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「わからない」と言う勇気:(・_・)

難しい問題に直面したときのプレイングテクニックについて。

TRPGのセッションでは「疑似体験」「仮想現実」といった「現実に近いもの」を扱う関係で、正解のない問い、唯一絶対の回答というもののない問いを問われることがしばしばあります。そういった問いに対してマスタリング面でどう対処するかというと

1)考えるのに十分な時間を用意し、事前にセッションに盛り込んでおく(30分~1時間くらい)
2)制限時間を設け、できれば明示する
3)「何も選択しない」という選択をした場合の第3の分岐結果を用意しておく

という対処をすることで定量的/システマチックに対処できます。しかし、これは片手落ちというかGM側の問題を解消しているだけであってPL自身に問題があって満足の得られない結果になった場合については考慮してません。

まあ、それを何とかするのもGMの責任だということにする考え方もありますが(僕は支持してませんが)、こういう状況で、PL側でもう少しまともで賢い対処をするためのテクニックを解説することにします。



1.「わからない」と答える勇気
 何か問いを問われたとき、日本の暗記型教育に慣らされている人間の多くが

「問われたら唯一絶対の回答を速やかに答えなくてはならない」

と、勘違いしますが、そんなものは嘘っぱちです。

「すぐに答えろ」

と言われない限り、どんな問いにもすぐに答える必要はないのです。「すぐに答えろ」と言われたときでさえ、

「わからない」

と、すぐに答えることで本当の選択を考える猶予を作ることができますし、PCの時間が逼迫していてもPLの時間では猶予を作ることが可能なので、メタで考えをまとめる時間は確保できます。

 ここで十分時間をとってよく考えて答えを出せばそれなりに結果に満足できるようになりますが、あわててありもしない脅迫観念に急き立てられて思慮の浅い回答をすると多くの場合後悔することになります。

 重要なのは

・すぐに安易に答えを出せそうにない問題には、すぐに答えを出してはいけない。意識してブレーキをかけることが必要である

ということです。周りがどんなに余裕を持っていたとしても、当人があせって走ってしまったら止めるのは困難です。まず、自分でブレーキをかけて自分で自分を止めるのが、難しい問題を考える際の最も基本的かつ重要なテクニックとなります。

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2.猶予を作るためのテクニック
 ということで、難しい問題に対して考える時間を確保するためのテクニックを以下に解説します。ポイントとしては「モードを切り替えて少し突き放した状況から客観視しなおす」のが有効ですかね。

1)シーンを切る
 シーンを切ると、いったんPCにのめりこんだ状態からPLのモードに戻ります。(たまに戻らない人がいて困りますが……そういう人はPLとして問題があるので指摘して直してもらった方がいいでしょうね)自然にPL同士でメタに会話できるようになるのでPCとして会話するよりも冷静に客観的に状況を分析できるようになります。

2)とりあえず「わからない」と言う
 シーンが切れない場合、切らずにメタに移行するとかPC同士が議論するモードに変化するとか、そういったモードの切り替えができます

3)「ちょっと待った」と言ってメタで議論するモードに移行

4)休憩を入れる

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3.考慮点
 結論を出すための考慮点の解説をします。問題に対して急いで答えようとすると視野狭窄状態になって全体の考慮が抜け落ちることがよくあります。いったん冷静に全体を俯瞰しなおすことでより満足の得られる回答を導き出すことが可能ですが「いったん冷静に全体を俯瞰しなおす」についてある程度システマチックな見方があります。

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1)PCの全設定&重み付けを俯瞰する
 問題を考える際にPCの全設定を俯瞰しましょう。重大な問題にぶつかって視野狭窄状態になっているときには、例えば

・A/B/C

という3つの問題がPCに課せられても

・A

という1個の問題にとらわれてB/Cという問題への考慮が抜け落ちることがよくあります。このときに各問題の「重み付け」も考慮するとより公正に判定できるようになります。例えば設定として

・PCにとってAとBは同じぐらい重大な設定となっている。Cはそれほど重視していない。Aに従って行動しようとするとB&Cに抵触する。CはAほど重要に考えてないので無視しても良いが、Bに抵触することについて無視するとPCの設定が壊れる。AとBを両方満たす選択を新たに考え出すか、Aを選択し、Bを捨てるよう設定を変更する必要がある。Bの設定を変更するのであれば、物語的説得力に鑑みてそれなりの演出/伏線が必要だ

とかいう具合に考えるわけです。が、2つも3つも設定があると脳味噌スパークして考えられない人もいるので、プレイするのが難しかったら可能であればセッション開始前に設定を削るといいですかね。セッション中に削る場合はGMや他のPLとの刷り合わせの必要があります。というのは他のPCが設定Bを根拠に自分のPCと関わっている可能性があるし、設定Cを前提にGMがシナリオを組んでいる可能性もあるからです。

 設定を捨てるというのはPL一人の責任ではありません。場合によってセッションのストーリー構造/人間関係の構造を破壊し得る重大な問題となる可能性があり、セッションに参加している他のメンバー全員に対して責任がある場合があります。他のPL&GMとよくコミュニケーションして刷り合わせをしましょう。

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2)メタで全体を俯瞰する
 メタで全体を俯瞰するというのは、例えば

「ここでPCが突っ込んでいくのはどう考えても自暴自棄的だし助からんのでは?」

という状況で、他のPLが

「君がそこで突っ込んでくるなら僕のPCの設定の***に引っかかって寝返ってフォローするかも。演出用に1シーン必要になるかも知れんが」

とか言って口裏を合わせて調整するシークエンスを言います。自分一人ではなんともならなくても、他のPC/PLの協力で解決することはよくあります。「人の助けを得るのは恥ずかしいこと?」とか勘違いして一人で溜め込みがちなPLがよくいますが、

・人の助けを得ようとするとそのPL/PCの活躍する出番が増えてむしろセッションがより盛り上がる

と思いますね。むしろ助けを求めた方が、一人で解決するよりもはるかにお互いを引き立て合うことになって、セッションにとってより良いと思うんですよ。

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4.まとめ
 TRPGのセッションでは問題が発生すると

・PCの一部の問題に囚われて他のPCの設定が見えなくなる

という問題に加えて、

・当然そういう視野狭窄状態だと他のPCの設定やシナリオ全体の流れなんて見えるわけない

という状況に陥り、狭い観点での判断しかできなくなってしまってることが多いです。そこで

<1>とりあえず冷静に考え直す時間を確保する
<2>PCの設定を見直し、PCを客観的全体的に俯瞰する
 →PLの力量の足りなさからPCの設定を改変する場合はGM&他のPLとの刷り合わせが必要となる。勝手にPCの設定を改変するPLはセッション&人間関係を破壊し得る重大問題となることがあるので要注意。「ストーリー志向」とか「キャラクター重視」のプレイの場合にはPCの設定を守ることは「義務」と考えた方がゲーム的に望ましいかと。
<3>セッション全体の設定を見直し、その中でのPCの立ち位置を確認する(メタ思考)
 →PLが全責任を一人で背負い込む必要はない。他のPL&GMに頼ることも時には必要である。むしろ、助けを求めた方が、他のPL/PCの活躍機会が増えてより良い

という3段階の手順を踏むことで、全体を見て、より納得のできる選択を選べる状況を作るわけです。


いじょ
by namizusi | 2007-05-13 23:38 | TRPG


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