前向きにTRPGにおける主役って何だろうという話を書こうかと思ってたんですが
気が変わったので(笑)ネガティブにNPC主役否定論を展開してみます。
僕自身の基本的なスタンスは
・別にNPCが主役でもええやん
・NPCを主役にすることで新しい遊び方の道が切り開けるかも
・というか、脇役って面白いじゃん
という感じで別にNPCが主役でもそれはそれで
面白いセッションができると思うんですけど、
本論ではそういう基本スタンスはきっぱり捨てて
「主役がNPCであるとどこが引っかかるのかというトラウマ部分を解明する」
という趣旨で掘り下げてみたいと思います。
まあ、かなり妄想が入っているので眉に唾を付けて見るがよろしいかと思います。
<参考記事>
http://nirvanaheim.blog116.fc2.com/blog-entry-291.html
http://simizuna.exblog.jp/9588706/
http://simizuna.exblog.jp/9474760/
http://nirvanaheim.blog116.fc2.com/blog-entry-285.html
1.「思い入れ」という悪寒について
NPCを主役にする際に一番ネックになるのは
「GMのNPCに対する思い入れの強さ」
だと思います。
「思い入れ」というのはプラスに働けばセッションを熱くしてくれる起爆剤ですが、マイナスに働けばどうしようもない泥沼に引きずり込む「諸刃の剣」と言って良いかと。
脇役であれば、出番がなくなっても、豆腐の角に頭をぶつけて頓死してしまったとしても、まあ
「脇役だからしょうがないよね」
と、おおらかに許せる、と信じていますが(信じていますよ?)「主役」というフラグが立ったとたん、そこにGMの思い入れによる譲れないラインというものが発生します。
まあ、幸いセッション中にそのラインにぶつからなければ何事もなくセッションは無事に終了できると思いますが、シナリオ構造上の問題があったり、些細な認識のずれ、ダイス目の不運などでNPC主役がひどい目に遭い(遭いそうになり)、先行きの展開が思い通りにならず、GMが切れてしまうととんでもないことになる。
ここでPCが主役という認識でセッションが運営されているのであれば、GMが切れたとしても話のメインはPCだし、PCの意向なしに話は立ち行かないので、少なくともそこで話し合いの余地が発生してクールダウン出来る期待が持てるのですが、NPC主役の場合には、
・やろうと思えばPCほったらかしでNPC主役のみで話を進めることが可能
・GMはゴールデンルールでルール制約にも縛られないNPCはやり放題
ということで
手が付けられない状態になります。自家発電状態だしw。
僕が実際体験したセッションだとこんな愉快なセッションがありました。
1)旅の途中突然穴に落とされた。そこは竜の巣で竜の卵があった。
2)竜の卵はとても高く売れるので持って帰ろうとしたところ、そこに帰ってくる竜。
3)竜が怒って問い詰めてきたので、天井が落ちて危なそうだったので、安全のため卵を運んで守ったのだと言い訳ここでクリティカルに近い目が出て、本当のことを言ってると信じ込ませることに成功
4)にもかかわらず怒って攻撃を始める竜。いきなり竜が炎を吐いて仲間が黒こげ即死したと宣言するGM
5)他のPLが戸惑って「死んだの?」とか言い始めたのに動揺して、黒こげ即死はキャンセル。戦闘に突入
6)しょうがないので、まともに戦ってもかなわんので、せめて一矢を報いるため卵に直接攻撃
7)とっさにかばう竜、ここで口プロレスで「かばったからこのターンは攻撃ないよね?」と納得させて1ターン生存
8)口八丁手八丁で竜に攻撃を手加減させて死亡までのターン数を稼ぐ
9)竜の奥さん(メス竜)が帰ってきて、「あんた何やってるの~」とオス竜をどついて事態収拾
10)ごたごたやってるときに、卵が孵って生まれた赤ん坊竜がPCをママと勘違いする
というような流れでした。
予想としては、2)~8)の辺の殺伐としたやり取りが蛇足で、ただ単に竜とほのぼのデンジャラスな掛け合いをやって(もしかしたら何か依頼されたかもしれんが)、最終的に卵が孵ってPCをママと勘違いする思惑だったように思います。GMの思惑的には「赤ん坊竜」が物語り上の主役でしょうかね。
で、不幸なのはPC側が身を守るためとか私利私欲のために主役のはずの竜の卵を無碍に扱っているところで、ここがカチンと来て切れた模様。
まあ、こんなことが実際あるので、理念上
・PCが活躍して動く機会が十分あるのであれば、NPCが物語上主役であっても問題ないでしょう
という理想論を聞くと、眉毛に唾を付けて見ないといけないな、と思います。
PCと主役NPCが衝突しうるところがかなりの危険ポイントです。
もしあふれちゃうとフォローできませんし(笑)。
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2.ネタが狭い寒さについて
あとまあ、じゃあ具体的にNPCを主役にするとしてどんなのを主役にしたいのさ?と言うと、その提示されるNPCには下記の特徴があると思います。
1)とても具体的な固有名詞NPCである
2)しかも、そのNPCは
TRPGというごく狭いコミュニティの中の、
1システムというさらに狭い範囲の、
ある程度そのシステムに思い入れのある人にしかネタもわからないような
とても内輪受けなNPCである
具体例をぼかして言うと、
・***みたいなNPCだよねと言ってN◎VAのNPCを例としてあげるような人
そういう人を見たら「かなりやべー!」と個人的にしみじみ思います。危険。
逆に、今年の比較的、知ってる人が多そうでNPC主役でもまあそれはそれは許せるかな、と思えるのは「のぼうの城」の「のぼう様」辺りは許せそうな気がするんですが。
・主役的立ち位置で動機付けも持ってるんだけど、当人は無力で何もできない主役
は、わりと許されると思います。あとまあ
・主役が抽象化されてるとより良い
ですかね。
・のぼう様
だと元ネタがわからない人が置いてけぼりを食らうが
・でくのぼうで自分では何もできない。しかしなぜか人望のある人物
ならOKかなと(「人望のある人物」という部分が若干危ないけれども)。ほかに
・弱者(社会的?)
