなかった。

 また、単発セッションがやりたければ、単発セッションに合わせた短いシナリオを考えれば良いだけですしね。

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4.しかもオンラインでは6倍則
 その後オンラインセッションなどやるようになりましたが『オンライン3倍則』(テキストチャット)というのがありまして、オフでプレイするのと比べて3倍かかるという話ですが、件の『世界最速のTRPG』なんかをプレイした日には3倍どころか6倍以上かかるわけですよ。

 オフセ用に、本来長い内容のシナリオを1セッションに圧縮してるのが、オンセにすると解凍されて余計に時間がかかるんですかね~。

 というわけで個人的には『世界最鈍足のTRPG』という認識だったりするわけですが。

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5.個人的な? TRPG高速化
 一方、内輪なりネットでもプレイ環境に変化によってプレイ時間の高速化が求められるようになって、セッションの高速化を計っておりました。

 最近ではテキストチャットで1時間でも終われるよw?(基本は3時間くらい)

 方式としては

・GMがやりたいことを極限まで絞る

ということで高速化を計っています。D&D4thで『1プレイ1遭遇』という方式で高速にプレイする話をちらほら見ますが、そんな感じです。あるいはAマホで課題1個だけのセッションとかそんなのですな。

 ただこの方式の難点は『早く終わりすぎちゃったらどうしよう?』というところで、システムで、ランダマイザで、時間に余裕があったら出来事を追加できると良いのですが、この系譜でGMがやることを局所に絞りつつ、間はランダムイベントなんかで補完することで、セッションだけでなく、シナリオ作成まで高速化し、しかもPLが好きに『ぐだぐだ』余談に入ってもそれを受け止める余裕があるセッション……というのがきっちりシステム化されて(ほぼ)完成したのが

・『ハンターズ・ムーン

という認識です。
 ナノで、個人的に『速いTRPG』と言ったら『ハンターズ・ムーン』で、やっと達成されたなあという認識ですわ。

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6.リプレイでも『ぐだぐだ』が消える
 リプレイを読むのがTRPGをやってない人まで含めるようになった影響で、『ぐだぐだ』話し合ったりなんかしている場面が割愛されるようになりました。
 それ以前はプレイしている人間に、ウォーゲームのプレイレポートみたいな感じで、プレイの棋譜を見せることを意識されてた(と思われる)ので、ぐだぐだやってるところも結構書かれてたんですけど、なくなりました。

 TRPGシステムで『高速化』(個人的には『似非・高速化』)推進のため『ぐだぐだ』が駆逐されるとともに、リプレイでも、非ゲーマー向けに面白い話の中身の部分に注力して『ぐだぐだ』が省かれるようになった。

 で、『ぐだぐだ』プレイするのが悪いプレイだと勘違いする初心者が増えるとか、『ぐだぐだ』の概念自体知らない人が増えるとか、大きな影響がありました。

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7.『ぐだぐだ』推進装置『シナリオクラフト』の導入
 『シナリオクラフト』って、すんごい『ぐだぐだ』設定について話し合って話し合って『ぐだぐだ』進めるシステムなんですよねー。

 で、以前まで

・『似非・高速化』のため『ぐだぐだ』は排除しましょう

と言ってた奴が、手のひら返して

・(『ぐだぐだ』推進装置)『シナリオクラフト』は素晴らしい

 とか言い出すものだから、どこまで節操なしなのかとマジで思いました(笑)。あの日和っぷりはすごいね! ということで、これについては今後も末永く末代まで語り継いで行きたいと思います(マテ)。

 被害をもろに受けた側からすれば、散々弾圧されまくって酷い目に遭わせられたあげく、あとで向こうが「好みが変わったので、今日からOKね」と豹変された感じな訳で、まあ、死ねばいいと思うね!^^

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7.『ぐだぐだ』する場面を書くリプレイもぼちぼち復活?
 復活かどうかわかりませんが、SW2.0のリプレイはGMの思考をしっかり書いてたり、ぐだぐだや脱線もしまくってますね。それでもセッションをまとめるにはどうすれば良いか? という参考にとても役立ちます。ほかのマイナー系とかのリプレイでもGMが乗っ取られるとか、普通に話し合うとか、PL同士あえて窮地に立ってみるとか、そんなリプレイもぼちぼち出ております。

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8.しかしまだ『ぐだぐだ』する場面を書かないリプレイもある?
 どうだろう?
 そういうリプレイだけ読んで来られると、実プレイとの違いでいろいろ引っかかったりします。GMしてうまく行かないと思ってがっくり来る初心者GMとか(シナリオ通り行かなくても、とりあえず話が落ちてPCが無事ならいいんですよ)。

 実情を知らないPLが増えるとTRPGに引き込むときにちょっと引っかかるのが何とかならんものかなーと。

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9.GMの欲望まみれのシナリオは吟遊詩人を助長する?
 個人的に、キャンペーン並みの設定をぶっこむセッションって


・(シナリオ作成者)GMの欲望まみれのシナリオ


とか思ってしまうのですが。TRPG初心者GMが良く陥るんですけど、食事で言うと


・油ギトギトの満漢全席シナリオ


な感じかなー。そう思いませんかね。僕は思います。

 で、そんなコテコテなのもたまには良いんですけど、普段何度もプレイする分には


・普通の和食並みのさっぱり食事なシナリオ


が個人的には良いんですが。
 毎回ご飯と味噌汁と、なんか一野菜あれば十分なんですよ(個人的に)。
 作るの簡単ですし。
 彩りが欲しかったら、自分でふりかけなり、納豆なり、卵(と醤油?)なりをPLが足せばそれで十分華やかになってうまいんですよ~。

 GMの負荷が減るし、PLもやりたいことを盛り込めるし、Win-Winで長く続けられるセッション環境を作りやすくなるのではないでしょうか。

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10.ああまあしかし『シナリオを進める』を優先したくなるのもわからなくもない
 ワシの時代の場合は

・ウォーゲーム or Multi Players Game→TRPG

と遷移してきた人も多かったので、そこら辺のカツカツなゲームの憂さを晴らすかのように好き勝手暴れ回る先輩とかよくいました。そこで苦労したせいで『シナリオを進める』を優先したくなるのもわからなくもなかったりします。もっと酷い、とち狂った人だと『シナリオブレイクするのが主目的で』という人もいました故、

・それは根本的におかしいだろう

と、排斥しましたが。あれは酷かったなw。

 なのでまあ、最低限のシナリオ構成が回るくらいの強制力なり時間なりは必要と思いますが、最低限以上のものは、PLが好きに使っていいものとして確保しておきたい。TRPGセッションというのはGM一人が作るものじゃないですし。

 無節操なPLに振り回された反動として『シナリオを進める』を過度に強制したくなるのもわからんではないですが、個人的に、GMの思惑通り頭から最後まで話が進んでも全くもってつまらないので(それが希望なら小説でも書いてれば良い。他のPLなりメンツに自分の独りよがりに付き合わせるのは申し訳ない)、最終的な落としどころとしては適度に中庸な落としどころを配置したい。

 『ぐだぐだ』も、混沌のプールとして、ある程度は残しておきたい。

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11.結論?
 ……というような経緯があって、今があると思います(あくまでわしの主観ですが)。
 でまあ、GMの負荷を減らすためにも、多少『ぐだぐだ』する余裕があるくらいのセッションが気楽で良いな~と思うのですが。



んじゃま。
by namizusi | 2012-04-03 23:17 | TRPG


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