シーン制・フェイズ制・ターン制の整理:(・_・)

 これを見て、

・遠藤卓司先生( @takujiendo )、フェイズ制とシーン制について語る
 http://togetter.com/li/440374

 いろいろ突っ込みどころ満載で面白かったのと、「フェイズ制」とかいう非公式マイナー用語を突然導入するとか、ターン制の意味を全くわかってなさそうとか、用語の整理が、いまいち出来てなくてよろしくない感じなので、個人的に整理をしてみようかと。

 いちおう、本分析では、当時から存在した、テクニックとしてシーン単位でセッション管理する方式を「シーン制」、FEAR社が提唱したモノを【シーン制】と記述する事にします。

 あと、「シーン制」については1995年頃までのノウハウの蓄積が、『馬場秀和のマスターリング講座』に大体記載されておりますので、そちらを参考として参照させていただこうかと思います。

参考資料:『馬場秀和のマスターリング講座』

・「シーン制よりターン制:(・_・)」
 http://simizuna.exblog.jp/9628481/
 昔書いたわあ~



--



1.「フェイズ制」って何じゃラホイ?
 予想としては「フェイズプロセッション」のことを差してると思われます。

 「フェイズプロセッション」という正式名称を使わずに「フェイズ制」と言ってるのは文字数制限の問題でしょうか?だったら最初から「フェイズプロセッション」なーんて付けずに最初から「フェイズ制」にしておけば良かったのに、というのが最初の突っ込みどころでしょう(笑)。うむうむ。

--
 次に、内容ですが、「フェイズ制」というのは、オープニング・ミドル・クライマックス(・エンディング)と、セッションを3(4)分割する方式で、FEAR社のシステムでルールブックに明示される前から、テクニックとしては存在しました。

・『馬場秀和のマスターリング講座』第2章 シナリオ作成 2.3.1 ハリウッド構成
 http://www004.upp.so-net.ne.jp/babahide/library/chapter2.html

FEAR社の【シーン制】に記述された意義としては、

ルールブックに明記されたので、広くユーザーに知れ渡った

というところにあります。個人的には、まー誰が最初でもどーでも良いんですが、当時はその辺を気にする人がいっぱいいたのよ(遠い目)。

--
 最後に、何で【シーン制】の話に「フェイズ制」の話を抱き合わせ商法のように混ぜてくるのかが、意味がわからんのですけど、「シーン制」というのが、要するに、

・セッション内容をどのように分割するか?

という思想ですので、それにやや関連する考え方として「フェイズ制」を混ぜたくなったのかもしれません。

 個人的には、あんまり関係ないと思ってるのですが。
 なぜ、関係ないかと言いますと、

・「フェイズ制」というのは、「セッションの開始/終了」をハッキリさせるという点では多大な効果がありました。

 「フェイズ制」というのは、物語構造で言うところの「起承転結」とほぼイコールです。

起:オープニング
承:ミドル
転:クライマックス
結:エンディング

こんな感じ。
 こんな風に、セッションが4分割されるだけでも、大きく分けられてイイじゃん? て思われるかも知れませんが、まともに物語構造を勉強して「起承転結」の構造を理解した人であればわかると思うんですけど、「起承転結」って、実は、物語を分割する役にほとんど立たないんですよ(笑)。

 「起承転結」というのは、それぞれの内容の長さをわかるように分類しますと、

起|承承承承承承承承承承承承承承承承承承承承|転|結

……というくらいの文量の比率になります。「起承転結」というのは、話の中をどのように分けよう~という分割方式ではなくて、実は、話の始まりと、最後どうやって〆るか、を示したに過ぎないわけです。

 そういうわけで、「シーン制」の話に「フェイズ制」の話を持ち込むのは、かなりお門違い、勘違いも甚だしいかな~と。

 ただまあ、セッション全体の、開始/終了を明確にして、広く世間に知らしめたという点では、それなりに意義のある話だったと思います。

--

 しかし、本来の「シーン制」としては、中盤部の「承承承承承承承承承承承承承承承承承承承承」を、どうやって分割するかが重要だったのです。

--
2.「ターン制」って何ですか?
 テクニックとしての「ターン制」(のようなもの)に付いてはここにあります。

・『馬場秀和のマスターリング講座』第3章 セッション・ハンドリング 3.1 タイムスケール管理
 http://www004.upp.so-net.ne.jp/babahide/library/chapter3.html

 上の記事の遠藤卓司氏いわく「天羅万象(初代)」はターン制らしいのですが、どう思われますか?

