人気ブログランキング | 話題のタグを見る

GMが暇になったときにできること:(・_・)

0.背景
 最近はチャートが充実して、GMがいちいち細かくシナリオを作らなくてもセッションを回せるシステムが増えてきました。そうしてGMがやらなければならないことが減って楽になり、初心者でもGMがやりやすくなって、とても素晴らしいと思います。

 しかし一方、過去のGMスタイルに慣れて、あれこれ細かいところまでお節介をかいていた人たちが、負荷軽減によって時間が余り、

 時間が空いてしまったのだが、GMである俺は何をしたら良いんだろう?

と、逆にどうしたら良いか分からなくなる事態も発生しているようで面白いので、それに対する対策を考えたいと思います。

--
蛇足)
 個人的な感想としてましては、過去にもTRPG界隈で「自分は何をしたら良いんだろう?」と分からなくなる現象が問題になったことがあったように思うんですけど、何だろうと思い返してみたところ、

『何でもできるは何もできない』

論の話といっしょじゃん(笑)、という。

 今回の場合は、

 GMというのはセッションにおいて絶対的な権限を持っており、理論上『何でもできる』。
 →しかし、システムが整備されて、時間に余裕ができてしまった。
 →いざ時間が余っても、何をしたら良いか分からない。
 →どうしよう?

 そんな状況かと。

 昔の『何でもできるは何もできない』論というのは、『PLの想像力』というのを過小評価した、鼻持ちならない、酷い論だったと思うんですけど、ただ、GMが、何をやったら良いか分からないと言いたくなるのは、分からなくもないです。

 GMというのは「即興が苦手だからGMをやっている」という人も少なからぬ割合で、いると思うからです。
 GMは得意だけど、PLは苦手、というタイプのGMさんがしばしばいらっしゃいますが、その原因の一つが「即興苦手」なのかなあと。
 そうしますと、

 時間が空いて何でもできるようになった
 →と言われても、何をしたら良いかなんて思い付かない!

 と言いたくなるのも分からなくはない。うむうむ。

 そんなわけで、即興苦手なGM向けに、TRPGの空いた時間にGMとして何ができるか? のガイドラインのような物を書いてみようという試みが本記事となります。

(長文失礼)

(「4.その他のアプローチ:席を外す」追記:2013.03.31)



--


1.GMが手が空いたときにできること
 さて、セッションでGMの手が空いたときに最初に何ができるかと言いますと、

『セッションを観察する』

 だと思います。じっくりと観察すれば、

1)今セッションがどのように進んでいて
2)どのPLが何をしようとしていて
3)それを実現するためには何が足りなく
4)それは誰だったらフォローができるのか?
5)そして、この状況はどうなったら終結するか?

……というような状況が見えてきます。
……見えてくるよう、よく観察して状況を脳内整理してください。

1)今セッションがどのように進んでいて
 これというのは、今のGMが暇な状況が、どのような条件を満たしたら解除されて、再びGM側からアクションを起こさなくてはならなくなるか、という

・『この場面の終了条件』

が分かるかっつーことです。

 そこから逆算して、

・『終了条件に到達する前にPLだけでできることは何か?』

というのも見えてきます。つまり、GM不在で進行するこの場面というのは、

----------------------------------------------------------------------
『終了条件に到達する前にPLだけでできること』を消化し、
『この場面の終了条件』を満たしたら、さっさと次の場面に切り替える
----------------------------------------------------------------------

という場面ということになります。
ここでGMにできることは、

・PLだけでできることのうち、PLが失念した議題を示唆する
・終了条件を満たしたら、とっとと場面を打ち切って、先に進める

になります。これをリアルタイムに、空気を読んで、適切に対処しようと緊張して状況を観察してるだけで結構大変だと思います。暇なんて言ってる暇なんてないかとw。

--
2)どのPLが何をしようとしていて
 PLが主体的に場面を進めているということは、基本的に、

・最低1人以上のPLが積極的に情報交換したり話を進めている

ということになります。これは逆に言いますと、

・メインで話を進めている最低1人以上のPL以外のPLは、状況を見守って手が空いているかも知れない

ということになります。そこでGMにできることは何かと言えば、

・メインで話を進めている最低1人以上のPL以外のPLが、自発的に話を進めたくなるようなネタを振ることで、場をより活性化する

ということが出来ます。どんな場でも、全員が活発に動いていることはありません。一部の人が先導して、他の人がそれをフォローするような状況に、常に、なっています。GMは、その先導する人を循環させて、場の盛り上がり具合を底上げしていくことができます。

--
3)それを実現するためには何が足りなく
4)それは誰だったらフォローができるのか?
 各PLが独力でできることには限りがあります。GMないし、他のPLの助力を仰ぐ必要が発生します。
 GMは、基本的に、セッションの全情報を把握していますので、

・あるPLが助力を欲したときに、どのPLに頼めば上手く行くか

が、すでに分かっているはずです。

 ですので、GMは、あるPLが何かの目的を達成しようと話を進めているときに、どのPLと関わることになるかを先読みして、先読みしたPLに事前準備するよう促すことができます。

 あるいは、PLだけで問題解決できない場合には、GMに質問が飛んでくることになりますので、それも先読みして、必要な情報なり、サマリー、ハンドアウトなどを準備しておき、いざ問合せが来たら即座に回答できるように待機することができます。

 このようにしてGMは、PLが持っている情報と情報、状況と状況とを、全体を俯瞰したメタな視点から、必要に応じて、なめらかに、リンクさせていくことができます。『セッションの潤滑油』とでも命名しておきましょうか(偉そう)。

