人気ブログランキング | 話題のタグを見る

オブジェクト指向シナリオ(3)

 第3回である。1、2回も予習しておくように。
 今回はTRPGのシナリオにポリフォーミズムを適用した場合の効果・注意点について解説する。

--
1)インタフェースを明確にしなくてはいけない
 ポリモーフィズムで最も重要なのは「インタフェースの明確化」である。具体的に言うと

<1>要求をはっきりさせる
 シーン制シナリオの場合には、そのPCに対してどんなシーンを要求するかをすべて明確にする必要がある。

<2>処理結果を明確にする
 処理結果をどのような形でPLに帰してもらうかを明確にしてもらう必要がある。例えば

・ラスボスに家族を皆殺しにされてラスボスに対して復讐を誓う

というシーンの場合、最終的な処理結果として欲しいのは

・復讐を本当に誓ったのかどうか?
・復讐の念の強さはどれくらいなのか?

である。"硬い”シナリオの場合は「誓わなくてはいけない」とか「復讐の念の強さは“命がけ”で、死亡するリスクを犯してでもそれを成し遂げたいと考えるくらいの強度」という感じに戻り値に制約がさらに加わる。この辺の制約もインタフェースの仕様として明示すべきである。

 ちなみにこの種の“制約“のことをオブジェクト指向でも

「制約」

と言う。

--
2)独立性の高い処理はPLに委任すればよい。GMがわざわざ作ると独立性が低くなって融通が利かなくなり、よろしくない

 前回のシナリオ例で言うと

・オープニング/エンディングはインタフェースのみ明確にして、内部の詳細はPLが自分で考えるべきである

となる。ということで個別導入シナリオでよくPC個別にオープニング/エンディングが書いてあるが、あんなものはオブジェクト指向的に言えば

・無駄

以外の何ものでもない。どうせPL/PCによって内容が書き換わるのだから、それなら必要になったときに自分で考えさせればいいのだ。

 ちなみにこういう「必要になったときに必要な物は作り、内容は必要な担当者が自分で考えればいいのだ」というのをオブジェクト指向では

・シンプルデザイン

と言う。

 次に、ほかにも同じように独立性の高い処理には何があるかと言うと以下がある。

・回想シーン
・夢の中の場面
・NPC不在のPCのみのシーン

これらの場面はポリモーフィズムを容易に適用できるので、GMはインタフェースのみ明確にして事前にPLに告知するといい。内容はもちろん担当PL(たち)が考える。なに、PLがダメな人で内容がメタメタで貧弱であっても、インタフェースさえきちんと満たしてくれてさえいれば、セッションは何の問題もなく滞りなく進行する。安心したまえ。

 ちなみにこれらのシーンをシステム上明確に区分けして独立性を高めているシステムと言うと「深淵」がある。「熱血専用」の「お約束シーン」ルールも類似であろう(と言うか「インタフェース」の好例と言った方がいい)

 今回はこの辺で。次回はTRPGシナリオへの「継承」概念の投入について解説する。
by namizusi | 2004-12-21 12:39 | TRPG


<< PC同士の雑談の意義 「ある日どこかで」「ラ・マンチ... >>