シナリオ形式継承関係分析:(・_・)

 各システムごとのシナリオ形式を、プログラム言語と対応させて分析すると類似が多くてわかりやすくなるんじゃね? ということでクラス図に整理してみた(ややこじつけ感あり)。
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1.大きく二つの分類がある
 図に書きましたが

・イベント基準
・場所基準

の、2つのシナリオ形式の流れがあるかなと(かなり大雑把に分けてます)。

 「イベント基準」の場合は「こういうイベント(シーン)が発生しましたよ、そこであなた(PL)はどうしますか?」というスタンスでプレイするので→「GM主導」

 「場所基準」の場合は「シナリオ上、行ける場所はこれだけあります。どこに行きますか?(以下PL選択)」というスタンスでプレイするので→「PL主導」

 ……という傾向になります。本家のD&Dなんかは、それらが別れる前の形式をそのまま引きずってて未だにその中間辺りに位置する感じでしょうか。

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2.開発言語と生産性
 シナリオ形式とプログラム開発言語と対比させてみたのは「TRPGシナリオの生産性」を計る目安としてプログラム開発言語の生産性と比較すると同じ感じになるんじゃね?(プログラム開発言語の継承関係も、TRPGシナリオ形式の継承関係と類比できるし)という仮説に基づいて、やってみたことです。

 「生産性」というのは、プログラムの世界では、1個の機能を作成するのにどれくらいの手間がかかるかというものです。具体的な指標としては「プログラムの行数」で計ったりします。これは、作成ツールが充実すると状況が逆転したりもするのですけど。

 TRPGシナリオで具体的に言った場合

・ハンターズムーン
 「今日のセッションはルールブック掲載のクラゲとバトルするかね」
 →シナリオは1行で完了

・FEAR的シーン制
 個別導入、エンディング、クライマックス、ミドルはああいうシーンとこういうシーンと、さらにそれぞれのシーンの開始条件/終了条件/得られる情報は……
 →大幅に端折って100行くらい?(適当に言ってます)

・ダンジョンシナリオ(黎明期)
 そんながっつりした内容ならキャンペーンにしよう(笑)。
 →大幅に端折って1万行?(笑)

つー感じですかね(笑)。プログラム言語だと

・scalar:ハンターズムーン
 1個の処理でやりたいようなことは、基本的に1行で書ける。

・Java:FEAR的シーン制
 メソッドにして10~100行?

・COBOL:ダンジョンシナリオ(黎明期)
 基礎から作らなくちゃいけなくて、とにかくいっぱい(笑)。

つー感じで生産性が変わります。

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2-1.生産性の高い言語を用いた方が製造者(GM)は楽
 初心者をTRPGに導入するにあたって、GMの負荷軽減が言われてます。初心者がプレイされる場合は、はまると、夢中になって猿のようにプレイされるので、既成シナリオだけでは足りなくなってきます。そうなると、簡単にシナリオが出来るツールなどがあると、とても助かる。

 そうするとシナリオの自作を検討することになりますが、これがまた古い言語だと、敷居の高さに挫折するんですよね。

 ユーザからすれば最初はせいぜい、

「今日のラスボスをこれに変えて戦ってみたい」
「こういう課題を解決してみたい(Aマホとか)」

……という、せいぜい1個か2個くらいの要求しかない。にもかかわらず、たったその1個や2個の要求を実現するために、古い言語では莫大な量のあれこれを、いっぱい作らねばならなかった。

 プログラムの世界も同じで、生産性の低い言語の前には挫折した死屍累々の屍の山がもう、うんざりな状況だったりするのですが。それでも「仕事で金が稼げる」という強いモチベーションがあるから頑張れますが、TRPGはしょせん「お遊び」ですので、そこまで強いモチベーションは期待できない。

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 また、プレイ環境の変化(オンセとか)、一般ユーザの取り込み(授業で使うとか)を考慮すると、30分とか、50分とか、1時間とか、短時間のセッションも考慮する流れがあります。

 そうすると、時間があってがっつり遊べる人なんかは、シナリオの消費回転速度が現状の何倍にも加速して、シナリオコンテンツをあっという間に大量消費してしまうわけで、それに対応しようとすれば

・公式が毎月、毎週10個とか、100個とか大量のシナリオを配信し続ける
・ユーザがシナリオ自作する

というような対応が必要になります。モンスター・ハンター・フロンティアなんかの場合は、毎週毎週新クエストを1~2個ぐらいずつ継続配信してて、すごいのですが、TRPGの公式がそこまで出来るかと言えば、体力的に無理なんじゃないかと思ってます。するとユーザのシナリオ自作に頼るしかない。

しかしそうすると、1個1個のシナリオを作るのにいちいちガッツリ時間をかけてたらコストパフォーマンスの面で、まったく見合わない状況になってますますGM負荷が増える。

