戦闘しないセッションの運用方法(5):(・_・)

 その5。
 戦略ゲームの続き。



1.戦略ゲームの基本ルール
 戦略ゲームの基本的なルールというのは

・基本的に数が力。頭数を一番増やした勢力が勝つ。

というものです。
加えて

・TRPGの場合、味方を増やす方法は千差万別

というのがTRPGで戦略ゲームをやる場合の特徴です。PLのアイデア次第なのが面白い部分だと思います。例えば「キャラクタープレイで好印象を築いて味方に引き込む」でさえ、有効な手段の一つとなります。

--
2.勢力図を把握する
 で、「頭数を一番増やした勢力が勝つ」ために必要な第1の作業は

・頭数って何なのさそれ?

というのをシナリオに即して抽出する作業です。セッション中にはさまざまな事物が登場しますが、戦略上有効な事物とは何なのか、を把握する必要があります。この把握能力が高いと

・一見相手の方が頭数が多くて有利に見えたが、実は相手が歯牙にもかけていなかった要素を頭数として組み入れており、実際の闘争が始まって、戦略要素が稼動し始めたときに状況をひっくり返して一気に逆転(伏兵が突然現れるようなもの)

というような作戦が使えるようになります。

 例えば、TRPGセッションの中で恋愛話をしようかということになったとします。で、MyPCはヒロインに想いを寄せていて、ヒロインと良い関係を結ぶのを最終目標にしたとしましょう。その場合、こんな戦略要素が考えられます。

・他のPCたち
・ヒロイン自身
・ヒロインの親
・ヒロインの兄弟姉妹
・ヒロインの友人
・ヒロインの敵
・ヒロインの自分以外の好きな人
・ヒロインの過去の記憶
・ヒロインの嗜好物
・ヒロインの未来の夢
・自分の友人
・自分の両親
・自分の兄弟姉妹
・自分の敵
・自分のトラウマ
・自分の外見的特性
・自分のライバル
・サークル
・コミュニティ
・遺族会
・PTA
・町会
・クラス
・学校
・会社
・宗教団体
etc...

TRPGのセッションでプレイする恋愛話というのは、これらの戦略要素の中のうち、どれだけ多くの頭数を自分の味方に出来るか、という戦略ゲームである、と捉えることが可能です。で、頭数を揃えるのにどういう手管を駆使するかを考えるのも面白いところ。

・自分の外見的特性

を味方につけるために、整形手術するとか、アピール機会を作るとか。

・ヒロインの嗜好物

を味方につけるために、趣味嗜好を把握するとか。

そのためには戦闘技能やダメージ要素よりもどんな一般技能や特徴を取っているかが重要になったりします。

まあ、TRPGセッションであまりプレイしなさそうな(笑)恋愛ものでなくても、例えばごく単純なダンジョンものシナリオでも、戦略的観点を持てば戦略要素を抽出できます。

・他のPCたち
・依頼者
・依頼の背後組織
・敵対者
・敵対者の背後組織
・出発拠点(村等)
・ギルド
・ダンジョンそのもの
・ダンジョンで発見するであろう宝物

こんな感じ。
こんなのを考えて何が嬉しいのかというと、まあ、勢力図を争うのが意識し合ってるメンツ同士でやると面白いというのもありますが、他に

・裏切りに耐性ができる

という利点もあります。戦略的視座を持っていない場合、一度裏切られると、何をしたら良いか、何してもいいと言われても何も出来なくて立ち往生する人がしばしばいますが、戦略的視座を持ってる場合には

 味方の駒が敵方にひっくり返ってしまった。

 そうすると初期想定敵と、寝返った元味方が敵となるわけだが、他に別の味方となりうる戦略要素はないだろうか?あれば、その助力を得られるように動くことが一つの選択肢となる。

 また、初期想定敵と、寝返った元味方は手を組んでない可能性があり、初期想定敵を味方にひっくり返すことで勢力範図を根本からひっくり返す手も使える。

 初期想定敵と、寝返った元味方が手を組んでいたとしても、関係をこじらせることで分断する手も使える。

……という感じに、いくらでもやれることがあるようになります。

 で、ある傾向のシステム(※)では最初から依頼者やPCが互いにある時点で裏切る可能性を織り込んでいるため、そういう事態になったとしてもまだまだ全然遊べる。ゲームは始まったばかり~。て感じに楽しめるようになるかと。

