マスタリングのための「聞く」技術(1)

 ということで、予告どおり「聞き方」の技術について解説することにする。長くなりそうなので複数回に分けて解説する。

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1.「聞く」技術の意義
 「聞く」技術の意義について以下に列挙する。「聞く」ことはTRPGでマスタリングする際の基礎にして極意である。

・汎用的である
 どんなシステムのどんなシナリオのどんなセッションでも普遍的に使用できる技術である。

・TRPGは会話の遊びであり、会話を成立させるためには「聞く」ことが必須である

・インタラクティブ性の前提条件
 TRPGの面白さのひとつに「インタラクティブ性」がある。これを演出するためには、まず「聞いて」その内容を正しく理解し、実際のセッションに反映させてリアクションする必要がある。このインタラクティブ性がうまく達成されてPLの納得する反応が得られたとき「セッションが成功した」と言って良い

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2.7つの「聞く」タイミング
 GMは、実際は流動的かつ直感的に「聞く」という処理を行っていると思うが、その処理をタイミング別に区分けすると以下のようになる。タイミング別に対処すべき事項が変わるのでGMは意識すると良い。

<A>聞き始め
 PLが発言を始めるタイミング。ここは話の区切りなので同時に発言したいPLが複数いる可能性がある。一度に発言できるPLは基本的に一人だけなので、GMは誰に発言させるかをきちんと管理する必要がある。

<B>聞き取り中
 PLの発言を聞いて中身を理解し、どうリアクションするかを考えるタイミング。他のPLやGM自身が割り込みで発言したがる可能性があるので、内容を理解をしつつ他のPLの顔色をうかがう必要がある。

<C>聞き始めの先
 PLが発言しているときに他のPLが発言しようとするタイミング。兆候としては

・君の方に視線を向けて口を動かそうとする
・手を上げる
・机をたたく
・立ち上がる

などがある。ここでGMのすべきことは

・発言中のPLの話が区切りがつくのであれば、いったん止めてそのPLに発言させる
・発言中のPLの話が区切りがつかないのであれば、発言しようとしているPLを静止して後で発言させる

という判断を瞬時に下して対処することである。

 さて、なぜこの「聞き始めの先」と次に解説する「聞き始めの先の先」で処理が違うのか?であるが、ここでPLが別のPLが発言しているにもかかわらず発言しようとしているのは

<1>ちょうどここが話の切れ目であるとPLが判断したから
<2>PLの言いたいことは今まさにこのタイミングで言わなければならないタイムリーな内容である
<3>単に周りが見えてないだけである

のいずれかであるからである。そして、<1>の場合はGMが気付かなかったかもしれないがPLが気付いた話の切れ目である可能性がある(これは話の内容を吟味すればわかる…はず)ので、ここは切っていいだろう。<2>の場合は何だかわからないが何かPLは重大なことに気付いたのだろう。ぜひ話をいったん切って発言を取り上げてみたい。しかし、<3>の場合は逆に無視したい。ところが<2>と<3>は表面上見分けがつかない。これをどう見分けるかであるが、

・まず目を見る
・そのまま発言を始めたら、それはPLが「今言わなくてはならない」と考えている内容である。一応発言を始めたら内容をチェックして本当に今必要な発言かどうかを確認する必要はある。
・目を見ることで発言をやめたのであれば、それはPLが「今言わなくてはならない内容ではない」と考えているということである

という具合にある程度見分けることができる。

<D>聞き始めの先の先
 PLが発言しているときに他のPLが発言しようとする内容を思いついたタイミング。兆候としては

・君の方に視線を向ける
・手を上げようとする

などがある。このケースではこのタイミングではGMは対処せず、発言中のPLの話に区切りがついたときに「何か言いたいことはありますか?」と発言したそうだったPLに話を振ると良い。

<E>話題の中断
 PLの発言にいったん区切りがついたタイミング(大枠の議題はまだ終了していない)。他のPLで発言したそうであった人がいたのであれば、ここで話を振る。できれば話をしたそうな顔をした順番どおりにシーケンシャルに処理すると良い。あと、発言数の少ないPLの発言を優先することも考慮すべきである。

<F>話題の終了
 話していた話題が一通り終わり一段落したタイミング。これ以上PLからの発言はないと思われるので、ここはGMからセッションを進める新たな話題を投入する。

<G>PLの生存監視(笑)
 オンラインセッションではきわめて重要なテクニックであるが、一定時間以上発言も反応もないPLにとりあえず何か言うことはないか話を振って生きているかどうか(比喩ねw)を確かめる。

…ざっとこんな感じである。ここで重要なのは

・「聞く」という行為というのは、相手が話し始める前から始まっている

ということである。そしてGMが話し始める前から兆候をチェックしてきっちり管理し、該当するPLが発言すべきときに『発言していいよ』という合図を出すことでPLは安心して発言できるようになるのである。

 しかし、こうして見るとプログラミングの対話的通信手続きとか機械の対話的イベント制御処理そっくりですなw。

今回はここまで。(つづく)
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by namizusi | 2005-01-19 12:45 | TRPG


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