自由度を定量測定する例:(・_・)

 TRPGのシステムとかシナリオの自由度を評価する物差しの例を書いておきます。
 まあ、別に自由度が高い方が優れているとかそんなのは何にもないのですが、PLとかGMが「ここまではやって良い」というのを擦り合わせる目安にすると調整しやすいと思います。「これ以上は対応できません」と言うときの、比較的説得力のある根拠として提示することもできますし。



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1.大まかな基準
 TRPGの自由度を決める大まかな基準としては下記の三つがあります(「~と思います」とか書くのは「日本人の悪癖でそんなことだから国際的に押しが弱いと言われるのだ」という説があったりしますので、以下断定口調で書きますが、あくまで仮説です)。

<1>話の展開
<2>キャラクターの立ち位置
<3>ディテール

 比重としては

1≒2 >>> 3

という感じになります。「ディテール」って極端に言うと話の展開に影響を及ぼさない細部の話なのではっきり言えば

「GMのセッション管理としては限りなくどーでも良い」

わけで、他の1,2と比べると限りなく0に近い自由度の幅しかもたらしませんので、本論では自由度の定量化基準としては無視することにします。まあ

「(セッション参加者の)思い入れ」

としてはディテールってものすごく重要で、物語表現とかキャラ立ちを考えた場合は「細部に神が宿る」とかいう話もあるので、ここでのバリエーションも重要なんですけど、GMの立場で管理することを考えた場合は

「相当品扱いで好きにしてくれっていうか、
 そこの彩りを考えるのはPLの役目だ。
 GMじゃない」

という感じにPLに頑張っていただきたいところです。まあ、GM側でディテール部分まで踏み込んでいろいろ指定したがる人もいますが……まあ、PLとGM間で趣味が合うなら良いんですけど、そうじゃない時もありますので。僕個人の考えとしてはディテールはPL主導で任せた方が良いと思います。

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2.「立ち位置」の変化
 PCの立ち位置が変化すると、シナリオで提示される状況に対してPCがどのように対応するかという方針が大きく様変わりするので要注意です。上の「ディテール」を変えるだけのつもりがいつの間にか「立場」まで変わってしまう場合がありますので、そうなって困る場合はGMはNOをPLに突き付ける根拠となり得ます。ただ、人それぞれトラウマ/得意不得意があったりなんかして「出来ない立ち位置」というのもありますので、そういう場合はPLを入れ替わってもらうとか、立ち位置の変化も受け入れてシナリオを改変するとか、そういう対処が必要になったりします。

 例えばPC1があるシステムだと、PC1とヒロインが異性同士で、恋人同士だったり恋心を抱いているのを想定してシナリオを組んでいたのが、そういう恥ずかしいプレイはやり辛いので同性同士のただの友達扱いにする……というのは「立ち位置」が変化してしまって対応を難しくします。AD&D「アライメントルール」が「立ち位置」を表現するのによく整理されたルールだと思いますが

・恋人/恋心を抱いている
 ヒロインに対して「ローフル」な対応になる(一貫性のある従属的対応)

・ただの友達
 ヒロインに対して「ニュートラル」な対応になる(状況によって日和見する)

という感じに大きく反応が変化して、これがシナリオで表現しようとしていた面白みを換骨奪胎してしまうことがあります。

 それはさておき「立ち位置」の変化を定量的に表す手法としてはAD&D~のアライメントルールが良いと思うのでそれを基準にしますと、あれは「善・中立・悪」「法・中立・混沌」という2つの軸で

 3×3=9パターン

の立ち位置の違いがある、という分類をしています。で、あと例外パターンとして「どれにも分類しづらい立ち位置」とか「途中で立ち位置が変化する立ち位置」とかいうのもありますので

・立ち位置の変化
 3×3+1=10パターン


の立ち位置の変化があることになります。

 実際にはこれが、システムないしシナリオで制限されるんですけど、PCに対して「倒すべき悪」というのをシステム的に提示するシステムでは、基本的にPCは「善」の立場になりますので、10パターンあるうちの3パターンの自由度があることになりますし、昔ながらのシステムの場合は別にPCが正義の味方ではないけれども「悪」ではないくらいの縛りがあるので6パターン。ノワールものとかPvPとか、最初から悪い方にはっちゃける酷いシステム(笑)の場合は、立ち位置は別に何でも良かったりするので10パターン全部選択可能になったりします。