 「なめらかに」というのは、とても重要なことで、

・とにかく快適に気持ち良くプレイできる
・認識摺り合わせの時間を短縮できる

という効果があり、プレイ時間が長引けば長引くほど効いてきますので、これまでやってられなかった方は、ちょっと気を付けるようにしてみると、よろしいかと思います。

蛇足)「お手紙作戦」
 ここで、特定のPLだけに見える「お手紙」(メモとか、チャットなら秘話とか)を使用して、情報補完することで、場に新たなる混乱をもたらすこともできます(邪

--
5)そして、この状況はどうなったら終結するか?
 今の状況がどうなったら終結するかという『終了条件』を把握し、
 現在『終了条件』のうちの何パーセントが達成されてるかを把握し、
 『終了条件』のうちのどれが足りないかを把握し、
 『終了条件』のうちの足りない物を、きちんと足りるようにPLに促し、
 『終了条件』を満たしたら、その場面をきちんと終結させる。

 ということが、GMのできることになります。

--
2.GMの役割が変わるということ
 GMが暇になる系システムの運用というのは、有り体に言うと『PL主導』な運用に切り替わるということだと、ワシは認識しております。
 某社の『GM主導』な進行ばかり体験してると、基本思想が異なるので、どうしたら良いか分からなくなるかも知れませんが、解説を試みると、

・『GM主導』な役割分担
 GM:話を先導する(メイン)
 PL:話の進行に応じて即興で演技する、戦術を考える(サポート)

・『PL主導』な役割分担
 PL:話を先導する。「やりたいこと」を宣言する(メイン)
 GM:話の進行に応じて即興で必要な情報・状況を提供する(サポート)

こんな感じに立場が逆転しますので、それを念頭に置くと考えやすくなると思います。

 ちなみに、『PL主導』な進行の時に、GMがどのようにサポートするかについては、上の「1.GMが手が空いたときにできること」にすでに書きましたので、必要があれば再参照をば。

--
3.その他のアプローチ:GPC
 GMがセッション中に手が空いたときにできることのアプローチとして、他の方法もあります。

・『GPC(ゲームマスター・プレイヤー・キャラクター)』

 というのが、その手法の一つです。これというのは、要するに、

・GMもPCを作ってセッションに参加しようぜ!

っていうことです。GMやってて暇なら、PLになって混ぜてもらえば良いんだ! ってことです。

 ただまあ、GMが自分のPCを操るのは、自分の用意した舞台で、それに合わせたPCを動かすということで、圧倒的な地の利があり、PvPなんかの場合には、普通のPCより有利になってしまいますし、協力型のセッションでもPCの場面を喰ってしまいかねないので、バランスを取って弱体化させるのが望ましいと思います。

 PL主導では「セッションの主役は常にPC」という考え方がありますが、これとGPCはぶつかり合ってしまいますので、注意が必要です。

<GPC作成の注意点>
 ・基本はサポート or 悪役に徹する
 ・PCよりも弱いキャラクターにすること
 ・地の利を生かして状況によってはPCを上回ることもあり得るくらいのバランス
 ・PLに好かれるようなキャラクターを目指すこと(悪役でも)
 ・必要がなかったら登場させるな
 ・登場機会がなくなっても泣かないこと
 ・殺されたり酷い目に遭わされても泣かないこと

 GPCがメインで矢面に立つのは、PLたちがGPCのことを好きになってしまって、積極的に推してくれる場合に限った方がよろしいかと思います。

 キャンペーンなんかでは、長く思い入れのあるNPCが生まれるのもキャンペーンの楽しみの一つですし、とにかく「PLに好かれるNPCを演じられるようになる」ことはマスタリングする上で大きな助けとなりますので、機会があればチャレンジしてみてください。

蛇足)
 GPCの例としては、「シノビガミ」リプレイ四巻の「ケムシ」なんか、悪役だけど良いキャラだと思うんですがー。

--
4.その他のアプローチ:席を外す
 手抜きと言われそうですが、「席を外す」(トイレに行くとか言い訳して)というのも有効な対処方法です。気分を害さないように、もっともらしい理由を付けましょう。
 この時に、

「戻ってくるまでに、***に付いて決めておいてください」

など、ちょっとした課題を指示しておくと良いです。
 この対処のメリットとしましては、下記があります。

1)PLの、GM依存を解除する
 GM主導なセッションに慣れ切ってしまっていると「何かあるたび、いちいちGMに確認したがる」という悪癖が身に付いてしまっていることがあります(GM主導なセッションでは良いですが、PL主導なセッションでは大問題なのです)。そうしていちいちGMに確認していると、自分が主体的に考えて進める、というPL主導的なスタンスを身に付けられないし、GMがそれにいちいち応答していると、それだけでもGMの思考コストが消費されて、せっかく権限の委譲をしたのに、そのメリットが生かせません。


 結果だけ分かればいいんだよ(GM的には)


2)GMが思考整理する時間を確保できる
 PLとの対話から離れて、GMとしてやるべきことの整理ができます。

・渡し忘れた情報はありませんか?
・伏線の張り忘れはありませんか?
・状況を変えるために、介入するイベント・NPCを考えてみたらどうでしょう?
・話を収束させる場面・アイテム・NPCの整理をする

などなど。考えられることはたくさんあります。



 まあ、そんな感じで、GMの手が空いて楽なシステムでも、それ用の楽しみ方が、たくさんありますので、いろいろやってみてGMの様々な楽しみを享受できると良いかなと思います。

 んじゃま
by namizusi | 2013-03-30 13:24 | TRPG


<< 「ラビットホール・ドロップスG... 「ビジュアル・セッション」のス... >>