・天羅万象(初代)
 http://www.j-comi.jp/book/comic/44111

--
 さて「ターン制」というのは、時代と共にけっこう変わっています。下記に分類を示します。

1)ターン制(遭遇) シナリオ作成負荷:1
b0056599_4135943.jpg

 D&D4thなんかで採用されている、1遭遇=1ターン的考え方のターン分割です。一番古式ゆかしいターン制でしょうか。TORGの「シーン」もこうでしたっけ。シティアドベンチャーとかでPC個別に動くようになると、結局シーンで分割されます。

<特徴>
・ターンはGMが分割する
・要するにGMが考えるのはターン(場面)で、図だと「3場面」考えれば良い
・各ターン内のPC個別のシーンはPLが考える
・同じターンの別のシーンには登場出来ない(時空間制約)

2)ターン制(イベントシーン) シナリオ作成負荷:1~任意
b0056599_4144266.jpg

 クトゥルフ神話TRPGがこれです。「天羅(初代)」がこのスタイルに近いですが、時空間制約についてはテケトーに見えるのだがw。

<特徴>
・ターンはGMが分割する
・個別シーンにもGMが一部介入する
・例ではGMは9シーン考えている
・各ターン内のPC個別のシーンはPLが考える
・同じターンの別のシーンには登場出来ない(時空間制約)

3)ターン制(システム) シナリオ作成負荷:任意
b0056599_4152362.jpg

 「月夜埜綺譚」がこのスタイルで、ターン進行が明示的にシステム化されました。

<特徴>
・ターンはシステム・シナリオで規定する
・個別シーンにもGMが一部介入する
・例ではGMは9シーン考えている
・各ターン内のPC個別のシーンはPLが考える
・同じターンの別のシーンには登場出来ない(時空間制約)

 「ファミリーズ!」では、「イベントシーン」もシステム化されて、GMがシーンを考える必要がなくなりました(素晴らしい!)。

4)ターン制(サイクル) シナリオ作成負荷:0(!!!)
b0056599_4155874.jpg

 「シノビガミ」のスタイルです。「シノビガミ」では、ニンジャだからという理由で(嘘)【シーン制】の登場判定の概念が導入されて、同じターン(サイクル)でも、複数回登場可能になっています。

<特徴>
・ターンはシステム・シナリオで規定する
・個別シーンはPLが考える
・例ではGMはシーンは全く考える必要がない……が、それではあまりに暇なので、マスターシーンを3つ考えてみた(笑)
・各ターン内のPC個別のシーンはPLが考える
・同じターンの別のシーンに登場可能

 「シノビガミ」で重要なのは、

・「実はPvPで、隠蔽すべき情報はごく限られたキー情報だけである」
 →キー情報を「秘密」化
 →PvPでも敵対PLのシーンを観測出来るようになった
 →登場判定で割り込みをかけられるようになった

っていう見事な展開でしょうか~。

 ……という感じにターン制の変遷をざっと流しましたが、特徴としましては、下記があります。


1)ターン制では、究極的にはGMはシナリオ(シーン)を作らない。シナリオ(シーン)を作らなくても、セッションは出来る

2)時空間制約などによって登場出来ないシーンがあり、それはルール・常識によって規定されている

3)クライマックスまでの手番数が類推できる(PCの演出の計画が立てやすい)


5)【シーン制】(参考) シナリオ作成負荷:4
b0056599_4165290.jpg

 参考比較のため、【シーン制】の構成を。【シーン制】シナリオは、ターン制と比べて莫大な量のシーンを考えねばならないところが、大変です。まあ、そういうのを考えるのが好きな人には良いでしょうが。

<特徴>
・シーンはすべてGMが考える
・例では12シーンも考えている(!!!)
・同じターンの別のシーンに登場可能

 ここの傾向が端的に【シーン制】の問題(特徴)を表しているのですけれども、要するに

・声の大きいPLを抑止する
 →全部GMが考えてシーン分割すれば良い
 →GMに全権限を与える

という考えです。この考え方というのは、

・GM自身に問題があった場合には、歯止めが効かない

 というリスクを負っています(「ゴールデンルール」も同様)。GMがシーンの割振りを「えこひいき」しだすと、PL側からはどうにもならないし、実プレイでもそういう差別的プレイをされたことがあります。

 プレイする環境で変わると思うのですが、ワシの場合は、「GMが最も信用ならん」と実感してるので、この考え方には合わないかなと思っております。

 この問題というのは現実でも、大いに問題になってる話で、

・某都条例にまつわる表現の自由の問題
・某民主党の公約をさっぱり守らなかった問題
・某自民党の改憲問題

というのは、全部

「絶対権限者が暴走したときに、歯止めするルールがないことによる問題」

で、同じ問題と思います。まー、現実社会と、TRPGセッション運営は環境が違うので、一概に同列に論じることは出来ませんが。


--
補足:「ターン制」と【シーン制】の使い分け
 ……ということを踏まえて、「ターン制」、【シーン制】は、どう使い分けていけば良いかというと、下記のようになると考えられます。

・「ターン制」なシステムが向いてるケース
 ・TRPGセッションをやりたいが、シナリオを作るのは苦手
 ・PLの提案に対して即興的に場面(シーン)をでっち上げるのが好き

・【シーン制】なシステムが向いてるケース
 ・シナリオ作成で、個々のシーンの演出までガッツリ作りたい
 ・PLの提案に対して即興的に場面(シーン)をでっち上げるのが苦手でGM側からシーンを提示したい