も主役に立てても良いNPCだと思います。昔、無力な少年NPCを話上の主役に立てたセッションをやったことがありますが
『僕は……どうしたらいいんだろう』
とPCにストレートに甘えられるのが良いですな。
依存関係はNPCの立ち位置として主役になっても悪くない。
「甘える」もまあ、イエローゾーンでちと危ないですが。
プレイ中に様子を見てそういう関係になっても良い
雰囲気が作れたら初めてって感じですかのう。
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3.主役の資格について
本来、「主役」って「主役」たりうる何らかの「理由」が欲しいんですよ。物語上。あるいはセッションの納得上。
・PCの誰かが主役になるけれども、どのPCが主役になるかはプレイ次第
というセッションで上手く行くと
・ああ、ここでこんなにおいしく活躍できるのは羨ましいが、
ここまで数々の困難を乗り越えて奴はそこに到達したのを目の当たりにしている
じゃあ、まあ奴が主役でもしょうがないよね。
せめて奴が心置きなくやりたいことができるよう脇から応援しよう
というような実績&信頼関係が生まれて「自分が主役ではない」という境遇に納得できるようになるものだと思います。
で、NPCが主役で考えた場合、GMの片手間のNPCのプレイで納得できるかどうか、はなはだ心もとない。
結果として予想だにせずNPCが主役的立ち位置になることは、たまにはあるんですけど、
計算してやれるかっていうと、できんかねえ。面子次第だな~と思います。
かと言って
「NPC主役はGMの心の中だけの話で、セッション中はPL主観ではPC主役でOK」
という話だったら普段のセッションと何も変わらんわけで、敢えて脇役論をやるほどのこともないかと。
敢えて脇役をやりたいことがあるんじゃよ
そのためにはそれに見合った主役が欲しいんじゃよ
その実現のために、狙ってNPCを主役にする手法がある
という線を狙いたいかなと思うんですが。
敢えてNPC主役をやるのであれば。
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4.まとめ
ということでまとめると
<1>GMがNPC主役をやるときはNPCへの思い入れを捨てるべし
セッション中1度も登場しなくても
不幸な対決で、ぶち殺されても
精神的/肉体的に陵辱されても
主役自体を乗っ取られても
それでもさわやかに滞りなくセッションを完遂する覚悟と鉄の意志があるなら
NPC主役に立てても良い
TRPGセッションでは自分に賛同してくれるPLだけを選ぶ権利は、GMにはない
(特にコンベンション)
→エンブリオマシンのリプレイ第2弾のヒロインなんか、かなり参考になるかと
→りゅうたまの竜人もこんな感じかと
→僕はいつもそういう覚悟でGMしてますな
<2>GMがNPC主役をやるときは、広い層に受け入れられるNPCをやるべし
(小学生から老人まで通じるような広いネタでやるか、NPCを抽象化する)
ただでさえNPC主役って周りが見てて寒いのに、
ネタまで狭くて寒かったら目も当てられない
<3>主役が主役たる理由を考えろ
話を作るのが楽になるからというだけでNPCを主役にするのは甘い。
主役が主役になるにはそれなりの説得力と理由が必要だ。
思いつかないならPCを主役にした方がまし
セッション中はPCが主役というスタンスは
普段のスタンスと変わらんので却下する方向で。
なんか、タイトルと内容が合っていませんが、
ていうか当初の予定の主役論に変わってるし
まあよい、ということで
で、
http://nirvanaheim.blog116.fc2.com/blog-entry-291.html
の
>懸案となる「プレイしたくないという評価が与えられるかもしれない立場」はプレイヤーというよりGMになる筈なのだが、自分の方がそう思われる可能性を一顧だにしていないのだろうなぁ。
については、僕がGMやる場合、
もはやNPC主役のセッションってやることないから、
いまさら一顧だにするわけないよね、
というところで。
んでわ