 ……そういった諸々の問題を解消するのが

・とにかくTRPGシナリオの生産効率を上げる

ことだと思っており、この方向が推進されんかなーと。

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2-2.「たった1行のシナリオ」
 以前、シナリオのフォーマット比較検討などされた記事があったのですが……行方不明だw、ハンターズムーンのシナリオについて

・シナリオを作った感じがしない

というような感想が書かれてたと記憶してますが、それは間違っている(旧来の感覚ならそう見えるかも)と思ってます。
TRPGのシナリオを作るにあたって必要な物には

1)こういうシナリオを作りたい(要件)
2)実際のシナリオ記述はこうなった(実現/実装)

の二つの要素があります。ハンタムのシナリオ形式のすごいところは

・上記の二つの必要な要素が「たった1行」ですべて完成してしまっている

というところで。
先日、芥川賞受賞した円城塔の「道化師の蝶」を読んだのですが、そこで、

--引用--

(飛行機の中で読み終えられる作品についての議論で)
「読み通すことができたからといって、楽しんだとは言えないでしょう。読み終えるという条件だけなら、ひどく短いものを書けば済みます。それこそ一文字しか書いてない本だとかね」

 そう宥める言葉へのエイブラムス氏の応答は、私の度肝を見事に抜いた。

「それでどうしていけないのです」

--引用--

という記述があります。シナリオをやたらめったら書きたがる人間というのは、ある程度の量を書いて、仕事をした振りでもしないと、セッションを楽しくできるかどうかということについて不安があるのかも知れません。

しかし実際のところ、シナリオがたった1行であろうが、PL次第で、あるいはPLとGMの相互作用で、いくらでもセッションは面白くなることを我々(誰w)はすでに知っていますし、慣れたGMの人は「俺フレームワーク」をそれぞれが独自に持っていて、わざわざハンターズムーンやAマホなどが提供されるずっと前から、たった1行~数行のシナリオのみでサクッとセッションを回すことができていました。

その「俺フレームワーク」に、やっと公式が追いついた。

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2-3.しかしたまには、メカニズム理解のため、敢えてレトロな旧式シナリオ作成をやってみてもいい
 手間暇かかって大変ですが(若さ故)、そもそもどういうメカニズムでTRPGセッションがシナリオによって構成されてるのか、を把握するために敢えて、レトロなシナリオ作成手法を採用するのも良いんじゃないでしょうか(気力と時間があるなら)。

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3.その他各論
3-1.『冒険王道』に見るシナリオ分類
 図では「イベント基準」と「場所基準」でシナリオを分類してますが、『冒険王道』という初心者向けTRPGシステムでは

・モンスターから考える
・物語から考える(=イベント基準)
・マップから考える(=場所基準)

という三つの観点でのシナリオ作成法が書かれてます。ハンタムは「モンスターから考える」とも言える感じですかね。あと「モンスターから考える」は、シティーアドベンチャーなんかだと「キャラクターから考える」とも捉えられますかね。

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3-2.RHD(ラビットホール・ドロップス)VB説
 ビジュアルで、見たとおりに動く、というところがVB的かなあと。
 「VB」であって「VB.NET」ではないところはお察しくださ窓に! 窓に!

 ツールさえ整えば、ぺぺぺっと簡単にサクッとシナリオができそうなんですけどね-。

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3-3.クトゥルフ神話TRPG
 マップ使うので場所基準がメインかなーと。

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3-4.FEAR的シーン制シナリオ
 形式・概念は一通り揃ってて、厳密で、何でもできる。
 しかし、とにかく作るのがメンドクサイ。

 a.setB(c);
 d = A.getE();

 が、いかにしちめんどくさくて

 a.b = c;
 d = a.e;

 が、いかに生産効率が上がるか、というセンスが分ってない感じ。

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3-5.D&D4th
 旧来の関数志向と、比較的新しいクラス志向のハイブリッド。
 「ダンジョン・バトル」&「技能チャレンジ」の両輪。
 モンスタータイプの分類とかレベリングとか。細かいところでより便利に。

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4.まとめ
1)シナリオ作成が簡単になって初心者に優しくならんかなあ
2)セッション短時間化/高速化に伴って、TRPGシナリオの生産性向上が求められるようになる
3)シナリオ-セッション運用のメカニズム理解のため、敢えてレトロな形式にチャレンジするのも悪くはない(が、そんなのは「たまに」の程度で済ませたいところだw)
4)RHDによる 「シナリオのビジュアル化、見える化」 という、TRPGシナリオ製作における新たなイノベーションの端緒が見える



そんなところで。
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by namizusi | 2012-06-19 21:03 | TRPG


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