ジレンマを主題にしたセッションの運営方法(5):(・_・)

ストーリ志向ジレンマその5。
ちょっとまた脱線して補足を。



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1.情報の整理とかマスターシーンとかの意義
 前回、PCのキャラクター表現を阻害する的話を書いたけれども、漫画とか映像作品における

・ロングショット

としての効果はあるかなあと。

 素人の漫画と、プロの漫画を見比べてみるとよくわかるんだけど、素人の漫画でキャラの絵とかは上手いんだけどどれもこれもアップばかりでメリハリがなくて、展開が何だかよくわからんというのに対して、プロの漫画だと想像以上にちょっと遠景からキャラの立ち位置を俯瞰してるコマが多くて、アップは本当に「ここぞ!」という時にしか使ってないとか、分析しながら観てみるとよくわかる。

 ……ということで、比較的キャラ絵のアップが多いと思われる

漫画『青空エール』6巻

を見ると、後半、主人公の小野つばさが、同学年の水島に、自信がなくて吹けないのを問い詰められる見開き2ページを分析すると

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・1ページ目
 1-1)(右上4分の1)
  つばさのバストアップ
  つばさ
  「え……
   ……
   自信がないから…?」

 1-2)(左上4分の1)
  水島のバストアップ
  水島
  「前から……
   言おう言おうと思ってたんだけど」

 1-3)(下半分)
  つばさと水島が上半身の絵サイズで向き合う場面
  水島
  「小野さんて
   どうしてそんなに
   自信ないの?」

・2ページ目
 2-1)(右上4分の1)
  つばさのアップ
  つばさ
  「え……だってまだ
   自信……
   持ちようがないって
   いうか……」

 2-2)(左上4分の1)
  水島のアップ
  (せりふなし)

 2-3)(下半分)
  部の副顧問の先生の場面に飛ぶ
  先生
  「あの子は一度も
   勝った経験が
   ないから
   自信に
   なるものが
   何もないんだ」
  「……ん――……」
  「練習では いい音
   出せてきているし
   実力もあがって
   きているのに
   周りのレベルが高すぎて
   比べると どうしても本人が
   劣っていると感じてしまう」
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という感じで、シーン構成で言うと

・分類例1
 ・個別シーン(アップ)
  1-1、1-2、2-1、2-2
 ・集合シーン(ロング)
  1-3
 ・マスターシーン(ロング)
  2-3

・分類例2
 ・個別シーン(アップ)
  なし
 ・集合シーン(ロング)
  1-1&1-2
  1-3
  2-1&2-2
 ・マスターシーン(ロング)
  2-3

の、どっちかかなという感じだけど、かなりキャラクターの心理的に深いところに入って来てアップが多くなってるにも関わらず、キャラクターの関係性とか背景設定を見せるための俯瞰するコマが面積的に半分以上ある。

・全体が2ページ
 ・分類例1 → ロングが50%
  ・アップ:1-1、1-2、2-1、2-2
   (1/4) * 4=1
  ・ロング:1-3、2-3
   (1/2) * 2=1

 分類例2 → ロングが100%

あと、少女漫画だと

・心理的ロングショット(2-3)
・心理的アップ(上記にはない。上のページの1ページ前の「自信ないや」という独白がそれ)

というのもあって、面白いんですが。心理的アップは自家中演出以外では、システム的には夢歩きがやりやすいなあ、とか。

 TRPGでも、ちょっと距離を置くことで、話の全体像を見直すことが出来る。ただ、やたらとやるとPCのキャラクター表現が、ここは何かやっておきたいぜ的なものが中断されてテンションが著しく低下するという弊害もあって、なるべく少ない回数で、ポイントを絞ってやるのが良いと思うんですけど、具体的に言うと

・オープニング前後
・クライマックス直前

の2箇所。3回以上やるのは

・ミステリものとかで情報やキャラクターが非常に錯綜してる場合

ぐらいかなあと。ミステリものだと「ミスディレクション」の演出にも使えますし。
 ということでまとめると

・ポイントを絞って状況整理のためちょっぴり使うのが効果的
・PCのキャラクター表現を阻害するので多用は厳禁

て感じでしょうか。

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2.PvPの時間効率
 PvPがキャラクター表現として効率的という話を書きましたが、別にPvPじゃなくても、とにかくPC同士がPC同士だけで掛け合いなり対立なり、対話なりが出来れば、お互いを引き立て合うことが出来るし、かつセッションの時間をより効率的に(PL主観で)使うことが出来ます。

 例えばコンベンションの6時間セッションで、普通にやると、結局GMは半分くらいしゃべってたりするので、PLの活動時間は

・3時間

になります。

 ここで、PvPとかでPLが自家発電して自前で話を作って行けるようにセッティングすれば、究極的にはGM不在でセッションが回るようになりますが、そうすると、6時間セッション中のPLの活動時間は

・6時間

になるわけです。1日のセッションが

・(PL主観で)2倍

充実したものになり得る、のびしろが残されているわけです。同じプレイ時間でも、MAX2倍濃いセッションが出来る。

 で、実際、GMがあんまりしゃべってなくてPLが好きにやってるなあ、という時ほど濃いセッションになってることが多く、そういう感想をもらうことも多いのですが、だから3時間の短いセッションでも6時間分の充実度を出すことが出来るわけです。

