TRPGにおけるジレンマの処理その2です。一応「ストーリー志向」の一環でもあります。
今回は
「ジレンマの公開・非公開」の問題について。
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1.とりあえず「そういうのを扱うよ」くらいは言った方がいい?
初めてプレイする人を相手にする場合は、キャラのかかわり合いとか、決断とか、そういうのを重視したプレイをするよ、というくらいはあらかじめアナウンスしておいた方がいいです。相手の趣向とか、わかってプレイする場合はそうでもなかったりしますが(前回のりゅうたまの話はメンツが「動物好き」な人ばかりのところでやってたので、十中八九乗ってくるであろうという目測でプレイしていた)
問題は、詳細をどこまで公開するかというところ。
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2.ジレンマの詳細は事前に公開すべきか否か?
……という問題がまずあります。というのは、要するに、ぶっちゃけ、事前公開せずに巧妙にハメると、PLに文句の一つも言われる(ジレンマが、過酷であればあるほど)っていうのがありまして
http://d.hatena.ne.jp/D16/20101208/p1
でも書かれてますが。チープなホラー映画なんかで18禁とかR-15とかR-12とか何にも書かれてないのに、いざ見てみたらお約束のお色気シーンがかなり過激でオイオイ……っていうときに「文句の一つも言いたくなる」のと同じ感じです。
一方、ネタバレの問題もあって、事前にわかっちゃったら、話として機能しなくなってしまう可能性もあり、そうするとTRPGの場合は今回のジレンマをプレイするのにたくさんの準備をしてきたが、事前に公開してしまってPLがジレンマ成立の阻止に走ったがために、準備してきたものの大半が使えないまま終わってしまった、というケースもあり得ます。
というわけで、ジレンマを公開するかどうかというのはデリケートな問題なので、慎重に扱う必要があります。公開前と公開後でセッションの動き自体が変わってくるので、その特性を理解して対処する必要がある。
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3.非公開の場合
非公開でプレイする場合は、下記のポイントがあります。
1)セッションの管理はしやすい
2)シナリオに矛盾があった場合、安易にPLにぶっちゃけられない。
・「矛盾は自己解決する」
・「公開プレイに移行する」
の2択を選んで進めることになる。
3)ジレンマに陥っても、結局そうなることを選んだ主体はPLなので、文句は言われにくい
PCの行動の最終決定権はPLにある。GMは、PCの行動がジレンマに陥りやすいよう、「仕掛け」をしてプレイする感じになる。
4)PLは結局シナリオ通りのありきたりな選択しかしないかもしれない。あるいはシナリオで想定したのよりももっと安直な選択に走るかもしれない。
→これは、こういう運用を選んだ以上「受け入れろ」としか
→結局「普通のありきたりな選択」こそが、もっともリアルで切実な選択だったりする
→PLの選択を尊重すること
5)何度も何度も同じハメ方をするとPLに文句を言われるw
気分転換に、あんまりジレンマとか気にしなくてもいいセッションをやるのも良い。
→ていうか、そんな深刻なシナリオはせいぜい年に1~2回プレイすればおなかいっぱいかと。でも、たまにやりたくなるのさ。
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4.公開プレイの場合
ジレンマは公開された瞬間、下記の2つの圧力が発生し、その対処が必要となります。
1)先延ばし要求
ジレンマと対峙せずに、とにかく問題を先延ばしにしたがる要求。制限時間とかを設けて無理矢理対決させることは可能ですが、PLが自発的に対決することを選ぶよう誘導できた方がベター
→銃夢で夢の中で和解したガリィとノヴァが、やっぱり最後は対決するシークエンスなど
2)ジレンマの解体要求
ジレンマの成立条件自体を書き換えようとする圧力です。ある程度は認めた方がいいですが、やりすぎるとシナリオ自体の骨格が崩壊する危険があるので、対応には慎重を要する。
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5.「先延ばし要求」への対処
ここで重要なのは
「問題を先送りにする」
も、選択の一つであるという点です。ラブコメで三角関係を扱った話の場合、オーソドックスな決着は、主人公がどちらか一方を選んで、他方を身を切らせながら捨てる
・何かを得ようとすれば、何かを捨てなくてはならない
という心理を描く展開となりますが(漫画「たかまれ!タカマル!」なんかが非常に分かりやすい)、最後まで関係はうやむやのままその中途半端な関係がいいのだ的に終わらせる話もあります(マクロスFとか)。ノベルゲームだと同人の「月姫」(18禁注意)のシエル先輩ルートがそういう3分岐になっている。
じゃあ、そういううやむやな選択はラブコメのようなライトな話だけで許されるもので、コヴェントリージレンマのような過酷な問題設定では許されないのか?