・PCが正義の味方系システムの立ち位置の自由度
 →3

・PCが悪でないシステムの立ち位置の自由度
 →6

・悪人プレイもバリバリOKなシステムの立ち位置の自由度
 →10

こんな感じ。システムだけじゃなくてシナリオで制約を設けることもあります。

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3.「展開」の変化
 展開の変化については、千差万別で分類しようがないとか、36のドラマのパターンがあるとか諸説ありますが、TRPGの場合は実際はそんなに細かく分ける必要が無いというか、結局TRPGの基本って「問題/状況」が提示されて、それに対してどうするか?という部分しかセッションの管理上、あまり意味が無いので、もう少し少ないパターンに整理できます。要するに

「フルアドリブでセッションをやったら、大まかに何パターンの展開があるか?」

ていうのが100%の展開の自由度になるんですけど、深淵というシステムの「落雷」というシナリオがフルアドリブ(投げっぱなし)シナリオとしてしばしば取り上げられることがありますが、あれが

・大まかに3パターンになる

という例としてわかりやすいと思います。話の焦点を一個持ってくると、

・争奪戦をする
・協力して封じる
・協力して世界征服をする

の3択になるっつーことですな。この辺は「焦点」の性質で、どんな分岐が発生するかという内容は変化するんですけど、結局のところ

・争奪戦をする
・焦点を殺す(と言ってもいろいろな意味で)
・焦点を生かす(と言ってもいろいろな意味で)

の三つに集約されるというのは変わりません。

 だから展開のバリエーションは三パターンだ……というのはまだ掘り下げが足りないかなと思うんですけど、ストーリーというのは

・起承転結の転
・序破急の破

という「話の転換点」というものがあります。転換点は作ろうと思えばいくらでも作ることが可能ですが(映画「ゲーム」みたいに)、

「ひねり過ぎると疲れる」
「先が読めなくなる」

という問題があって、TRPGでは実質

「ひねりは一セッションで一回あれば十分だろう」

と、そう思うわけですが。例えば

「最初は立場の異なるPCたちが対決し合っていたのが、実は悪の枢軸、黒幕がいて最終的に全員で協力し合ってそいつを倒す」

というようなひねりを入れた展開が出来てくるわけです。そうしますと、

序盤の話の大まかな分岐=三パターン

ひねり

終盤の話の大まかな分岐=三パターン

という感じの展開になりますので

 3×3=9パターン

の展開のバリエーションがあることになり、これに「その他の分類不能な展開を」一パターン足して

・展開の変化
 3×3+1=10パターン


となるわけです。で、

・最終的にラスボスを倒しに行くことが決まってる形式
 →3

・最終的にどうするか葛藤する
 →6

・PvPもOK
 →10

という感じの展開のバリエーションが発生することになります。

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4.自由度の評価例
 ということで、上記基準で自由度を評価すると、

自由度=立ち位置の自由度×展開の自由度

という計算式で算出され、まあ僕が知ってる偏ったシステムでやると

・D&D
 6×6=36(原則「悪」は不可、原則PvPも不可(バランスが壊れるので))

・深淵
 10×10=100

・ブレカナ
 3×3=9(「善」固定「ラスボスを倒す固定」)

という感じになりますか。……大体のシステムはこの3パターンのどれかになりますかね?

 んで、自由度低い方が

・GMが管理しやすい

というメリットがあります。が、

・PLの側でイメージする自由度があふれ出ちゃう可能性があるので調整が必要

になります。

 逆にGMが自由度が高いのを想定していてPL側で狭くしか考えてない場合は、

・何も言わないと(GM的に)物足りないセッションになる

ことがあるので(本当によくある(笑))、

・積極的にもっと好きにやって良いよと言ったり
・PLの方ではっちゃけた発言があった場合に積極的に拾って「これでもOKなんだ」と示す

といったアピールがテクニックとして重要になったりします。



そんなところで。
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by namizusi | 2010-11-15 21:44 | TRPG


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