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意志・対人感情判定の系譜:(・_・)

何となく整理してみた。

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1.背景
1)誤解の解消
 2ch.で「対人感情ルールというとFEARげが発祥?」とか勘違いしているバカがいてマジ受けたので(笑)、誤解解消のため

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2)昨今の日本のTRPGの主流の分析
 昨今の日本のTRPGが「人間ドラマ」に主眼を置かれているのは、システム上

 ・キャラクターの感情/意志
 ・対人感情

 をシステムに積極的に取り込んできたからである。
 ということで、過去の問題点がどう解消され、最適化されてきたかという経過を確認してみる。

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3)感情ルールにおけるシステムとPLの主導権争い
 「ゴールデンルール」が、TRPGセッションにおいて

「システムが主か、GMが主か?」

 の相克を扱う焦点のルールとすれば、「(対人)感情ルール」というのはPCの管理について

「システムが主か、PLが主か?」

 の相克を扱う焦点のルールとなります。現状主流は「PLが主」となってますが、そうでないシステムも存在します(「ままならなさ」を楽しむ)。

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2.意志・対人感情ルールの起源
 まあ、TRPGの元祖であるD&Dの意志セーブ辺りが起源であろうと。
 ただ、これはあくまでたまにしか使われない「スポットルール」であり、メインのメカニズムには入ってませんでした。

 システムのメインのメカニズムとして導入された最初期のシステムは

「クトゥルフ神話TRPG」(以下CoC)

 でほぼ間違いないかと思います。日本でもいまだにサポートが続いている息の長いシステムです。
 この段階ではまだ意志の判定というものが受動的でキャラクター主体で、「特定の誰かに対する感情」というような概念は存在していませんでした。
 そして、「クトゥルフ神話TRPG」と同じく意志判定がメインに据えられたシステムが

「キング・アーサー・ペンドラゴン」(以下ペンドラゴン)

 で、ここではPC(騎士)の意志判定が「騎士道」の徳目に従って10種類に分類され、またスポットルールとして対人感情ルール(麗しの姫の誘惑に耐えられるかどうかとか、槍試合で力を発揮できるかとかに使用)が導入されたりなんかしました。
 「キング・アーサー・ペンドラゴン」は5.1版が2010年に発売されたということで、アメリカではまだまだ「生きた」システムと言ってよろしいかと思いますが、RPGマガジンで一時リプレイが掲載されたのみで結局翻訳はされず、最近はペンドラゴンのメカニズムをパクったシステムがゾロゾロ出たりして、非常に不憫な扱いとなってしまっている残念なシステムであります。
 ベーシックロールプレイング(CoCやルーンクエストなどで使用されたd100メインのシステム)のある種「完成形」と言っていい良いシステムなんですけどねえ。いや、残念残念。

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3.ルールの発展パターン(余談)
 ルールの発展パターンとしては以下のようになります。

1)スポットルールが試用される(新しい概念の導入)
2)新しい概念がメインのメカニズムとして導入されたシステムの登場
3)多数のシステムでデフォルトで導入されるようになる

 ……という感じなので、将来のTRPGがどうなるのか? を占うには、新しいシステムでどんな新しい概念が導入されたかを見てみるとわかります。面白いところです。

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4.意志・対人感情ルールの系譜
 以下に、ポイントを絞って系譜を追ってみようと思います。

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1)ペンドラゴン
・メインメカニズムとして導入
・感情の細分化
・対人感情の導入(新概念)

 詳細は上に書いたので略。

概念1:「思い入れによってキャラクターの行動は振りまわされる」

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1)Bローズ
・「誓い」(新概念)
 「思い入れ」は「制約」ではなく「助力の源」であるという、対人感情というと「PCの行動を制約するもの」だったのが、「PCの行動を強化するもの」という方向に180度転換(パラダイムシフト)させたのがこのルールです。「PCの思いの力」がシステム上評価されるようになった端緒と言えます。

・「潜在力」(新概念)
 「どうしても成功させたければリソースを払えば無理やり成功させることが出来る」という具合に「PLの思い」を展開に反映させられるようになった端緒がこれ。
 以後、深淵や天羅系に始まるFEARげのメカニズムとして継承・洗練されていきました。

 ここで初めて、PCに関する権力関係

 システム > PL

 が、

 PL > システム

 にひっくり返された画期的なシステムでした。……ということを理解して遊んでるユーザはほとんどいなかったけどなw。当時先進的すぎて。

概念2:「思い入れはキャラクターの行動を強化する」

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1-1)深淵
 深淵ではBローズの誓い・潜在力が「縁故」「寿命」に昇華されたのに加えて

・「運命」(新概念)
 という概念が導入されたのが特筆すべきところです。
 要するに

概念3:「思い入れは、話の展開にまで影響を与える」

 というところまで「意志」の影響範囲が拡大。

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1-2)天羅万象

・「ロールプレイ支援システム」(新概念)

