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擬似クライマックスの手法:(・_・)

 前に書いた(http://simizuna.exblog.jp/6627985/)フラグ志向セッションのためのクライマックス演出技法について解説します。

 通常のクライマックスというのは序盤中盤のエピソードの積み上げがあって初めて盛り上がりのあるクライマックスが形成されるのですが、フラグ志向セッションでは

・基本的に序盤中盤とクライマックスには何の関連もないことにして独立性を保つ

という手法を使うため、「エピソードの積み上げ」というリソースは使えないことになります。
しかし、形式(雰囲気)として通常の積み上げと同程度以上の盛り上げを持ってこないと話としてすっきりしないので、無理矢理即席でハイテンションに盛り上がってしまう演出を考える必要があります。
ソフトウェア開発で言うと「垂直立ち上げ」という技法ですかね(笑)。要するに

・クライマックスの垂直立ち上げ

というテクニックを弄する必要が発生するというわけです。



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1.図解
図解するとこんな感じでしょうか。
■の数がセッションの盛り上がりの度合いを示します。

1)通常の盛り上げ方
■導入
■■中盤
■■■中盤
■■中盤
■■■■■クライマックス
■■後日談

2)フラグ志向セッション的盛り上げ方
■導入
■■中盤
■■■中盤
■擬似クライマックス導入
■■■■擬似クライマックスメイン
■■後日談

ポイントは

・クライマックス直前とクライマックスの「差」が同等である
・短期間で一気に低いところから高みへと持ち上げる
・擬似クライマックスメイン直前で深く沈めるのがポイント

という点です。
擬似クライマックスでは、セッション全体を通して積み上げてきたクライマックスほど高い興奮度にはならない(※)。しかし実際クライマックスで感じられる興奮度というのは

・クライマックス直前の落ち着きと、クライマックスの「差分」が体感される

ため、擬似クライマックスが積み上げクライマックスほど盛り上がらなくても、直前の落とし具合をきっちり深く落としておけば体感として同じくらいの興奮度になって感覚的にだまされるようになる、というわけです。行ってみれば詐欺です(笑)。

(※)一概には言えない。とてもうまく行った積み上げクライマックスに擬似クライマックスはかなわないが、平均値としての盛り上がり具合は同等以上の盛り上がりを創出することが可能であるし、安定して盛り上がる。

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2.「深く沈める」ことが重要
 たとえばダンジョンシナリオで普通の盛り上げ方だと

・ダンジョンであれこれ苦労した挙句に目的を達成できたー!

という盛り上げ方をしますが、フラグ志向セッションでは

・ダンジョンであれこれ苦労した挙句に目的を達成。
 しかし拠点となる村に戻ってきたら村は滅んでいた!
 村を必死に捜索したところ、村に置いてきた大切な人を何とか救出することができた

という盛り上げ方をします。ポイントは

・あって当然と信じている前提条件を切り崩してより深く落とす
・努力の結果前提条件の何がしかが回復されて「あって当然と信じている」ものの価値を再確認する

ということです。
通常のストーリーメディアの作り方でも

「安定した人間関係の状態がある」
→「イベントを起こしたり関係を切り崩すことでドラマを発生させ、キャラクター性を出す」

という作り方をしばしばしますが、同じことですな。

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3.「ありもの」を使う
 プロジェクト管理で垂直立ち上げをする際に重要なのは

・「ありもの」を使う

ということです。すでにあるフレームワークないし、お約束ないし、システムを借用することによって序盤の準備の手間を省き、一気にメインの開発状況に持ち上げる。

擬似クライマックスの垂直立ち上げもまったく同様で「ありもの」を使うことで一気に短期間でセッションをヒートアップさせるというわけです。で、TRPGやストーリーにおける「ありもの」とは何かというと

・お約束

という奴ですね。ストーリを見る視聴者が興奮するパターンというのはある程度決まっており、手法も確立されています。それを流用するわけです。その際の留意点としては

・ベタで良い

てことです。まあ、見慣れたストーリーメディアでベタな展開をされるとさすがに嫌気が差したりすることがありますが、TRPGというのはストーリーを体感する遊びなので、別にベタでもわりと新鮮に感じられます。ベタな方がリアクションのやり方も読みやすいし興奮パターンも体に染み付いているため、むしろ効果的です。
んでまあ、お約束パターンにはどんなのがあるかといえば

・自分にとって大切なものが失われるかもしれない。どうしよう
・自分にとって大切なものが失われてしまった。どうしよう
・長年の宿敵が現れた
etc...

といった辺りでしょうか。これまで散々この辺のネタは書いてきたので割愛します。何でも良いです。いろんなストーリーメディアを嗜んでパターンのストックを増やしておくとGMとしての芸風が広がります。とりあえずは

「自分だったらこの辺のネタで行けば演出も即興で行けるし盛り上げられる自信がある」

という“得意技”を1つでもいいので確立すると、どんなセッションでもそれなりに盛り上げられるようになります。「何でもいいのでラストは必ず龍が現れて町を滅ぼしていく(死ぬ死ぬ)」とかでもいいです。キャンペーンなら最終ボスをその龍にしときますか?


そんな感じで。
んでわ
by namizusi | 2007-04-01 13:22 | TRPG


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