 ちなみに、FEAR社のシステムのサプリメントに時々載っている「シナリオクラフト」は、上で言うところの「ターン制」ですので、「シナリオクラフト」の掲載されたサプリメントを購入してプレイするという手もあります。……基本ルルブ代+サプリメント代で二倍金がかかるけどなー。

--
3.「ターン制」は、声が大きい人が有利なのかどうか?
 ……という話が元記事で出ておりましたが、うちの環境では全くそんなことがなかったので、環境の違いについて考察したいと思います。
 ワシの環境では

・PC個別のシーンが出来るぜヒャッハー
 →じゃあ、いちいちパーティー組む必要ないよな
 →じゃあ、PC同士味方である必要もないよな
 →PvPにまっしぐら

という展開をしました。背景としては、RQとかストームブリンガーとかパラノイア辺りをやって、PC同士ドロドロの利害対立する状況に慣れていたから、というのがあると考えられます。そうしますと、上で書きましたが、

・同じターンの別のシーンには登場出来ない(時空間制約)

という制約が極めて重要だったわけです。シーンの時空間制約で「声の大きい人」を隔離してしまえば、影響を限定することが出来た。

 ところが【シーン制】では、PC個別のシーン管理の他に「登場判定」まで導入されてしまいました。「登場判定」というのは、判定さえ成功すればどのシーンにも登場出来るという酷いルールで(笑)、PvP環境でこんなのをやられた日にはゲーム破壊も甚だしかった。当時、批判が山のように出ました。
 で、「シーン制」環境でありながら「登場判定」も、ほとんど制約のないザル状況が許容された理由としては、

・PC個別の場面をやりたい
・しかし、PC同士が敵対する事は考えてない

という環境で遊ばれてたからと考えられます。結局その後、

・シーンプレイヤーの概念導入(ブレカナの辺り……基本ルルブには載ってなかったので、どこかのサプリメントかGF誌のサポート記事で紹介されたと思われます)
・シーンプレイヤーが他PCの登場を拒否出来るようになった?

という対応で緩和されました……が、PvP的遊び方の完全復活までには「シノビガミ」の登場まで待たねばなりませんでした。

 以上のようないきさつのため、ワシの認識では、下記のような感じです。

・【シーン制】は「登場判定」によって、声の大きいPLを助長した。なおかつシーン分割によって描きやすくなったはずのPvP的遊び方の発展を10年は遅らせた

--
4.「シーンの終了を意識する」について
 これについては、昔はシーンの終了条件が記載されてなかったので、そんなのは何にもありませんでした。
 最近はシーンの終了条件がシナリオで明記されるようになって、良いのですが、いつから明記されるようになったかはファンの方が調査してもらえると助かりますかね。

 個人的には、シーンの終了を意識することについては、以下の2つの要因で意識するようになりました。

1)「深淵」の夢歩き
 「深淵」というシステムの「夢歩き」では、PCの夢の中のシーンをプレイするのですが、そのシーンの、開始時・終了時にカードに書かれた「語り部」を読みます。「語り部」というのは

「死は正しき終わり。終わりなくば節度もまたなし」

みたいな言葉がカードに書かれていて、夢歩きのシーンの前後で読み上げるのです。(思わせぶりな言葉で、具体的すぎず、抽象的すぎない絶妙な塩梅が良い(白目))

・開始時の「語り部」は、そのシーンの方向性(テーマ)を示唆する
・終了時の「語り部」に沿うようにシーンを終えると、メチャかっちょいい

2)オンラインセッションでの「シーン」
 オンラインセッションでは、シーンにあれもやりたいこれもやりたい、これはどうしよう、と考えだすといくらでも時間が伸びで、セッションが間延びすること甚だしく、昔の終了条件のない【シーン制】のシナリオでは、ダラダラしたプレイになることが多くて大変でした(遠い目)。で、必要に駆られて、いかにコンパクトにまとめるかに腐心するようになったです。その辺のテクニックの話は、本ブログ上でも書きましたかね。

・オンラインセッションの最速シーン運営
 http://simizuna.exblog.jp/3155774/
 http://simizuna.exblog.jp/3161930/

 まーそういうわけなので、【シーン制】だから、シーンの終わりが意識されるようになったとか、そんなことは、個人的には全くないんですけど、数々のノウハウが吸収されてやりやすくなってるのかな~ってところはあります。

--
5.蛇足:「深淵」のシーン制について
 蛇足ですが、「深淵」のシーン制は、

・通常のシーン→時空間に縛られる
・夢歩きシーン→時空間に縛られない

 という、上記で書いた2つのタイプのシーンを両方併せ持ってるところが面白いなあと思うのですが。



そんなところで。
[PR]
by namizusi | 2013-01-21 04:21 | TRPG


<< 「ビジュアル・セッション」のス... TRPGプレイで「why」と問... >>