(※)具体例としては、シャドウラン、深淵、RQ、PARANOIA、とらぶるエイリアンず、など。

 勧善懲悪でないニュートラルなシステムの場合もGMが「どんでん返し」と称して状況をひっくり返す「裏切り」っぽい展開をすることがあるんですけど、そういうのにも、

 味方・敵の配置が変わったから、それに合わせて良さそうなストーリーラインを構築しなおそうか

とかいう対応が出来るようになります。

 昔あったセッションだと、ギア・アンティークで、依頼者がロゼッタというものを出来れば入手して持ち帰って欲しい。駄目な場合は破棄しても良い、というシナリオをやったことがあるんですけど、ロゼッタって外見が少女で、あたかも自我があるかのように見えるんですよね。で、依頼者は破棄したがっているらしい、実は世界的にも貴重な知識の宝庫で国家的に狙われる危険もある、という状況で

 じゃあ、連れて逃げようか(笑)。大まかな組織はみんな敵に寝返ってしまう可能性が高いので、誰にも見つからないようにこっそりと潜伏して

という感じに、GMのうっちゃりに対してさらにうっちゃり返すような遊びが遊べます。
勢力図の組み換えとしては下記のような感じ。

・最初
 味方要素:依頼者
 敵対要素:シナリオ上の障害
 中立要素:ロゼッタ

・終わり
 味方要素:ロゼッタ、ロゼッタの知識
 敵対要素:依頼者、世間一般の国家組織など

--
3.口プロレスとかルール放棄・端折りについて
 こういうところで口プロレスとかをやるとゲーム的でない、と言う人がしばしばいますが、そんなことは全然ないと思います。例えばよくある戦略級、あるいはマルチプレイヤーズゲームというものは、(リスクみたいに)マップ上に自軍を配置して陣取り合戦なんかをするんですけど、この手のゲームでは

・敵対組織の駒配置とぶつからない限り、自軍駒をそのエリアに置けば自動的に占領できたものとして扱う

という端折った処理をします。TRPGの判定ルールって基本的に戦術的レベルであることが多いので、例えば説得して戦略要素を味方につけようとした場合に

・説得/魅力系能力で判定する
・口プロレスでGMをだまして奪取する
・じゃんけんとかダイスで完全ランダム処理する

等、どれで処理しても全体の戦略ゲームとしては些細な出来事でしかなかったりするんですよ。手っ取り早くやるなら

・まあ、何でもいいのでPC同士や主要NPCと同時にぶつからなければ自動成功でも十分

だったりします。戦略ゲーム的には

・その間に他のPC、NPCはどんな行動をしてどんな戦略要素を取得したか
・PC、NPCが直接ぶつかったときにどちらが取ったか

が重要なのであって、

・競争相手もいないのに取れたか取れないかでうだうだする

のはどうでも良かったりするんですわ。
だから、そういう瑣末事レベルのところで、口プロレスしようがキャラプレイに走ろうが、全体の戦略ゲームの部分はほとんど何も阻害されないので、気にせず、やりたきゃやってくれ、さあ、という感じにそういうゆるいプレイも許容しつつ全体のゲーム性も確保したセッションが運営できるようになります。

ていうか、人間的に殺伐としがちな戦略ゲームに潤いをもたらすためにも、ぜひキャラプレイ、口プロレスで場を盛り上げてくれた方がセッションが楽しくなる。というわけで、僕的には戦略ゲーム的セッション運営してる場合にはむしろキャラプレイ、口プロレス、くだらないギャグ推奨で遊ぶことが多いです。(進行が滞り過ぎない程度に)


という感じで、疲れたので今日はここまで。
次回に続く?(多分)
[PR]
by namizusi | 2008-09-18 21:37 | TRPG


<< ゲーム理論とゼロサム:(・_・) 戦闘しないセッションの運用方法... >>