FEARゲームからのステップアップ:(・_・)

 FEAR系のシステムと他のシステムを比較するとセッション運営とシナリオで至れり尽くせりなのが良くわかります。かつて

「補助輪」

と言われましたが、まさにそのとおり。

で、FEAR系のシステムだけやってた人が他のシステムをやろうとするとその不親切さをどう補うかで苦労することが多いようなので、補完する手法を解説します。加えて、他のシステムではなんで「3行シナリオ」だけでもさくっと運営できちゃうかという解説もします(余裕があれば)。深く突っ込むと、シナリオ作成時のポリモーフィズム(多態性)&フレームワークによる効率化の話まで行きますが、そこまで行くかは謎。



1.ハンドアウト問題
 他のシステムではハンドアウトがないため、どうやって導入したら良いかで途方にくれるようです(笑)。

1-1.ハンドアウトの機能
 以下の2つの機能があります。

<1>PCのやるべき目的を示す
<2>PCの立ち位置の差別化を示す

step1.アリアンロッドRPGをやれ
 パーティー制システムでは今回予告がハンドアウトと同じ機能を示すのでわざわざ今回予告から分離してハンドアウトを作らなくても良くなります。

<1>PCのやるべき目的を示す
 →今回予告で提示
<2>PCの立ち位置の差別化を示す
 →プレイヤーが自分で考える

PCの立ち位置がPL任せで振れ幅が大きくなりますが、「パーティー制」という枠で抑制されます。限られた範囲内でPLが好きに作ったキャラクターでセッションをコントロールする手法に慣れるのに有効です。これでハンドアウトなしのパーティー制の運用方法に慣れることが出来ます。

 この手法は以下のように考えれば普通にハンドアウトを渡すシナリオと全く同じ構造であるのがわかります。

・PC1~5?のハンドアウトはすべて同一のハンドアウトである
・ハンドアウトの中身は今回予告と全く同じである

step2.2パターンのハンドアウトで回す
 ハンドアウトのないシステムでハンドアウトが欲しくなるようなシナリオで途方にくれる大きな要因のひとつは、「ストーリー性があるシナリオ」の場合です。もっと下世話に言うとヒロインがいるようなシナリオの場合。ついついPC1のハンドアウトを作りたくなり、それに合せてPC2~のハンドアウトも考えて作ろうとしてネタに詰まって困ったりします。整合性が合わず実際に回らなかったりもしますな。そこで、「2つだけハンドアウトを考える」という手法を使います。ハンドアウトの内容は以下のようになります。

PC1:主役系の濃いハンドアウト
PC2~:すべて同じ内容の薄いハンドアウト。PC1のストーリーに絡むような目的設定をする

PC2~以降のキャラの立ち位置の演じ分け、リアクション分けについてはstep1.で習得済みです。得た経験を存分に生かしてアドリブ対処しましょう。

step3.1パターンのハンドアウトで回し、PC1属性はアドリブでフラグ立てする
 もっと手を抜きます。フラグが立つ条件を事前に数ポイントリストアップしておくと良いでしょう。昔ながらのシステムのシナリオはこのstep3.の段階を想定しているものが多いと思われます。

step4.1パターンのハンドアウトで回し、群像劇をする
 PCが対決するようなシナリオとか。協力シナリオで主役不明瞭なシナリオの場合もこんな感じ。

step5.特殊ハンドアウトのシナリオをする
 普通?のキャラクターのプレイに飽きてしまったとき向け。PCが狂人とか放火魔とか目が見えないとか耳が聞こえないとか言葉がしゃべれないとか記憶を失ってるとかの、シナリオに直結した特殊なのをやりたくなったらやってみるべし。

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2.シーン分割問題
 シーンが大雑把になってたり、そもそもシーンらしきものがなくて途方にくれるようだ(笑)。

step1.アリアンロッドRPGをやれ(笑)(「ゆうやけこやけ」でも可)
 シーンPLのないシーン運用に慣れる。重要なのは、どうやったら全PLの意向をなるべく均等に拾えるようになるかである。身体で覚えるしかない。同時に3人の発言を聞き取れるようにする(笑)。

step2.中目的志向なシーン分割に慣れる
 中目的でシーン分割されているレベルのシナリオに慣れる。例えば「ラスボスの居場所を調査する」とか。実際の進行ではこのシーンがPCの行動によってさらに細分化されて「NPC-Aに話を聞く」「NPC-Bを説得する」「調査中に新たなイベント発生」といった細かいシーンが流動的に発生する。この細分化、調整のプロセスに慣れる。中目的を状況を見てどうまとめるかに慣れが必要である。身体に覚えこませるべし。

step3.大目的志向なシーン分割に慣れる
 大目的だけ決めて中盤を全部アドリブ処理する。ランダマイザで間を埋めたり、「自分なりの定番パターン(フレームワーク)」で埋めても良い。僕の場合はとりあえず

