ストーリー工学から見た「負けるTRPG」:(・_・)

http://www.fujisan.co.jp/Product/1099/b/164290/

これを見て。



1.失敗を積み重ねる名作パターンと成功を積み重ねるTRPGパターンの対立
 ハリウッド映画的構造かな?と思うのだが(よって、内容的に偏っているし、すべての物語に適用できる構造ではない、と思う)

・正……目的を達成しようという意思
・反……立ちふさがる障害
・合……結果

の対立によって話を盛り上げていくストーリーのパターンを上記の本の序盤では、解説している。これは基本的に7つのシークエンスから成り立っていて以下のような手順で盛り上げるのがいわゆる「名作」と言われるものでよく使われているパターンなのだそうな。ほんとかどうかはよく知らない。

1.最終目標と立ちはだかる大きな障害が提示される
2.手近な小目標にチャレンジする
 →必ず失敗する(笑)
3.途方にくれているところにチャンスが向こうから転がり込んでくる
 →やっぱり必ず失敗する(笑)
4.またもチャンスが向こうから転がり込んでくる
 →やっぱり必ず失敗する(笑)
 →しかも、絶望的な窮地に立たされる
5.主人公は自分のもてるすべてをかける。そしてチャンスが転がり込んでくる
6.主人公の前に最大最悪の障害が立ちはだかる。そして全身全霊を持って対決する。
 →勝つときも負けるときもある
7.感想およびまとめ

ま、こんな感じ。
一般的な?TRPGの構造と正反対ですよな。
TRPGというのは一般的に成功に成功を積み重ねていって、最後に大目標をクリアするというつくりをします。TRPGではPLがPCを完全には分離できず当事者になりきってプレイしますので、当事者の気分になると「失敗」は耐え難い。したがって成功を積み重ねていくことで最終目標の達成を盛り上げていくことになるのですが、これには大きな問題があって

・これだけ多くの積み重ねをしてきたんだから、最後は成功しないと話しにならんだろ?

という物語要請による「硬直」が起こるんですね(そして悲劇嫌いなPLが量産されるというわけですな)。

で、上記に書いた7つのシークエンスによる、中盤はとにかく失敗失敗を重ねて、弓の弦を引くように目標からむしろ遠ざかることによって反動の推進力を得る構造の場合は、最終的に成功しても失敗しても

「そもそも事態はそんなに進んでなかったし、とにかく自分自身が全力を尽くせたから、それはそれで満足」

となるわけです。失敗に失敗を重ねていくスタイルの構造では主人公の行動によって事態が好転するという

・物理的外的進行

は、ほとんど進まずに(むしろ悪化する)、代わりに主人公が追い込まれることによって覚悟を決め、全身全霊を賭けるようになる、という

・内面的進行

を促されるわけです。
うちで「フラグ志向」とか言ってる方式と同じ考えになりますな(笑)。

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2.失敗させる方法
 で、ハリウッド的?な失敗を積み重ねて話を盛り上げる手法をTRPGでプレイする方法ってあるんか?と考えたのだが、近年の僕のやってるセッションの形式がそんな感じかなと思うのでテクニックの解説をしておく。

 TRPGというのは基本的に「ゲーム」であるので、市場原理に則ってPL/PCは「成功」を目指す。そして基本的に成功するものである。(リソースを払って成功を稼ぐ(システムならなおさらその傾向が強まる)。なので、失敗を積み重ねて緊張感をアップしよう、と思ってもできない。

 ではどうするか?

 フラグ志向の話で散々書いてきたのだが、PCが当初想定する目的と、セッションの目的の位相をずらすことによってテクニカルに実現することができる。要するに

・PCが大目標を達成するために立てた小目標は、常に大目標を達成する役に立たない

とすることによって、小目標を達成してもそれが大目標の役に立たない、という失敗を繰り返すわけである。そんな失敗続きのプレイをして嬉しいのか?という人もいると思われるが、面白い、と僕は思う。なぜかと言うと

・そもそも多くの人間は、自分が本当に達成したい目標なんて、何にもわかっちゃいない

からである。実際やってみて、その経過を見ることで初めて、「自分が本当にやりたいことはこれではなかった。本当にやりたかったのはこれなのだ」と自覚できるようになるものなのである。そしてそれがPC&PLの内面的成長となるわけである。

 とてもわかりやすい例を挙げると「青い鳥」という話がある。「幸せの青い鳥」とも呼ばれて、その青い鳥を見つければ幸せになれるという話を信じて主人公たちは鳥探しの旅に出るのだが、これって根本的に間違ってるでしょ?(こう言ってわからない人は、作品を観ておくんなまし。映画にもなってますので)

 まあ、こんな感じに、誤った目標の設定とパラダイムシフトに伴う失敗の積み重ねによって、PC&PLの内面的な緊張感を高めていくのが、僕が言っているフラグ志向なセッションの盛り上げ方ということになるわけである(ほんとかよ(笑))。

 まとめると

・自分は本当は何をしたいのか?何に幸せを感じるのかを探す旅を遊ぶ

って感じかな?
ま、こういう盛り上げ方もあるんすよってーことで。


んじゃ
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by namizusi | 2007-04-05 02:54 | TRPG


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