2005年 06月 10日 ( 1 )

「ネタ」を基点にしたシナリオ作成方法(13)

 これまでは比較的汎用的に使える「ネタ」を基点にしたシナリオ作成方法についての考え方やテクニックについて解説してきたが、今回からかなり趣味的なコアな話に入っていくことにする。

「そんなのついてけねーよ」「TRPGでそこまでできない」

という人は真似してはいけない。あくまで僕の「趣味」の上でのコンセプトおよびマスタリングの話であるので、うまくいかなかったとしても保証はしない。

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☆「熱い展開」と「熱い選択」
 漫画「修羅の刻」のアメリカ篇にあるシチュエーションであるが

・数百、あるいは数千の圧倒的な数の敵に対してたった一人で立ち向かう

というシチュエーションがあり、昔、井上純弐氏が天羅の説明漫画で描いていて、そういうシチュエーションでたった一人で立ち向かう男は子供たちか何か弱い人たちを守るために戦っている。で、

・そういうときにどちらが勝つか?

という問いに対して「男が勝つ」と言い、それをかっこいいと言うくだりがあった。
 漫画的物語的展開から言うと

「男にはどうしても守らなければならないものがある。だから勝つのだ」

という理論なのであるが、正直、僕はそんなの全然かっこいいと思わない。なぜかと言うと

・大勢の敵に勝てるのはその男がただ単にそれだけの驚異的な力をもともと持っていたからだというだけであり、当人にとってはあたりまえのことをあたりまえにこなしているだけ

だからである。漫画「エアマスター」で、主人公が驚異的な戦闘能力を発揮して次々敵を打ち倒すのを見て、周りのギャラリーは「すごいすごい!」とはやし立てるが、本人はつまらなさそうに
している(当然勝てるとわかっているからである)、のと同じ現象である。

 そうではない

「数百、あるいは数千の圧倒的な数の敵に対してたった一人で立ち向かう」というシチュエーションがかっこいいのは、

・勝てるかどうかわからない。というか、常識的に言って「勝てるわけないだろう」。しかし、自分には守らなくてはならないものがある。だから、勝てるかどうかとはまったく関係なく「自分が立ち向かうしかない」。成功の保証は何もないが、これは自分にしかできないことだ。だから、自分がやると決意するのだ

…という、普通の状況ではそんなリスクを侵すなど考えられないことなのであるが、やむにやまれぬ事情があり、どうしても譲れない理想のために、普通ありえないような選択を選ぶ(=決意する)という部分である。そして、そういう何かどうしても守らなくてはならないものがあり、そのために自分自身の限界に挑戦する、あるいは限界を超えようと決意する、それがかっこいいし、そういう話(自分自身との戦い)であれば、普遍的に感情移入することができる。

 整理すると

・普通の状況では99%選びそうなとんでもない選択を、やむにやまれない事情やどうしても守らなくてはならないもののために選ぶ、あるいは選ぶかどうか悩む

というシチュエーションこそが「熱く」「かっこいい」と思うのである。


今回はこれまで。
つづく(たぶん)
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by namizusi | 2005-06-10 12:48 | TRPG