一個の考え方としては「結論を先延ばしにする」のは、とても不安定な状況で、あの手この手で時期を遅らせたとしても、じきにどちらかに傾かざるを得ない……というものがあって、結局どっちかを選択するのが良いとするのが一般的考え方かもしれません(どっちつかずだと、視聴者が見てて気持ちよくない、とかいうのもある)。
しかし、
「全身全霊を込めて、全てを賭けて結論を先延ばしにする」
というように、「結論を先延ばしにする」効果に全力を傾ければ、それは1年とか10年とか、下手をすると100年とか、長期間その体制を維持し続けることが出来るかもしれません。10年~100年も維持し続けられたら、それはそれで十分有効な選択肢として機能するのではないでしょうか。
実際現実世界でも、そういう事例がありまして、琉球王国(今の沖縄の辺り)なんかは
・中国に付くか
・日本に付くか
という2大国の圧力の狭間で
・どちらにもくみせず、王国を維持する
という戦略を採り、100年以上もの間その体制を維持し続けた、という実話があります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%90%89%E7%90%83%E7%8E%8B%E5%9B%BD
「結論を先延ばしにする」
というサボタージュ的戦略というのは、こんな風に「大きな圧力の狭間で、力のないものが生き延びるための戦略」として、極めて有効な戦略の一つだったりします。
アニメだと「創聖のアクエリオン」
http://www.aquarion.info/のエンドは、典型的な神様時間スケール、問題先延ばしエンドだと思うのだがw。
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で、TRPG上でどう扱うかですが、
「結論を先延ばしにする」
も選択の一つと考え、難易度は高いけれども、今回のシナリオ上許される選択であれば、対応を検討しても良いと思います。
リプレイで言うと「アルセイルの氷砦」の最終話が、
・ラスボス化したヒロインを殺すか
・世界を滅ぼされるか
の2択で、対処は「PC1がヒロインと自分をまとめて永遠に封印する」という、ある意味
「究極の先延ばし戦略」
なエンドになっております。まあ、あのリプレイのエンドは全部きくたけの創作で、大ウソという噂もありますけどね。前から何度も言ってますが、
公式リプレイは、参考情報とはなっても、実プレイの根拠としては全く使えないっつーことでw。
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6.「ジレンマの解体要求」への対処
ジレンマ自体を無効化しようとする要求への対処です。
1)無効化されてもかまわないジレンマの場合
適正にルール処理した上で、判定成功等したら無効化のリアクションを返す。
2)簡単に無効化されると困るジレンマの場合
これは、シナリオの核であったりテーマだったりします。なので簡単に条件を書き換えられたらシナリオ自体の存在意義が消失しかねない。
しかし、PLの要望を全く容れないのは、それはそれでTRPG的双方向コミュニケーションの意義が喪失するわけで、ここで「交渉」「闘争」が始まります。
ここがジレンマを主題としたセッションの主戦場となります。
2ー1)下準備
無効化されない(され難い)ように、あらかじめ細部までデータを詰めておく
2ー2)重みのあるリアクション
PC側が適正な代償を払えば、それに対して適量だけ譲歩を示す。
2ー3)制限を明確化する
PL側がどこまでのリソースを、状況打破のために使用して良いか、その境界線を明確にする。境界線は話し合ったりして決める。いずれにせよ
「どこまでのリソースを使用して良いか?」
について、必ず合意を形成すること。
理由としては、PLが無限のリソースを使えるのであれば、どんな問題も解消可能で、それではゲームにならないからです。将棋で、持ち駒が無尽蔵に使えたら、ゲームにならないでしょう?
図示するとこんな感じ。

ポイントは
全リソース
⊃PLが利用可能なリソース
⊃ジレンマの成立条件
という感じに集合が包含関係になっており、イコールではない。完全にイコールだったら、ガチで、書き換え不可能なジレンマとなりますが、完全にイコールではなくて「隙間」がある。ここが重要です。(図上で「創造可能性の猶予」と書いているところ(詳細解説は次回に))
2ー4)制限を明確化する諸ルール
TRPGでゲームをする上では、制限の境界を図示して示したり、利用可能な要素を書き出したり、カード化して見せると非常にわかりやすくなりますが、現状のTRPGでもこの手のリソースを明示化するルールがいくつかあるので、そういうシステムを選んで遊んでいるなら、利用すると良いです。下記に具体例を示す。
・Aマホ
→A-DIC
・りゅうたま
→街づくりシート
・Wローズ
→ローズガーデン
あとまあ、キャラクターシートに書く全ての内容もリソースとして利用可能だったりします。人間関係とかがルールとして重み付けされ評価されてると、なお判断しやすい。HP、MPの類とか、ペンドラゴンの性格のルール、Fローズの感情ルール、アイテムの類etc...も使えます。ただ、PCのキャラクターシートって該当PLしかあんまり見ないので、セッションに参加してるメンツ全部に認識させるために、話題に上らせる必要はあります。
……というわけで、セッション上扱えるオブジェクトを参加メンバー全部に明示化するために、オンセツールに付箋機能が付いてくれると嬉しいんだけどw。オフで「要素を明示化するのにカードを
作ろう」とかいうと、金もかかるし文字数多いと大変だしでなかなかやり辛いんですけど、セッションが電子化されてくれば、この手のリソース・オブジェクトをサクッとデータとして創出して、ビジュアルに見せるのも容易になります。容易にしてください(笑)。
つーことで、どどんとふに付箋機能導入を希望~。
まあ、遠くない将来的にはオフセでもARで、オブジェクトにタグを付けられるようになるかも知らんけどw。
以上、今日はこんなところで。
次回は、ジレンマでこそ発揮されるTRPGの創造性「第3の選択肢」について解説予定。
んじゃまた。