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 脱線ですが、これってものすごい大きいことだと思うのですけど

・6時間(ほぼ1日)セッションでは、TRPGの時間感覚を知らない完全初心者は誘い辛いが、
 3時間なら、ちょっと午後を開けてもらってカラオケとかに行くくらいの感覚で誘える

・6時間オンセをやろうって言われると「徹夜かよ!」と突っ込みを入れたくなるが
 3時間ならせいぜい「夜ふかし」で済む

というのがあります。脱線、以上。
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 でまあ、これをやるには「GMがやりたいこと」を必要最小限に削ることが必要となりますが、どう絞ると良いかというと

・ハンドアウトでPCがやることを明確にする
・ハンドアウトの組合せだけでPC間のゲームが成立するよう、組合せを上手く構成する
・情報収集で収集しないと話が成立しない情報は3個以下に絞る
・可能であれば3個以下の情報は、自動でPCに手に入るようであれば手に入るようにした方が良い
・プレイの途中で3個以下の情報をPCが自然に手に入れても良い状況に遭遇したら、そこでさっさと渡してしまう。そうすることでプレイ中にさらに「GMがやりたいこと」をどんどん削って少なく出来る

という感じ。

・「ハンドアウトによる動機付け」-「クライマックスでやりたいこと」

の間を補間して、こういう動機付けで、こういう落ちに持って行くには、PC/PLの自然な欲求、動きとしてこう行くだろうなあという動きが経験的につかめれば、その補間ライン上に必要な情報を配置しておけば自然にPCに入っていくようになるので、

「こういう情報を与えておかないと、
 PCが上手くクライマックスに向けて動いてくれんので
 ここで情報収集とかで補正しないといかんなあ」

と、悩む必要が減ってくるので、放っておいても、思惑通りにセッションがPL主導で勝手に進むようになるんですけど。うーむ。

 ポイントとしては

・展開で、あんまり無茶な飛躍はしない
・どうしてもやりたければ、ポイントを絞って最小限に(1セッション1回以下で)

て感じかのう。

 ということで、脱線しましたが、PC同士の掛け合いを促進することで、理論上MAX、セッションの時間効率が2倍になるという話を書きました。実際は1.5倍くらいになればいいかなと思います。PLの充実度が上がるし、GMの負担も半減して一石二鳥かと。

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3.ハリウッドスタイルにおける「ツイスト」とは
 クライマックスにおける「ツイスト」というのは、クライマックスの激しい対決(戦いとか)で、奇跡的な事象が起こって、主人公の勝利/敗北が確定するようなイベントのことです。これがあって

・展開が劇的に変化するカタルシス
・主人公が勝利/敗北することの説得力

が、得られるようになります。これがないと「オチなし」と言われる面白くない展開に!

 具体例としては下記があります。

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・「スターウォーズ(エピソード4)」の場合
 デススター攻略で主人公が苦戦していたところで

 ・死んだはずのオビ=ワン=ケノービの声が聞こえて主人公を導いてくれた!
 ・金を持ってずらかったはずのハン=ソロが助けに来てくれた!

 という2つのひねりが入ることによって劇的勝利の道が!

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・「レオン」の場合
 巧妙に偽装して警官隊の中から脱出した主人公は

 ・逃走経路を読んで待ち構えていた仇敵と遭遇する

 というひねりが入って、脱出劇が(死を賭した)復讐劇に、劇的に変化する

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 こんな感じ。
 で、TRPG上では、どう表現されるかというと

・いわゆるブレイクスルー
 ・PLのアクション
  ・意図的なもの
   ヒーローポイント系
   ・代償を払う/払わない
   ・敢えて失敗を買う
    深淵:寿命四年払って大失敗
    りゅうたま:NPCを強制的に死亡させるブレス

  ・確率的なもの
   クリティカル/ファンブル等

 ・GMのアクション
  ・りゅうたまのブレス
  ・デウス・エクス・マキナ

・PLの戦略/戦術
 ・良い作戦
 ・致命的な戦術誤り

という感じになります。バッドエンド系のブレイクスルーは少ないのですが、

・悪人プレイの代償
 ・深淵:寿命四年払って大失敗、
  赤札で致命的失敗とか相討ちカードを出す
 ・りゅうたまのブレス

・戦略/戦術の致命的誤り
 ・普通に負ける?
 ・デウス・エクス・マキナ?

・とにかく運が悪い
 ・ファンブルする

という辺りでしょうか。ノワール系の話をやる場合

「こんだけ悪いことをやっちゃったし、
 話的に滅びないと落ちが付かんなあ」

という瞬間があって、敢えてバッドエンドにしたくなることがあるのですが、システム的に再現しづらいものが多いかなあと。DX3rdだと狙ってオーヴァードになればいいんですかねえ? BBTはどうだろう?

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4.「ヘヴン」が良い(笑)
 前に、ジレンマがあった場合に「力いっぱい選択をサボタージュすれば良いじゃん」という話を書きましたが

・映画「ヘヴン」
 http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id240467/

が、かなり良いです。こんな感じ(笑)。



いい加減長くなったので、「ヤマトスタイル」については次回で。
んじゃまた。
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by namizusi | 2011-01-08 15:28 | TRPG


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