・村で情報を得たり事件勃発する
・解決の手段が近くの森の奥の洞窟にある
・洞窟の中に扉や障害が待っている

というパターンでどんなシナリオも埋めてしまう(笑)。「村」とか「森」「洞窟」はPCの生まれ故郷や居場所、背景世界の設定で適宜「らしい場所」に置き換える。シナリオのオリジナリティとかバリエーションは「障害の種類(ネタ)」「障害のクリアの仕方(ネタ)」「扉の開け方の種類(ネタ)」によって出す。……そういや最近まじめにシティーアドベンチャーってやってないのう。

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3.ポリモーフィズムとシナリオの簡素化
 上記のステップアップをしていくと

・ハンドアウトは1人分作れば十分だ
・シナリオは、最終目的だけ作れば遊べる

という感じにシナリオ作成が劇的に軽減される。その分実プレイで負荷が増えるが、負荷を全部GMがかぶらなくちゃならないというわけではなくてPLに被ってもらっても良い。例えばPCの立ち位置の振り分けや正確な目的設定や、身の回りの設定や親しい人なんかはその場でPLに考えてもらえば良いことである。PLが考えた以上、自分で納得するし、うまく行かなかったらPLの責任にしてしまえる(笑)。こう言うとGMが悪者みたいだが(笑)、責任分割はTRPGを楽に運営する上で極めて重要である。どんどん分割しよう。そして

・PCのインタフェースを決める
・PC周りの詳細はPLが自分で考える

というのがポリモーフィズム的考え方である。上手く活用して楽をしよう。

 後は、特殊パターンとして

・NPCのポリモーフィズム
 →同じNPCを使いまわしたり、違うNPCだが特定シチュエーションで同じアクションをする、とか

・シーンのポリモーフィズム
 →同じ構造のシーンを繰り返す。PCの構成、PCの状態、PCの真情だけが変わってそれによって変化が起きる

という部分でポリモーフィズムによる軽減化、幻惑作用を利用することも可能である。「時をかける少女(アニメ版)」とか「イノセンス」みたいな感じ?

 以前、TRPGにポリモーフィズムを導入すると何が嬉しいの?という質問を受けて答えられなかった記憶があるが、今答えるとすれば

・GMが楽になる。
 ・シナリオ作成が軽減される
 ・リアクションを画一化できる(どのPC相手だからどう答えよう、とか考えなくて良くなる。誰が聞いても同じタイミングには同じリアクションをする、という機械的処理で対応できるようになる)

・その分PLに負荷が行く
 ・PLも責任を取れよ、というのを明確に出来る
 ・責任を上げた代わりに自由度の高さが出せる
 ・PLの独創性を拾いやすくなる

というところであろう。

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4.セッションフレームワークとシナリオの簡素化
 ウィンカスター・フォーチュン・サービスとかエブリデイマジック辺りが綺麗にシステム化しているので参考にしよう。よく修練されたGMというのはあの手のパターンを数パターン自分の中で確立していていつでも引き出しに出せるようになっているものである……たぶん(笑)。自分の好きなパターンを何パターンか丸暗記してしまって、どこでも使えるようにすると良いであろう。
 フレームワークが頭に入ってしまえば、あとは部品として

・ラスボスを何にしよう?
・どんなシーンを入れ込みたい
・どんなヒロインを出したい
etc...

という感じに「部分のパーツ」を置き換えるだけで即座に脳内で自分のシナリオが完成出来るようになる。記述するシナリオメモとしてはネタの部分だけ書けば事足りるようになるわけである。

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5.まとめ
 まあ、ステップアップしたらその方が楽しいとか、その方がレベルが高いとか、その方が素晴らしいとかそんなことはないので自分にとって適切な段階を把握するのが望ましい。「俺はどうしても個別にハンドアウトを作ってその精妙で入り組んだ関係を遊びたいんだ」って言うならそれはそれで面白いだろうし。昔の不親切なシナリオじゃ自分の感覚でプレイできねーと感じるなら、自分で情報を補うべし。
僕個人としてステップアップするメリットとして感じるのは

・3行でシナリオが作れる。仕事で忙しい身には大変重宝する
・シナリオの細部を決めちゃうと、プレイする前に飽きてしまうので、飽き防止に役立つ
・どこら辺をアドリブでやるか、計算して調整できる
・構造的にパターン化するとPLが先を読んで合わせやすくなり、共通認識を築きやすい

といった辺り。
アドリブするのが好きなんですよ。新鮮な発見があって楽しい。
そのためにシナリオ作成は手を抜くべしべし。


そんなところで
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by namizusi | 2007-06-18 00:52 | TRPG


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