 思い入れ
 →PCのプレイの指針
 →指針に従ったプレイをするとヒーローポイントを稼げる

 というメカニズムを定着させたのがこのシステムです。
 ただ、このシステムは

・「ロールプレイ強要システム」

 とも揶揄されるように、パッとセリフなり演出が思い付かない層には不評で、改定されていくことになって行きました。

概念4:「思い入れは、キャラクタープレイの指針」

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1-3)天羅万象・零
 上記の「ロールプレイ支援システム」が強要ではなくなったのがこのシステム以後で、要するに

・PCの感情設定は別に無視してプレイして構わない
・ヒーローポイントは稼がないと最後に活躍できないので、何となくもらえる

 というゆるい運用に転換。
 感情の演技が気軽に「フレーバーとして」プレイ出来るようになりました。

概念5:「思い入れは、キャラクタープレイのフレーバー」

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2)Fローズ
・感情を捨てる(新概念)
 Fローズでは感情を捨てることで、瞬間的にPCが爆発的な力を出せるようになるルールがあります。

概念5:「思い入れを捨ててリソースとして活用」

 ということでキャラクターの「諦める」演出が出来るようになりました(ヒーローもので、何かを諦めることで、強い力を手に入れるとか)。

 その辺は、深淵、天羅系、DX、カレイドスケープ、マギカロギア辺りに継承されております。……が、上手く回ってないシステムもあり。天羅・零、DX辺りは、はっきり言って上手く回ってないかと。天羅系で上手く行ってるのはエンゼルギア系のみかのう?

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3)マギカ・ロギア
 「マギカ・ロギア」~「ブラッド・クルセイド」辺りは、ワシがTRPGシステムを考える理由を奪ってくれた悔しいシステムなのですが(笑)。

概念6:「思い入れの社会性導入。思い入れ自体が敵からの攻撃対象となる」

 以前は「思い入れ」というのはあくまでPCの内面を扱っただけのものでした。TRPGセッションは社会的なものなので、いくら内面的に頑張っても、直接それが反映されるわけではなかった。しかし、これらのシステムでは、直接攻撃されうる対象として矢面にさらされることになったのです。

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4)その他
「まじしゃんず・あかでみいRPG」
 新しい概念は無いんですが、感情判定に左右されるドタバタ感を味わうのに良いシステムかと

「ガンメタル・ブレイズ」
 「他のPLに演出を指定される」というグリグリ感が楽しいシステムなのですが、GF誌でサポート切れになるらしく、非常に惜しい作品。(いろいろ問題はありましたが)

「ビーストバインド系」
 最新は「ビーストバインドトリニティ」(BBT)で、人間性とエゴの対立が面白い。

「ネクロニカ」
 「感情ルール」と「狂気」の悪魔融合的システムw。

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5.今後の展開
 現状、意志・感情判定の最先端の一つと言えるのは「深淵」で漠然と提示された

概念3:「思い入れは、話の展開にまで影響を与える」

 をより具体化して

概念6:「思い入れの社会性導入。思い入れ自体が敵からの攻撃対象となる」

 にまで洗練した「マギカ・ロギア」、「ブラッド・クルセイド」辺りかなーと思いますが、その方向で今後の展開として考えられるのは

・「思い入れは、PCが戦うべき敵を規定する」
 →敵の正体が必ずPCに因縁浅からぬ相手になる、とか

・「思い入れの、軽量かつシステマチックな育成」
 →天羅系~である程度出来てきていますが、オンセ向けに極・短時間なセッションを想定した場合にはまだまだモッサリ処理が重いので、改善を期待したい。トラベラーの経歴とか、Fローズの経験表みたいな感じにサクサク事件を自動生成しつつ、人間関係もサクサク、これこれこういうコトがあってキミはその人と親しくなったのだよ、というような経緯をサクッとでっち上げてくれる、そんなようなの。

 ……というようなのが出てくるんじゃないかなあと想像します。出んかねw。
 (ライフパスはキャラメイク時しか使わないので現状却下、余暇ルールは惜しいんだけど)
 シルバーレインの「エレメント」はいい線いってると思う。

 あとはまあ、「ネクロニカ」の狂気ルールとの悪魔合成は、その先に想像だにしになかった何かすごいものが生まれそうな気配を感じますがどうだか。

 それから「ガンメタル・ブレイズ」の、他のPLが該当PCの演出を指定するというのも、「1PL-1PC」という関係を根底から覆しうる可能性を秘めていて、それは「Wローズ」のキャラクターが希薄になる方向性とオーバーラップするし、そこから面白いものが生まれるかも知れんな―とか。「初音ミク」の1個のキャラクターをみんなで作っていく最近のムーブメントとか。

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6.まとめ
 ……ということで、SNE系システムのチェックが薄いのが申し訳ないですが、D&D、CoC、ペンドラゴン辺りで始まった意志判定・対人感情ルールは、最新のTRPGで多様に料理されて面白いので、機会があって興味があれば、新しいものも、古いものも、いろいろ試して体験などしてみると

「こういう面白さを表現しようとしてるんだねえ」

というのがわかって、またTRPG生活が豊かになるのではないかと思います。

 あるいは、いま遊んでるシステムではどういう意志判定・感情ルールを使っていて、それを生かすにはどうしたら良いだろう、と考えるのも楽しいと思います。



そんなところで。
by namizusi | 2012-01-09 16:08 | TRPG


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