物語志向なセッションの構成(3):(・_・)

そろそろ本論に入ろうかと思っていたのですが、脱線話で考察したことをもうちょっと突っ込んで整理してみる。テーマは前回の

「PLからの主張を容れやすいルール/システムの要件」

について。
まあ、本当にそうなのかよくわからんのですが、とりあえず僕がプレイした環境では下記に書くような要件を満たしていると回りやすかったように思います。ほかの人の環境ではどうだか知りませんので、それでセッションがうまくいかなかったとしても保証はしません。



1.協調戦略ゲーム的である
 前回書いた話ですが、協調戦略ゲーム的であるとアイデアにアイデアを乗っける感じにPLからの提案を出しやすかったと思います。
 で、前回は

・「打消し」の概念を抹消することで強制的に協調戦略ゲーム的にする

という案を書きましたが、それが唯一の対策ではなくて

・「打消し」の概念をまろやかにする(直接打消しはできないが、間接的に打ち消すことは可能、とか)

とか

・「打消し」よりも足し合わせて乗せて行った方がルール的恩恵を大きく得られるようにすることで実質打消しをやる意義を薄める

というような対策もあります。

 で、いずれにせよ「打消し」の概念をセッション上を縮小する方向で考えるのが良いと思うんですけど、なんでそう考えるのかと言うと、PLの努力と汗と涙と消費時間の結晶である「アイデア」を可能な限り拾いたいからです。それをルール的に保証する。

 よくGMの主張なりシナリオなり方向性を正当化するために

・GMがその日のために大きなコストをかけて準備をしてきたものを反故にするのはさすがにアレなので、できればPLの人は拾いましょう

というような話をする人がいると思うんですけど、まあ、それはある程度は正しい。相対的に比較的正しいとは思うんですが、ちょっと懐疑的に解釈すると

・じゃーPLはその日のセッションのために何も努力したり準備したりしてこなかったのだろうか?
・PLというのはその日のセッションで最終的に何かやりたいというビジョンがあって、その実現のためにいろいろ伏線を張ったりして鋭意努力しているわけだが、それはその日のセッションのためにGMがあれこれ準備してきた、という努力と比較して劣るものなのか?

という疑問があります。僕の考えでは

・GMの準備や努力は確かに大したものだと思うので「比較的」GMのやりたいことを尊重すべきだと思う
・しかしGMと比べて若干比重は下がるが、PLだって準備や努力をしているわけで、それも「ある程度」は拾うべきだと思う

というように考えます。なので、PLからの提案を出してもらうルールというのは、そのルールを生かして何か演出とかをするべくPLが内心準備して考えるものなので、その努力を無にしないためにも無碍に却下、打消しできないようにする、あるいは打消ししづらいものにする必要があると思います。まあ、その分受ける方は大変になりますが、そこら辺は持ちつ持たれつ調整して欲しいと思います。そこは必要な調整なんじゃないかと。


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2.課題解決しない
 PLからの提案を受けるシステムなりルールで問題になるのは

「(セッション中の)課題解決能力があるかどうか」

だと思います。例えばN◎VAの神業なんかの場合は、明確に課題解決能力があるわけです。課題解決能力があると、セッションが進むのはいいんですが、ここで立ち止まって考えて欲しいなあという問題まで特に考えもせず一発判定でショートカットしちゃうこともあるわけですが、そこがシナリオのテーマとぶつかったりして、困った場合はぶっちゃけてそこはやめてください、と却下する必要が発生したりします。しかし、却下すると上記で書いたPLの努力なりアイデアを反故にするというデメリットが発生します。PLからの提案を促すルールシステムに「課題解決能力」があるとシナリオ上いろいろ問題が発生する。最悪シナリオの骨子となる課題が骨抜きになることもある。

だったらそもそも「課題解決能力」というものをなくしてしまえば問題にならないわけです。

なんかすごいブレークスルーと対極にあるような考え方かなあと思うんですけど、実際のところブレークスルーのルールシステムでまともに何かがうまくいったと思った経験が全くないので(笑)、根本的に要らないんじゃないかと。あーいや、チットを投げてヒーローポイントをためるシステムはバランスがまともに回ってるのを見たことがないんですけど(カオスフレアは比較的回ってる?)、一応漫画的説得力の描写でうまく回ってると思います。あれくらいですかのう。

で、課題解決のない能力なりルールなりシステムって何か行けてるのか?セッション上うまく回るのか?という疑問がありますが、実際すでにうまく回ってるシステムがあります。いわゆる

・「相当品」

のルール/概念なんかがそれです。「相当品」の概念はそもそもトラベラーのときからあったと思うんですけど……あれは、当初ライトセーバーのデータがなかったが、当時SFと言ったらとりあえずはスターウォーズっぽいのが表現できるといいな、というのがありデータがないからどう表現しよう→とりあえず「だんびら」がそれっぽいので、ルール上「だんびら」相当ということにして、表現上ライトセーバーにしよう、というような運用をされていました。

