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TRPGの初心者対応雑感:(・_・)

・とある #TRPG 初心者からのおねがい & 初心者へ贈る言葉
http://togetter.com/li/616164

 これを見て。
 上記記事が出たときに、いろいろ考えたのですが、考えを整理した記事とか書いてなかったので今書く。




1.雑感

>1.私はルールブックが読めません。
>2.私は説明された以外のルールを知りません。
>3.私はルールをどの程度曲げていいのか知りません。
>4.私はそのゲームの細かい設定を知りません。
>5.私の疑問にはどうか説明をつけて答えてください。
>6.私は複雑な判定にはすぐに理解が追いつきません。
>7.私は質問を自分から切り出しづらいのです。
>8.私は自分で選択する喜びを楽しみにきたのです。

>私はTRPGを楽しみたいと思っています。
>ですが、その具体的な方法はプレイ内に自分で見つけます。

 ワシはTRPG完全初心者と卓を囲むことも多少ありましたけど、概ね言われてることは妥当かなあという認識です。うん、わかるわかる。
 あと、この要望が挙がった環境だと、『ベテラン』様が、初心者な人に、あれしろこーしろと指図しまくってた風景が見えるのだが^^;。

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2.個別見解
 1個1個個別に考えてみる。

1.私はルールブックが読めません。

 これは、とてもよくわかります。
 TRPGのルールブックって、小説やエンタメではなくて基本は「技術文書」「専門書」ですから、そういうのを読む文脈がない人にいきなり「読め」と言っても、読んでも何も頭に入らないんじゃないかと。
 それ以前に、最近では「学校の教科書/参考書以外で、そもそも文字媒体を読むという機会がない」という可能性も高いですので、文字で書かれた説明文を読むこと自体が困難なことも考えられます。

 これに対して、ルールブックを買って自分でしっかり読めばいいんじゃね的意見が出てますが、

・そもそも一通り読む根気がない可能性が高い
・いざ遊んでみて、システム自体が肌に合わないかも知れない
・それ以前に、上記のような要望が出るということは、遊んでた環境が肌に合わなくて続けて遊ばないかも知れない

 っていう感じに、せっかく買っても無駄になる可能性が高い状況で「買え」とか、正気の沙汰とは思えなかったりします(真顔)。
 ……まあ、昔は私はそれでも買いましたが(あの頃は挑戦的だったなあ(遠い目))、自分で買う! っていうなら止めはしませんが、経験者側から「買え」とは、絶対的に、言えないかなーと思います(私はね)。

 ……というわけで、初心者な人がセッション中にルールブックが読めないのはわりと妥当かなーというのと、でも時間をかけてじっくり読んで確認したいかも知れない(おそらく、コンボとか作戦を自分で考えたいという思いもあるのかも)、しかし大枚はたいて「ルールブックを買え」なんて血を吐いても言えないなーというのを勘案した結果、

・GMが、PLがじっくり読んで考えるための予備のルールブックを用意して見せる

というのが妥当かなーと思って実践しております。自分用/PL側用/予備の3冊ぐらいは持ちますかね。
 まー、廃人な人だと「自分がGMやるときには、卓のメンバー1人に付き1冊ずつ行き渡るようルールブックを買い揃える」とか「星座の数だけルールブックを買うのが心意気!」とかいうオカシ(検閲削除)……意欲的な方もいらっしゃるようですが。

 こうしますと、

・GMが初心者向けに余分にるるぶを買う
・PLも慣れてもっとやり込もうと思ったら、結局自分用にるるぶを1冊買う

 ということで、よりルールブックの売れる数が増えて良いんじゃないかと思いますが。
 長く遊び続けたくなるような、良いシステムならね(淘汰)。

 とりあえず「初心者対応」を謳ったのであれば、初心者な人が一人でじっくり読んで考えられるように、専用のルールブックを用意して提供出来ると、プレイがスムーズに行けるかと思います。
 「初心者提供専用るるぶ」を提供する資金がないのでしたら、代わりに「GM以外に、ルールに詳しい1対1で対応する専属サポートマンに入ってフォローしていただく」とか、別のルールフォローを考えるとよろしいかと。

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2.私は説明された以外のルールを知りません。
 これはまあ、当然ですね。上記の「ルールブックが読めません」とも関連して、初心者の人は、まだルールの全貌も何もわかってないので、新しい言葉や概念を導入したら、そのたびに説明が要ります。
 なので、その日の卓で初めて言う単語があったら、

「***って、意味わかりますか? 説明したことあります?」

と言って、了解済みかどうか確認を取りつつ進めるのが良いと思います。

 で、TRPGシステムの種類によってはこの辺の基本概念の解説で1時間とか余裕で取られたりするので、初心者対応を謳って卓を立てて、参加者の中に初心者な人がいるのが確認出来たのであれば、概念解説の1時間を盛り込んだ上のセッション進行を心がけると良いと思います。

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3.私はルールをどの程度曲げていいのか知りません。
 これはあんまり言われたことはないのですが、PLに対して甘すぎるGM様というのがしばしばいらっしゃいまして、PLがあれしたいこうしたいというとそれがほとんど全部通って、元々のルール処理/ゲーム性を崩壊させてしまったりします。
 それ系の、即興で、ルールに書かれてないあれこれを通してしまう(しかし、通すには何か独自のローカルルールがあるっぽい?)、GM様が相手だったのかなあと想像されます。うむ。

