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いまどき?のクトゥルフテイスト

 こことかここでクトゥルフ論について書かれてて面白いので、またつらつらと書いてみます。

1)「クトゥルフ神話もの」と「クトゥルフテイスト」
 クトゥルフ神話という考え方がもたらしたものには大まかに2つあると思います。実際は両方含んでいるものもありますが…

・「クトゥルフ神話もの」
 要するにクトゥルフ神話的名称を使っていれば、それが超くだらない習作期のC級オカルトなスティーブン=キングの作品であろうが名称だけ出してセンスもへったくてもない18禁ゲームであろうが、名称だけ使ったただのSFアクションアニメであろうが、すべて「クトゥルフ神話」ものなのだ。
 例)「戦え!行くサー1」

・「クトゥルフテイスト」
 クトゥルフ神話的名称は使用していないが、クトゥルフ神話によってもたらされた「理解不可能な未知のものの恐怖」を物語ソースとして導入している作品。センスが重要。
 例)「新世紀エヴァンゲリオン」

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2)記号としての恐怖
 これについては、某有名な哲学者が何か言っていたと思いますが…山田正紀の「神狩り」を見よ。内容は要するに、「理解できないものは言及できない」という話なのですが、クトゥルフ神話というのは「理解できないものを描こうとしている」という点で画期的だったように思います。数学の世界で言うと「値の存在しない『0』という概念を数字の世界に導入した」というのと同等の意味合いがあります。

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3)触手論(笑)
 まあ、クトゥルフ神話ものというとよく言及される笑い話で、概ね正しいと思うのですが、クトゥルフものが来るずっと以前に葛飾北斎が触手ものは描いちゃっててあまりに有名だしなあ。まあ、日本にはそういう触手ものが受ける素地はあったと言っていいでしょう。

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4)エヴァンゲリオンによるカウンター
 もう10年も前の作品!で時代は流れたなあと思うのですが。
 クトゥルフ神話で「神話生物」として創造されたものというのは基本的に「東洋人やネイティブアメリカンなんて理解できないおぞましいものだ」という西洋人の妄想によって発案されたイメージと言っていいと思います。同様にエヴァンゲリオンで描かれる「使徒」「エヴァ」「アダム」といったものは「キリスト教なんて理解できないおぞましいものだ」という妄想によって発案されたイメージと言っていいと思います。

 実に教科書的にきれいにカウンターした「クトゥルフテイスト」作品と言っていいでしょう。

 加えて、単純にそれを「敵対する恐怖の対象」とは描かずに、「味方として利用していっしょに戦う」とか、最終使徒のカヲルのように「理解してしまってそれを滅ぼすことに罪悪感を覚える」といった概念も導入しているところが実に日本的。

 ほかに、エヴァンゲリオンに乗ってるパイロットがことごとく精神破綻者で、乗れば乗るほど正気度が下がっていくように見えるのはクトゥルフ神話TRPGで乗るたびにSANチェックして正気度が下がっていく様子を克明に描いているかのようで極めてリアルですなw。

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5)特撮ものとか
 ここまでくると「言い過ぎ」な感じが(笑


んでわまた
by namizusi | 2005-05-16 12:51 | TRPG


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