で、「相当品」でイメージをたくましくしたところでセッション上の問題が何も解決するわけではないのですが(ごく限定状況で何かの問題が反故になることはありますが……たとえばライトセーバーをだんびらの相当品とした場合、ラストモンスターに遭遇しても武器は錆びないんじゃないか?とか、使い続けても刃こぼれはしないんじゃないか、とか)、そういうディテールを自分イメージに書き換えることでPLはTRPGのセッションに喜びを感じるわけです。セッションの過程に彩りが添えられるわけです。このライトセーバーは恩師オビワンから貰い受けたものだー(シナリオ上何も関係がない)、とかいう設定でも遊べる。

実はTRPGでは

・課題を解決できる、とか、課題を解決したとかいう本筋

よりも、

・うまく解決したかどうかはともかく、途中をどう面白おかしく彩ったか

の方が重要かなあと思うんですけどどうでしょうか。だったらPLの提案を受け入れるルールというのは別に課題を解決する能力を持っている必要なんて何もなくて、どう過程を面白おかしく彩ることができるかをイメージしやすかったり、ルール上うまく処理できるものであった方が、TRPGの遊びたいことの要件に則ったものになると思います。例えば、前述の「相当品」のルールについても、見方が2つあると思うんですけど

観点1)GMはあくまでTRPGのセッションを課題解決するものだと捉えており、PLがあれこれ想像力をたくましくするのは課題解決自体になんら貢献しないので「相当品」というインタフェースでその妄想をシャットアウトして、あくまでルール上のデータ配分(主要課題を戦闘にするなら、ダメージや命中率、組み合わせによる効率化)のパターン分けに注力する

観点2)いちおう最低限ルールが回るよう「相当品」をルール上まともな配置にデータ配分するが、それよりも「相当品」が実際どんなものとして解釈できるかというイメージを重視して、サンプルイメージを多数出すとかイメージ発想のランダマイザを提供する

という2点。セッションを滞りなく勧めるのだけを優先するなら観点1でいいんですけど、PLの提案を拾う方向性に注力するなら観点2のルールデータが充実するとイマジネーションのわくシステムになるかなあと思います。

ルールがなくてもマスタリングの経験が増えると、PLが***したいと言ったときにすぐに対応する相当品を提示できるようになる、とか、ルール上有利なのでとりあえず取ったが、実際のプレイでイメージがわかない!と悩んでいるPLに対して、そのデータはこういうイメージでプレイしてもルール上OKだ!とかいうのを何パターンか提示アドバイスできるようになるとか。そういう豊かなイメージを想起するセッションができるようになるかと。

でまあ、上の論とリンクするんですが、課題解決能力がないのであれば、セッションの進行に影響を与えないので、PLがそのルールに則って何か提案してきたときに

・打ち消す必要性が消滅する(=いつでも拾える)

という感じに回るようになります。


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3.効果はとてもあいまいか、極めて限定的である
 PLからの提案を拾うシステムルールがなんでもいろいろ指定できすぎると運用上困る。PLの無茶な妄想に何でもかんでも対処するのはGMが大変。

 ということで、

<1>効果が極めて限定的であればGMもアドリブ対処しやすい
<2>効果がとてもあいまいな形であれば適当にシチュエーションに合わせて微調整すればなんとなく合った感じになる

<1>のケースは熱血専用!の予約シーンなんかがそうだと思うんですけど、女性キャラの入浴シーンとかが決まってます。まあ、定番シーンなので、GMも合わせやすい。せいぜい、今日のセッション中に登場する舞台で入浴可能な場所はあるであろうか?最悪沐浴とか、あれこれいろいろ調整すればいいか、という感じに合わせられます。PLも定番なので合わせやすい。

<2>のケースは深淵の「語り部」なんかがそうですかね。例えば「死は正しき終わり。終わりなければ節度もまたなし」という語り部を提示した場合「死ななきゃいけないのか!?」というような強制力はなくて(PLが勝手に思い込むのは勝手)

・実際誰かが死んでも良い
・死ななくても死にそうになる体験をするだけでも良い
・実際に誰が死ぬわけでもないが、精神的/意味論的に死ぬようなそんなような状況でも良い
・死なんてかけらも見えないが、節度もなく生き延びているという開き直りの表明でも良い
・誰かが「おなかが減って死にそう」と言う
etc...

という感じに玉虫色の解釈ができます。PC/NPCの言葉の端々に「死」というキーワード(あるいはそれを想起する隠語とか)が含まれるようになるだけで、

「提示した語り部のイメージを拾う」

を十分達成できたりします。そんな感じに、セッションの本筋を変えるわけじゃないだけどディテールを微妙にPLの提示した方向性に書き換える。それが「拾う」ということを十分達成したことになる。


実際のところPLが直接的に「結果」自体をルール能力に求めることってあんまりないと思うんですよね。
むしろ本筋とは関係ないディテールに自分の趣味が入ることを求めることが多いというか。

唯一求めるのは最後の落ちで死んだか/死ななかったか、というそこぐらいだと思うんですが。
そこは、どっちに倒すか決まらないならまさに公平にダイスで決めていいと思うんですけど。


まあそんなところで。
ぐだぐだ気が向いたら続きを。
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by namizusi | 2008-11-22 12:22 | TRPG


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