 これについては、私は機会があるごとにいつも言っていますが、

・初心者な人は、TRPGを「(世間一般的な)ゲーム」と思っているので、「ルール通りに処理しない(できない)」ということ自体知らない

っていうことを、経験者の人はすっかり忘れてしまってることが多いかなーと認識しております。

 以前、RHDのルール処理の話で、「ルール優先演出後付けで良いじゃん」と私が言ったところ、「『ルール優先演出後付け』が定着するのにどれくらいの艱難辛苦があったのか……」という文句を言われたことがありますが、その文句を考え出せるのは、TRPG経験者だけなのですよ。

・TRPG初心者からすれば「ルール優先演出後付け」は当たり前なんです
・TRPG初心者からすれば「ルール優先演出後付け」は当たり前なんです
・TRPG初心者からすれば「ルール優先演出後付け」は当たり前なんです

 重要なことなので3回言いました(白目)。

 これについては、どうすれば良いか難しいところなのですが、初心者とか内輪以外の外部のメンバー相手にプレイする場合は、内輪プレイと差別化を図って、

・比較的、ルールに厳密にプレイするようにする
・公式ルールと明らかに違うローカルルールを適用するときは、その解説をきちんとする

という対応をしていたと思います。要するに、ちょっと「外向けプレイ」を意識すると良いかも。

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4.私はそのゲームの細かい設定を知りません。
 ルールブックに書かれたネタならまだしも、別売のリプレイに書かれたネタとか言われても困りますわな(苦笑)。
 内輪プレイネタ(削除

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5.私の疑問にはどうか説明をつけて答えてください。
 ルール的にどうするかだけでなく、そもそも何故そうするのが妥当なのか、という「概念」の説明が、初心者な人相手だと要ると思います。
 要領のいい人だと、すぐ理解してくれたりしますが、そうじゃないとなかなか伝わらないので、じっくり理解出来たかを確認しつつ進めると良いやも。

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6.私は複雑な判定にはすぐに理解が追いつきません。
 戦闘の処理とか、若干ゆっくりプレイすることを意識すると良いでしょう。
 くだんのPLが理解してるかどうか、訳がわからなくなってるかどうか、顔色を見て確認しつつ進めるが良いでしょう。

 「あなたに理解してもらえなかったら、話を進める意味がないんです。
  どこがわからないでしょうか? ぜひ教えてください」

 ていうくらいのつもりが良いかも。

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7.私は質問を自分から切り出しづらいのです。
 昔は弱肉強食的に自分の出番は自分で奪い取れ! という感じの所もあったのですが。ターンとかシーンとかでPL個別に対応する局面を作られてる場合は、それを利用すれば良いかと。

 自分がGMの場合は、基本的にどのPLが、どのくらい話しただろう? というのを常にカウントしてますので、あまり話してない人にはどこかでフォローを入れて機会を設けますね。それは、相手が初心者だろうが、そうでなかろうが、変わらないです。

 どちらかというと、GMをやる人は大体できてると思うんですけど、PLをやってる人側が、夢中になって、その辺の配慮が行き渡ってないことが多いように見受けられます。

 『おまえもうちょっと黙れよ(何)』

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8.私は自分で選択する喜びを楽しみにきたのです。
 これは「アルファ・プレイヤー・シンドローム」と言いますが、最適な戦術行動なんかを、場を仕切った声のでかいPLが、勝手に決めて押しつけてしまうことが、よくあります。
 そういうPLはしねば良いね(酷

 個人的に、TRPGの醍醐味、どのシステムでも共通の面白さのひとつは、

・自分で決断して何かを選び取ること

だと思います。
 別に初心者相手でなくても常に考えることと思いますが、初心者相手の場合は「そこが面白いのだ/そこがキモ」ということ自体、知らないので、そういう機会がきたら、他のPLの介入をシャットアウトして、自分で決めていただく。
 自分の責任で、決断していただく。
 そして、その決断に対応した結果を受け取る。

 あなたがそう決断したから、その結果が得られたのだ。

 その感動を体感してもらう。
 そういうことを意識します。

 基本的にTRPGセッションでは全PCが、最低1回は、何らか「自分で決断する」局面が必要と思います。
 それが「TRPGでセッションに参加する」ということだと思います。
 ワシがGMやるときは「自分で決断する」局面が全PCに均等に行き渡ることを常に意識してやっています。
 シナリオ構成によってはPC1に集中することもありますけどー。
 でも「全PC最低1回以上決断局面を作る」はノルマとして常に課してます(自分に)。

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私はTRPGを楽しみたいと思っています。
ですが、その具体的な方法はプレイ内に自分で見つけます。


 これについては、ちょっと難しいと思いました。
 昔は「そのシステムでどう遊ぶかはユーザーの勝手だろう」というスタンスでしたので、上記の話は完全に妥当でした。

 しかし、今のスタンスは若干変わってきていて

「デザイナー側が、このように楽しむよと良いよと、楽しみ方自体を提示してきている」

んです。遊び手が「相手がどのように楽しませようとしてるか、理解することを求められている」という側面が少なからずある。

 なので、できることとしては、

・PLがどのようにして楽しもうとしているか、聞いてみる
・システムが、どのようにして楽しませようとしてるか、簡潔に解説する
・「PLがどのようにして楽しもうとしているか」と「システムが、どのようにして楽しませようとしてるか」をうまく融和して、落としどころを見つける

という手続きが、そのTRPGシステムの概念自体を知らない「初心者」相手には要るかなあと。

 まあ、新しい概念を理解して、自分の欲求に沿うよう考え合わせること自体が、面白いことではありますが。
 それを考えるのに若干時間が要りますので、それもプレイ時間に盛り込む必要があると思います。



ワシの見解は、そんなところです(おわり)。
by namizusi | 2014-01-26 11:22 | TRPG


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