プレイヤー視点によるTRPGシナリオ作成:(・_・)

・TRPG でシナリオの正規ルートから外れそうなとき、GMは
 http://togetter.com/li/622320

・続 TRPG でシナリオの正規ルートから外れそうなとき、GMは
 http://togetter.com/li/623295

 この辺とか見て。
 いあ、発言を途中だけ抜かれると文脈がねえ^^;。

 正規ルートを外れた場合に対処したTRPGシステムって実は多数あるので、この辺に書きました。

・メモ:想定外展開をサポートした各種システム・技法
 http://togetter.com/li/623665

 それから、正規ルートを外れちゃったよほほん、実践編として、下記がかなりお勧めと思います(古くてすまん)。

・ビヨンド・ローズ・トゥ・ロードでわかる実践RPG入門
 http://www.amazon.co.jp/dp/4893691074/ref=cm_sw_r_tw_dp_VHz-sb1G914FY

・精霊の大地―ビヨンド・ローズ・トゥ・ロードでわかる実践RPG入門 2
 http://www.amazon.co.jp/dp/4893691503/ref=cm_sw_r_tw_dp_KKz-sb17JSEFH

・RPGセッションガイド―「ファー・ローズ・トゥ・ロード」リプレイ
 http://www.amazon.co.jp/dp/4890525378/ref=cm_sw_r_tw_dp_XLz-sb1X4JM07




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1.「ぶっちゃけ」の功罪
 想定外の展開に行きそうになったときに「ぶっちゃけ」は現場で効果的な対症療法なのですが、

・「ぶっちゃけ」→現場の対症療法
・「別の展開を考える」→事前の予防法

ということで、全然位置付けが違うので、同列に扱うこと自体がナンセンスかと思います。

 あとまあ「「ぶっちゃけ」で対処するから別の展開なんて考えなくていいや」という思想は、

・シナリオ作成コストがバカ高いごく一部のシステムの、致命的欠陥をごまかすための方便

かと。

 古くさい話を持ち出すと、補助輪で気付かぬまま補助され続けると、そうでない状況になったときにどう対処すれば良いか自体を発想出来なくなってTRPGユーザが退化する、なーんて話がありましたが(誇張)、本当に退化してるTRPGerっぽい人が見受けられて、マジ受けるーって感じでしょうか。

 それはさておき、実際のところ、長くTRPGシナリオ作成してると、別の展開とかあまり考えないのですが、理由は、

・慣れてアドリブ対処出来るようになるから

です。

 しかし、経験も何もなしにいきなりアドリブ対処出来るかというと難しいので、その予行演習として正規ルート以外の展開を考えておくことは無駄ではない、と考えます。

 むしろ、「こんな状況でPLだったら、こう反応して正規ルートを外れるだろう~」と考えることで、PLの視点に立ってシナリオを考えることになります。PLの視点に立って考えられたシナリオは、その分ストレスなく展開に入っていけるようになり、PLからすると「遊びやすい」「入り込みやすい」シナリオになるわけで、余裕があるなら一度は考えてみるのがよろしいと思います。

 実際、シナリオとして書き下ろしはしないけど、頭の中ではいくつもの展開パターンを脳内シミュレートして、その上で「この展開になる確率が一番高そうだなあ」というのを算出してたりするので、頭の中で考えてることを、慣れてないので、一度書き落としてみてみるだけの話かなあと私は思うのですがにゃ。

 「ぶっちゃけ」については、他にもいろいろ言いたい問題があるのですが、本論の主旨と外れるので、この辺で打ち切りにします(「ぶっちゃけ」って、話し合いですらない、ただの「押しつけ」だろう? とか)。

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2.なぜPLは正規ルートを外れてしまうのか
 PLが何故正規ルートを外れてしまうのか、には理由があります。

 それは、シナリオ作成者である、あなたが、自分の思い込みと偏見でシナリオの展開を作っているからです。

 実際に遊ぶ相手の方にも問題があるかも知れませんが(人それぞれ偏った思想傾向を持っていますので)、あなたの方にも問題があります。
 少なくとも、

・あなたは、相手のことを知らないので、相手の望むような展開を想定出来ない

 という問題がありますし、もっと酷いのだと、

・あなたは、相手のことを知ろうとすらしていない

 という問題まで持っている可能性があります。

 これは、ICT業界でのシステム導入でも顕著だった問題で、昔は海外の業務システムって「俺様の考えた仕事の流れに合わせて仕事しやがれ! それ用に作ったシステムを準備したのでありがたく使え!」という思想でしたので、

・衝撃的なオリンパス社長の自社ERP批判
 http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20140129/533208/

