ストーリー的面白さ(5)

 [もの作り]“楽しい”の構造について

 「驚き」の面白さについて。

 これについてはミステリというジャンルが十八番である。その手の本の帯を見ると「驚愕の真相!」「驚愕の展開!」「驚愕の犯人!」「驚愕のトリック!」などなど、よくまあこの世の中にこれだけたくさんの「驚愕」があるなあと思わずにいられないくらい「驚愕」は巷にあふれ返っている。また、SFの世界も「Sence of Wonder」と言って、現実とは違う世界を創造することで感覚的な斬新さを生み出したりしている。

 さて、TRPGの演出テクニックとしてこの「驚き」の面白さを使用する場合、難しいのはTRPGのPLというのは思ったほどロジックが読み取れないという点である。将棋を指していると、指している当人は夢中で“手”が見えないが、横で観戦してる人は「ここでこう指せば詰むじゃん」とかいうのが見えるというのと状況が似ている。当事者のつもりになって感情移入して考えていると、周りが普段より見えなくなることがよくある。

 そういうわけであまりややこしい仕掛けを作っても消化不良でもやもやしてしまうので、

・まず単純化する

というのがポイントとなる。「驚き」の面白さを表現する以上セッション中で何らかのどんでん返しを起こすことになるが、それはぱっと見てすぐに理解可能なものであるのが望ましい。例えば映画「セブン」なんかは、最終的な状況はとてつもなくシンプルで破壊的である。

 次に、

・ひねり過ぎない。

映画「ゲーム」なんかいい例であるが、あまりにひねりすぎると何をより所にして考えたらいいのかが不明になって、話が終わっても終わった感じがしなくて消化不良、ということになる。僕の経験則で言うと

・せいぜいひねりは0~2回まで

というくらいで3択にするのが妥当ではないかと思う。
 そして次のポイントは

・伏線を張って納得させること

とんでもない展開を引き起こすと、その物語のリアリティが破壊される。壊されたリアリティを修復するのに伏線を張って「こういう経緯があったからこうなったんだよ。」と見せることが重要である。

 しかし、ものには常に例外がある。

・映画「LOVERS」

これはもうどうしようというくらいキャラの立ち位置に裏があり、七転八倒するプロットでわけがわからなくなるが、立ち位置がわけがわからなくなることでかえって浮き彫りになるのは、

・結局信じられるのはお互いの“愛情”のみ。それを信じるしかない

という話に転んで濃い大陸感覚の愛憎劇として完成している。特殊ケースであるが「驚き」の演出というのはこういう逆説的表現を利用するとかえってうまくはまったりすることがある。コード進行で裏進行でも劇的展開を感じられるのと似ている。
 また、伏線を張らずに驚異的な展開を納得させる話もある。

・逆境ナイン

である。あまりに破天荒で驚愕的過ぎる展開というのは別の意味での感動をもたらすことがある(センスを問われるけど)。


 いずれにせよ「驚き」の面白さというのはシナリオ作成者のストーリーセンスを問われる挑戦しがいのある演出であるし、一般的にも支持されている面白さである。システム的にこの辺がフォローされるといいと思うのだが今のところあまりよいシステムは見てない。カードゲーム「人狼」なんかがむしろうまく取り込んでいる風かのう~?

 そんな感じにうまくセンスを磨いて面白い演出をセッションに取り入られるようになると、わくわくするセッションができるようになると思う。


いじょ
[PR]
by namizusi | 2005-12-01 18:21 | TRPG


<< 物語的ゲーム性の相違 いろいろ >>