こんな問題が、今になって吹き出したりしております。

 この問題が解決されたかというと微妙ですが(今になってやっと顕在化してきたところなので(苦笑))、「それは良くない!」という見解は既に各所に挙げられておりまして(ソースはググれ)、対応する考え方として「ユーザー指向」「ユーザビリティ」「アクセシビリティ」という思想が提唱されており、大企業とか、官公庁とかで徐々に対応されてきております。

・U-Site
 http://www.usability.gr.jp/

・アクセシビリティ・ユーザビリティ Webサイト構築 | 株式会社NTTデータビジネスブレインズ
 http://www.nttd-bb.com/web/accessibility.html

・主なアクセシビリティ対応項目 | 外務省
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/accessibility/komoku.html

・アクセシビリティへの対応について:文部科学省
 http://www.mext.go.jp/accessibility/

 要するに、システムを使う人の視点で、使いやすい、要望に添ったシステムを作れるようにしましょう、という考え方ですな。

 この考え方が、TRPGのシナリオ作成にも使えます。
 この考え方に沿ってシナリオを作成することで、PLがより快適に遊びやすい、シナリオを作れるようになります。

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3.TRPGシナリオ作成におけるユーザビリティの実践
 TRPGシナリオ作成でユーザビリティ的思想を適用するとどうなるかという例を下記に挙げます。

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3-1.ユーザビリティテスト

・ユーザビリティの評価手法
 http://www.usability.gr.jp/whatis/methods/

 ユーザが使いやすいシステムかどうかは、上記テストを実施することで、ある程度検証・対策出来るということが記述されております。

 TRPGシナリオ作成にこれを適用すると、こんな感じになると思われます。

1)ユーザビリティテスト(ユーザーテスト)
>ユーザビリティテストでは、5人のユーザーでユーザビリティ問題の85%を発見できることが明らかになっています(Nielsen and Landauer, 1993)。ユーザビリティを向上させるには、何十人も一度にテストするよりも、5人程度の小規模なユーザビリティテストを繰り返した方が効果があります。

 要するにTRPGでは「シナリオのテストプレイ」をすれば、その時点で「5人程度の小規模な」人員でのテストが実施できたことになります。

 ここでの問題点をインタビューしてきちんと吸い上げれば、作成したシナリオの「遊びにくい」という問題を85%は抽出できる、と考えられます。

2)エキスパートレビュー
 専門家に問題点を指摘してもらえ! という話。
 TRPGシナリオ作成経験者に、問題がないか見てもらうとかすれば良いかと思われます。
 ネットが普及してなかった昔であれば、見てもらいたい人=一緒に遊ぶ人で、見せられない! という問題がありましたが、今だったら自分のプレイグループとは別の信頼できる識者に、自分のシナリオを添削してもらう、ということが比較的容易に可能と思われます。
 類似で、「ペアシナリオメイキング」というものも実践されております。

・「ペアシナリオメイキング」
 http://trpg-labo.com/labo/2

2-1)「ニールセンのユーザビリティ10原則」
 エキスパートレビューの「ヒューリスティックチェック」に「ニールセンのユーザビリティ10原則」という「使いやすくする」ための基準が提示されております。

 01.システム状態の視認性を高める
  ・シナリオ構造/展開の視認化
   →シナリオアート
   →ターン/サイクル
   →シナリオフラグ

 02.実環境に合ったシステムを構築する
  ・プレイする面子、プレイ環境(サークルの傾向とか)etc...に合わせたシナリオ構築

 03.ユーザーにコントロールの主導権と自由度を与える
  ・PLが自発的に動いて良い局面があるかどうか
  ・PLが自発的に動いて良い局面を明示する

 04.一貫性と標準化を保持する
  ・ルールの一貫性
  ・NPCの一貫性
  ・展開の一貫性
  ・公式NPC・モンスターの利用
  ・ルールに則ったNPC/モンスターの使用
  ・定番の展開パターン

 05.エラーの発生を事前に防止する
  ・何か問題が起きそうな局面の前に、事前に予告/インスト/伏線張りしておく
  ・今回予告
  ・ハンドアウト

 06.記憶しなくても、見ればわかるようなデザインを行う
  ・わかりやすいシナリオ構造、定番の展開
  ・NPCや、アイテム/小物のビジュアル化

 07.柔軟性と効率性を持たせる
  ・柔軟に対応できるよう部品化/可変にする
   →シーン/NPCを可変にするとか
  ・よく使う項目は効率的に簡単に使えるようにしておく
   →定番の相談役NPCを設置して、PCが困ったときにすぐ相談できるようにしておくとか

 08.最小限で美しいデザインを施す
  ・シンプルでわかりやすく、親しみを持って受け入れやすいNPC/展開/事物
  ・NPCを必要最小限まで減らす
  ・場面数なんかを必要最小限まで減らす

 09.ユーザーによるエラー認識、診断、回復をサポートする
  ・問題があった場合に、問題があったということを明らかにする仕組み
   →Aマホの「質疑応答」、サイコロフィクションの「ゲームマスターのツッコミ」など
  ・問題の対処方法をサポートする流れを明確化する
   →GMが独断で決める(ゴールデンルール)、
    話し合って決める、
    担当のPLに決定権があり、対応しきれなかったらGMがフォローする(ラビットホール・ドロップスi)など

 10.ヘルプとマニュアルを用意する
  ・ルールブック/サマリを各人に行き渡るよう準備する
  ・シナリオ固有ルールとか使う場合は、それを各人に配布
  ・判断に必要な情報などを、いつでも参照検討できるようにしておく(ハンドアウト)

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3-2.なんちゃってペルソナ手法

・知っておきたいIT経営用語 - ペルソナ とは:ITpro
 http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Keyword/20080124/291960/

・Webサイト設計のためのペルソナ手法の教科書 ~ペルソナ活用によるユーザ中心ウェブサイト実践構築ガイド
 http://www.amazon.co.jp/dp/4839922349/ref=cm_sw_r_tw_dp_BYA-sb1K2ZSRB

 ペルソナ手法というのは、そのシステムを使うユーザというキャラクターを構築して分析する手法です。真面目にやると、年齢・性別・性癖・職業・経歴・トラウマetc..という膨大な情報を持ったキャラクターを構築して何ヶ月も時間をかけてやったりするらしいので、あまり実用的ではないのですが、カジュアルな環境でTRPGをやるときに「今回のセッションでは、こういうPLが参加して、あの人は『姫騎士』という属性のヒロインが登場すると迷わず釣れるのでとりあえず入れておこうか」とか考えたりします。

 それです。

・ソード・ワールド2.0リプレイ from USA(1) 蛮族英雄─バルバロスヒーロー
 http://www.amazon.co.jp/dp/4829145986/ref=cm_sw_r_tw_dp_y6A-sb19GJNH0

 このシリーズでバリバリ実践されておりますね。とても参考になります(ステマ)。
 TRPGのシナリオ作成でペルソナ手法的考え方を採用するなら、これくらいで十分と思います。その時遊ぶ面子に対応できれば良いのよ。

 しかし、見知った身近な人と遊ぶ場合には、相手のPLがイメージできるので良いですが、オンセやコンベンションで不特定多数と遊ぶ場合にはどうすれば良いかという問題があります。

 そういう時こそ、ペルソナ手法が威力を発揮します。

 ――ところで、実はTRPGにおける、定番のPLの傾向(ペルソナ)については、下記にすでに提示されております。

・マンチキン翻訳
 http://www004.upp.so-net.ne.jp/babahide/library/munch_j.html

 ・リアルマン
 ・リアル・ロールプレイヤー
 ・ルーニー
 ・マンチキン

 最近のTRPG者分類だと、キャラクター重視者とか、ストーリー重視派とか、恋愛プレイ大好きとか、もう少しいろいろありますが。

 上記のTRPGプレイヤーのタイプというのは、極端に尖った、困ったプレイヤーのことを指しており、実際にはそこまで極端な人はいない――実際目にしたら俺の卓からは叩き出してやるぜヒャッハー――というわけで、実際にはおりませんが(後ろ手にいろいろ隠しつつ)、傾向として、とにかくルール的に有利で強いのが好きとか、どんなときでもギャグに走りたいとか、という特性を多かれ少なかれ誰もが持っている、と考えられます。

 なので、それぞれの傾向の人が喜びそうな要素を入れておくことで、それぞれの嗜好を満たしやすくできる。

 例えば、シリアスで泣けるような場面をやると、ギャグの虫が沸いてくるルーニー傾向なPLってよくいます。そういう人のために、シリアスな場面のあとには、気楽なギャグのできる場面を入れる(水着回とか)とかですな。

 水着回を入れるのは、話のメリハリが付くメリットがあるけど、いきなりやると唐突だったりするので、シナリオ作成段階で自然に海に行くよう話を仕組んでおくのだ(これは任務のためだから仕方ない!)。

 ――そんな感じに、ペルソナ手法っぽい考え方も、PL視点で、PLが遊びやすいシナリオを作るのに有効です。


そんなところで。
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by namizusi | 2014-02-11 14:23 | TRPG


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